話題:介護


数年後に家族の介護が発生すると予想してらっしゃる方から介護の実態について教えてほしいとのミニメをいただいたので、僕の例が参考になるかはわかりませんが、それを書く回


糞爺は現在89歳

この年齢で介護保険は受けてない

それは生活の基礎の部分が概ね自分で出来るだろうとされる『自立』というランクに居るからなんだよね

ところがね、この人は昔の人だから、家の中のことを全てと言ってよいほど奥さんにやらせてたのよ

その奥さんは認知症になり施設に入った

残された爺は困ったわけだ

そこで、取りあえず飯だけ供給してくれないかと親戚一同に声を掛けたのだな

今は宅配弁当業者も数多くあるのに、何故親戚に頼んだのか‥、それは爺が一族の長だからなの

親戚の冠婚葬祭では若い頃から活躍してたようで、親戚一同は自分のことを尊敬してると思ってたわけよ

ところがパパさん以外全員に断られたらしい

パパさんは食事を運ぶくらいだったら、妻の百合子さんがやるだろうと思って、その依頼を軽く受けてしまったのだ

ところが百合子さんは爺が嫌いだったのさ

他の人ならやってあげてもいいけど、あの爺だけは嫌だとなり、それで神田夫婦にその役が回ってきたのだよ

そこからスタートしたわけだな

そんな背景があるもんだから、糞爺はN女史が食事を運んでも、親戚が言うことを聞かなかったイライラもあったのかな、あらゆる点でいちゃもんをつけたんだよ

大人しく食えばいいものを、やれ味がうすいとか野菜が多いだとか、持ってくる時間が遅い早いまで

N女史はなるべく年寄りに合うメニューを考えて作って持って行ったつもりなのに、感謝の言葉もなく、だいたいお前の親の兄弟は何ちゃらと親戚の悪口を聞かされて困ってしまったのだな

それを知って、俺の嫁さんに何しやがるこの糞爺!と思い、N女史は引っ込めて、今度は俺が行くことになったんだよ




前にも書いたけど、いや〜もうとにかく自分の自慢話が9割、あとは親戚の悪口しか言わないんだよ

だが俺の飯には文句は言わなかった

それは、肉が食いたいって爺が言うからね、毎日焼肉を持って行ったんだな

残さずパクパク食ってたよ

N女史の時は、例えば肉野菜炒めを持って行っても、肉しかつままないで野菜は残すという、作り手の気分が悪くなるような食べ方だったのよ

それ聞いてたから、好きな物ばかり食って早く病気になれ、と思ってた

それは今でも思ってるけど、この爺さんしぶといんだよ

立ち上がる時に遅いから手を引っ張ってやった時に、握力が結構強かった

つまり体が強いんだな

そこだけはホメてやるぜってな

だがこの爺、俺を最初は馬鹿にしてたんだよ、年上の女房の尻に敷かれてるんじゃないかとか、仕事をやっててもいくらも稼いでないだろうってね

ここで俺はブチ切れた

俺がアンタに負けてるところは1つもない!と説明してやったよ

そしたら潔く負けを認めたよ、この糞爺

そんなことがあってからは俺の言うことを聞くようになった

まずは俺の嫁さんに謝罪と感謝の手紙を、親戚一同にも、その節は無理なお願いをして申し訳なかった、今は落ち着いてるといった内容の手紙を書かせた

俺は、この糞爺を手懐けたってことで、親戚一同からは感謝の手紙をもらったぜ

だけど誰が誰だかわからないまま今に至る(笑)



つづく