触らないで


私の髪に触らないで
ほろほろ溶けてなくなってしまう


私の背中に触らないで
穴があいてじくじく痛い


私の頬に触らないで
恋が育った刹那死んでいく


私の腕に触らないで
どこへも引っ張っていけないのなら


私の爪先に触らないで
そんな気なんてない癖に


私の耳に触らないで
私の悲鳴が煩くなるから


私の瞼に触らないで
灼熱の炎で焼け焦げてしまう


私の手の平に触らないで
触るなら、まだ側にいて


私の心に触らないで。