「あの家に暮らす四人の女」
著者 三浦しをん

「譲り合ったりぶつかり合ったりしながら、それでも誰かと共に生きていける能力の保持者こそを、大人と言うのかもしれない」

ボロアパートに住み続け、上の階からの水漏れで部屋を出ていくハメになった雪乃と、雪乃の同僚で夢ばかり追うDVヒモ男からのストーカー被害の避難先とやってきた多恵美。
刺繍作家として家でいつも作業している佐知とその母鶴代の4人で暮らしている。

佐知の父は鶴代が大学から付き合っていた定職につかぬ男で、目利きもできぬのに骨董品を鶴代の実家の金で買い漁り、家庭を顧みなかったバカ男だったので、佐知が生まれてすぐ、鶴代に追い出された。
ストーカーのヒモ男を捕まえ吊し上げたり、泥棒が入って殺されると思った時、死んだ佐知の父が、佐知が誕生したお祝いにと買ってきた河童のミイラに乗り移り退治したことを受け、使用人のような位置に居るがどうしてよいものかわからなかった老人山田に対する佐知の気持ちも晴れた。

幼い頃から親がいないと、他に親切にして大事にしてくれる人に、なにかしようにも、親に悪い気がするという、佐知の考え方がわからなかった。親がいると、他人に大切にしてもらえるのも受け入れることに抵抗ないから。やっぱりかたわってこういうところに出るのかなぁ。