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札幌アンダーソング 間奏曲

『札幌アンダーソング 間奏曲』
著者 小路幸也

何代もの記憶を持つ天才と、罪を犯す山森の対決再び。
雪捨て場に死体を埋めたという挑戦状を受け取った警察は、山森の仕業かと思うがどうにもきな臭い。
秘密裏にデリヘルを運営していた山森は、その従業員に、飼い犬に手を噛まれた形となった。

僕は長い昼と長い夜を過ごす

子供の頃、父のDVから兄姉を守ろうと、父が家にいる間ははずっと起きていたせいで、50時間起きて20時間眠るという生活スタイルが定着してしまった森田明二。学生時代は心優しき友人達のお陰で何とか卒業出来たが、社会人として就職するのは厳しかった。大概の会社で相手にしてもらえない生活スタイルであったが、ゲーム製作の会社社長・バンさんは、大変だなと理解を示しメイジを雇い入れた。

ゲーム製作の世界では50時間も起きていられる事は利点でしかなく、仕事さえしっかりしていれば、20時間眠る為に欠勤しようが大丈夫であった。次第にメイジもゲーム製作の仕事に面白味を感じてきた頃、バンさんから50時間起きていられるという体質を利用したアルバイトをしてほしいと言い出した。アルバイトの多くは他人の監視で、浮気調査等が主であった。
その日もメイジは三島という男の監視をしていたが、部屋に向かったはずの三島の姿が見えず、メイジは三島の元へ向かうと、三島は倒れていた。急いで隣人と救急車を呼び病院まで同行したが、監視をしていた事を調べられると面倒になってしまうので、立ち去る。気が動転していたメイジは、自分のものではないキャリーケースを持って帰って来てしまう。監視していたが救急車に同乗してきてしまった事を、バンさんに電話したメイジは、キャリーケースを持ってきてしまった事を話せずにいた。バンさんとの電話をし終え、キャリーケースの中身を開けると、そこには大金が入っていたのだ。

驚くメイジに、表の世界には出せない金をきれいにして育て増やし、良き時に世の中に出すという種苗屋をやっているナタネという男がやって来る。
2億円近い大金はメイジのものだというナタネは、この金がメイジの手に渡ったと知れたら、メイジはきっと消されると言い、メイジの逃走に協力すると言うのだが…。


『僕は長い昼と長い夜を過ごす』
著者 小路幸也
発行元 株式会社早川書房
ISBN 978-4-15-209136-9

以下、追記で感想なので、ネタバレする上に主観入ってます。読んでない方や苦手な方はブラウザバックでお願いします。
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札幌アンダーソング

刑事の久は時代劇好きのイケメン・根来先輩と共に捜査にあたっていた。
身体の穴にダイコンが入れられ捨てられた死体、同じくゴボウ、そしてゴーヤ。変態の趣味とはわからないものだが、ここまで不可解でどうしようもない事件が続けば捜査員も疑問を持つ。
とにかく解剖だと根来は久を連れて、学生時代のエア彼女で法医学教室教授の秋奈の元を訪れる。3件の事件には何らかの繋がりがあると思った秋奈は、何でも見たまま記憶してしまう弟・春の知恵を借りろという。

半信半疑で着いていった久は、春により死体が置かれた場所が正三角形になること、そして身体の形がSEYに見える事から、警察内部に犯人の仲間がいると推理する。
内部の仲間を誘き出す為に春は、TVを使って犯人を挑発する。犯人はそれに乗り、新たに3件の自殺を誘発した。

自殺の誘発なんて、催眠術以外に出来るのかと問う久に根来は、
“人間の心なんか、精神なんかその気になればそういう類いの人間は、簡単に砕いたり包んだりする事が出来るんだ。全面的に信用させるか、全面的に降伏させるか。そのどっちかで心なんか簡単に操れるんだ。その第一の要素は不安だ”と言う。

安心という強さを、趣味や生き甲斐、恋人、家族に持った人は、そう簡単に犯罪に走らないのだと。

志村家の男がもれなく持つという、祖先の記憶も頼りに、春は謎解きをする。

『札幌アンダーソング』
著者 小路幸也
発行元 株式会社KADOKAWA
ISBN 978-4-04-110658-7

以下、追記で感想なので、ネタバレする上に主観入ってます。読んでない方や苦手な方はブラウザバックでお願いします。
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猫と妻と暮らす

人に災いを為す様々の厄を祓う事が出来る能力を持つ者を輩出してきた蘆野原家に嫁入りした妻・優美子は、ある日突然、猫になってしまう。
二と七のつく年には、春の風鳴りに潜む竜にさらわれてしまい我をなくす。風竜に唯一立ち向かえる猫になって夫を守ったのだ、と気付かされる。夫を守りきった妻は人間の姿に戻り、猫になっていた記憶もなくしていたのだった。

猫になり幾度となく夫を助ける妻のおかげで、夫は絶体絶命のピンチも乗り切る事ができる。
蘆野原はあの世とこの世を繋ぐ場所であり、戦争が終わり蘆野原が必要な時まで村を閉じる事となった。山を越えた先にある蘆野原は、山の住人である四つ足の生物だけが、閉ざされても蘆野原にたどり着ける。
蘆野原の近況は、妻が猫になり教え続けてくれるのだった。

『猫と妻と暮らす 蘆野原偲郷』
著者 小路幸也
発行元 株式会社徳間書店
ISBN 978-4-19-863189-5

ナモナキラクエン

4人兄弟の長男・サンは、異母兄弟の中で育った。
父が亡くなり、4人は父の遺言通りに遺品整理をし、自分の母に会いに行く。

“恨むことは、自分の心を低くするからやめろ。生きるってことは前に進むことだ。恨みは前に進むエネルギーを奪う。やめとけ”

歓迎されないかもしれない。だから行かなくてもいい。そう残した父の気持ちに応え、長男として母達に会いたいという妹弟と共に旅に出る。
父が亡くなったのはわかっていたように、でも子供達のこれからの生活がどうなるのかを心配した様子もない。

旅を続ける内に、兄弟の出生の秘密にたどり着いたサンは、自分が父の代わりに秘密を背負っていく事を決め、真相を聞く。

なんだか微妙な話で。こういう家庭の話って、自分は経験してないからわからないし、想像するしかないんだけど、にしても出来すぎな感じがある。
どんなに仲が良くたって、きっと喧嘩もするし全てをわかり合ったり許し合ったりはしてない日もある。それが全て抜け落ちて、綺麗なものだけ集めたような感じがした。多分これが、父の言うラクエンなんだろうけれど…桃源郷よろしく、たどり着くのが難しいからこそ、楽園と呼ばれる。それを作り上げるなんて、可能なんだろうか。

『ナモナキラクエン』
著者 小路幸也
発行元 株式会社角川書店
ISBN 978-4-04-110266-4
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