スポンサーサイト



この広告は30日以上更新がないブログに表示されます。

傲慢と善良

今思えば結婚すべきだった彼女・アユから当時言われた、結婚する気ある?という一言。
タイミングが合わず、怖いと感じてしまった架は、彼女を失い、彼女を超えて結婚したいと思える人に出会えず、30代後半の今に至る。

そんな架が婚活アプリで出会った真実は、群馬の女子校で育った真面目な女性だった。
そんな彼女とどうして結婚しないのか?と架の女友達に聞かれた時、架は真実と結婚したい気持ちは70%だと言う。アユちゃんだったら100%か120%なくせに、と鋭い指摘を受けた架は、真実から、故郷で告白されて断っただけの男にストーカー被害を受けており、今まさに自分の部屋にその男がいるのだと電話を受ける。
真実を守ってやらねば!と結婚を決めた架だったが、そんな折、真実が連絡もつかず忽然と姿を消してしまう。
真実の実家や姉、職場の同僚、かつて群馬でお見合いをした人など、様々な人に会ううちに、架は自分が真実を何も知らず、興味もさほどなかったことを思い知るのだった。

『傲慢と善良』
著者 辻村深月
ISBN 978-4-02-251595-7

「一人一人が自分の価値観に重きを置きすぎていて、皆さん傲慢です。
その一方で、善良に生きている人ほど、親のいいつけを守り、誰かに決めてもらうことが多すぎて“自分がない”ということになってしまう。
傲慢さと善良さが、矛盾なく同じ人の中に存在してしまう、不思議な時代なのだと思います。」

「ピンとこないの正体は、その人が自分につけている値段です。
値段という言い方が悪ければ、点数と言い換えてもいいかもしれません。
自分はいくら、何点とつけた点数に見合う相手が来なければ、人は‘’ピンとこない”と言います。私の価値はこんなに低くない。もっと高い相手でなければ、私の値段とは釣り合わない。
ささやかな幸せを望むだけ、と言いながら、皆さん、ご自分につけていらっしゃる値段は相当お高いですよ。ピンとくる、こないの感覚は、相手を鏡のようにして見る、皆さんご自身の自己評価額なんです。」

真実が母親に頼んで通った結婚相談所の方がそう言ってたのがすごく印象深かったです。

真実は結局、ストーカー被害になんかあってなくて、架と結婚したいから重ねた醜い嘘なんだけど、それを架の女友達達はみんな分かってたっていうのがリアルでした。
真実もまた架に嘘を付き、そんな自分にも苦しくなって失踪した先で、真実の両親が依存していること、そして真実もまた両親に依存し支配されている事が楽だったことに気づく。

かつてお見合いした相手から聞いていた震災ボランティアに行こうと思えたのも、そして架が求婚してきたのも、人生って無駄がないなと思った。

青空と逃げる

『青空と逃げる』
著者 辻村深月
ISBN 978-4-12-005061-9

小学五年生の力は、ある日突然、劇団員をしている父が不倫をし、有名女優と密会した挙げ句、有名女優が運転する車で事故に遭い、顔や身体に傷を負った女優が自宅で自殺するというショッキングな出来事に巻き込まれる。
平凡な小学生だった力と、元劇団員の母は、有名女優の事務所であるヤクザに追われ、病院から行方をくらました父に代わり逃げ続ける。

母の友人のいる四万十の食堂で働いていたが見つかり、次はフェリーの本数が少ない家島へ、そして別府温泉へと点々と逃げ続けるうちに、父に守ってもらうしか出来ないと思い込んでいた母の姿は仮の姿で、どこででもがむしゃらに頑張る母の姿を見ることが出来た。

やがて有名女優の息子から父の居所を聞かされた力と母は仙台へ、そして大空町へ。
世間で騒がれているような不倫は全くなく、ヤクザとも話がつきそうだ。と良い方向に向かうところで話は終わる。

なんていうか、守る者がある人は強いとはまさにこの事。
人のあたたかさに触れて、どんどん元気に、そして強くなれる。これこそが大事なことだよと教えてくれる本だった。

噛みあわない会話と、ある過去について

短編4作の軽いけど重い話。
女子の中にいて意識されない、でも誰かから必要とされたい男の子が、執着した結婚の話。
芸能人の教え子を持つ教師が、心底嫌われていたと再会して本人から聞かされ愕然とする話。
保護者懇談会で浮きまくる、本音しかない母親からの、親子のあり方の話。
有名になった同級生に会いに行って打ちのめされる話。

小さなトゲが刺さって血が止まらない、そんな感じの4篇です。

『噛みあわない会話と、ある過去について』
著者 辻村深月
続きを読む

図書室で暮らしたい

『図書室で暮らしたい』

著者 辻村深月

色んなものに寄稿したものを集めたエッセイ集。
なかでも、ある図書館の面白い試みとして、図書館肝試しが紹介されていた。
本のタイトルが見えないよう、包装紙で包んだまま貸し出されるという試みは、予算がなくても出来る、楽しい試みだと思った。

オーダーメイド殺人クラブ

『オーダーメイド殺人クラブ』 辻村深月

中学二年生。
学校と家庭が人生の全てだったあの頃。

仲良しグループからハブかれ、母親と上手くいかず、死にたいと思った時、クラスの男の子がネズミを殺しているところを見てしまう。
自分も彼に殺してもらいたいと考え、自分が望む方法で殺してもらえるよう、死に方を考え始める。

しかし、彼にはもっと殺したい人がいて…。

先生の息子である彼は、小学2年生の妹の為に、父が再婚を考えている音楽教師を殺したいと考えていた。
しかし、その実行に気付いた彼女は、思いとどまらせようと彼の邪魔をし、殺人を未然に防ぐ。

彼と彼女は大学生になり、再会した2人は新たな道を歩み始める。
前の記事へ 次の記事へ
カレンダー
<< 2024年04月 >>
1 2 3 4 5 6
7 8 9 10 11 12 13
14 15 16 17 18 19 20
21 22 23 24 25 26 27
28 29 30
カテゴリー