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見た目は人間と同じ、ただ、成長しないしある日突然違う人になる。
彼らは、誰でもない者。

『某』
著者 川上弘美
発行者 幻冬舎
ISBN 978-4-344-03504-1

ある日私は病院の待合にいた。
診察のために呼び込まれたが、私にはその前の記憶が何も無い。
だから、自分が何者かもわからないし、性別もわからない。
医者にそのように伝えた私は、医者から、あなたは誰でもない者なのではないか?と伝えられる。
しかし医者も、誰でもない者を見るのは初めてであり、どうしたら良いのか分からないまま、医者の勧めで、病院と同じ財閥が経営している高校に転校する。

あまり友達を作らない…というか、周りに興味のない女子高生、
とにかく女の人と身体を重ねたい男子高校生、
自分しか愛せない高校の事務員、
美め麗しく愛を探求した女性と、変化を続けた私は、女性出会った時に好きで一緒に住んでいて、最期を看取った男がこの世からいなくなってしまった悲しみにくれる。
やがて変化をしワーキングホリデーでカナダに行くと、そこで色んな家族の形を知る。
ビザが切れて帰国した私は、誰でもない者の仲間と子供を作ろうとしても出来なかったばかりか、分裂し弱ってしまったアルファとシータと再び会う。
シータが生きるために、分裂した片割れを殺したアルファと話すことで、自分達が異質で死なない事を確信する。

やがて、アルファとシータができなかった妊娠が出来たという、鈴木さんと高橋さんに頼み込み、2人から生まれたみのりと同じく乳児のひかりとして変化した。
みのりは誰でもない者から生まれたのに、変化しないのに成長していった。ひかりはみのりに合わせ、みのりの誕生日に自分も1年ずつ変化した…が、みのりと同じように成長し始めた。

やがて成人したみのりとひかりは、鈴木さんと高橋さんの手を離れ、二人で生活を始める。
しばらくして、誰でもない者の仲間であった元アマンダからサングラスが届いた。変化を続けながら海外で生活していたアマンダは、誰でもない者を殺そうとする人から逃げ、VRの中に入ったのだと言う。
元アマンダはVRの中なら誰も私を殺せないと言い、時には動物、時には日本人や外国人になって、サングラスの中で生きていた。そこは思ったより快適なのはどうかはわからないが、ご飯も食べられるようだった。
元アマンダから、ひかりも気をつけろと忠告を受けた。
ある日、みのりと共に外食していると、急に見知らぬ男が相席してきた。不審に思ったみのりだったが、男はみのりをナイフで誘うとした。トイレから戻ったひかりは、みのりを庇い、自分が刺されたのだ。
みのりはひかりをなんとか家まで連れて帰ったが、戸籍や保険証がなく内蔵も人間とは異なる誰でもない者は病院に行くことが出来ない。
高橋さんと鈴木さんに連絡をしたが、二人も誰でもない者は死なない事を知っているからどこか悠長に構えていた。
高橋さん達からひかりが生き延びるには変化するしかないと聞かされたが、ひかりはだいぶん前から変化できなくなっていた。そしてひかりはみのりに看取られ、誰でもない者として初めて亡くなったのだった。

どうしてひかりは変化できなかったのか、誰でもない者の仲間内では様々な検証がなされたが、結局わからず、ひかり自身が意識で変化を拒んだのではないかという結論に至ったが、どこか納得のいかなかったみのりは、アルファとシータに会いに行く。
そこでアルファとシータは、自分達もきっと死ぬのだろうと言った。自分より誰かをと強く思うと、変化しなくなるのではないか?と。
ひかりはみのりのために生きたから成長もしたし、変化しなくなったのでは?と。


面白かった。
きっとこの本はまた読むと思う。
そして読んだ時に、今とは違う感情を持つのだと予感している。
いい本だった。

ほかに踊りを知らない。

『ほかに踊りを知らない。』
著者 川上弘美

頭のてっぺんからつま先まできっちりしているホストのふたりが、ビニール傘を持っている。ただそれだけのことを、色っぽいと感じる力が小説家の観点なのかなぁ。

卵一個ぶんのお祝い。

『卵一個ぶんのお祝い。』
著者 川上弘美

東京日記に寄稿した短いエッセイ。
相変わらず、川上弘美さんはなんだか不思議な人だ。
タイトルは、40代の自由業独身女である著者が、引越し先の大家から越してくることを認められたお祝いに、納豆に卵を入れるという話で、なんか身近で親近感が沸いた。

これでよろしくて?

昔付き合っていた男の母と偶然再会した私は、これでよろしくて?同好会に誘われる。
結婚して小さな事を話し合える、聞いてもらえる場を失っていた私は、そこに参加し始める。

『これでよろしくて?』
著者 川上弘美
発行元 中央公論新社
ISBN 978-4-12-0004057-3

以下、追記で感想なので、ネタバレする上に主観入ってます。読んでない方や苦手な方はブラウザバックでお願いします。
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どこから行っても遠い町

次々に家族が亡くなり亡き妻の愛人と二人で魚屋をやっている魚春。いろいろな事など見たくはないが、見なければ生きてゆけない。買い物をする二人を見て、そんな事を思うバツイチの予備校講師・妙子。

『どこから行っても遠い町』
著者 川上弘美
発行元 株式会社新潮社
ISBN 978-4-10-441205-1

以下、追記で感想なので、ネタバレする上に主観入ってます。読んでない方や苦手な方はブラウザバックでお願いします。
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