事件だ


話題:デートのお誘い


入院中、面会に行くと爺はたいていリハビリの最中だった

廊下を歩いたり腕を回したり

その様子を見守りながら、爺をネタにリハビリねーちゃんを笑わせたこともあったかな

言うことが同僚の♂とは違って新鮮な感じがしたのだろうね

食べ放題のピザ屋に連れて行った

朝飯食ってから夕方まで何も食ってなかったから、ガッツリ食いたくなったんだよね

リハビリねーちゃんも結構食ってた

楽しくお喋りしながら

おごると言われたがここでも断った

それじゃお礼にならないと言われたが、女に支払いを任せるのは苦手だと言うと、じゃ今度ピクニックに行きましょうと誘われた

お弁当を作るから、と

これから寒くなるのにピクニックはどうかなとは思ったが、「気が済まないから」と何度も言われて負けた

休みの日は洗濯と食材の買い出しの他は寝る&テレビを見るで終わってしまう、と

学生時代の友達とは休みが合わなくて一緒に遊ぶ人がいないのだそうな

ストレス発散の仕方がわからない時期が長かったし(今でも)、溜め込んで苦しんだからね、この女の悩みの解消を手伝うことで、もしかすると俺のストレス発散にも役立つかも知れないと思ったんだよな

俺にとっても新鮮な女だということ

付き合うとかそういうことは考えちゃいないが、これまでとは別の世界の女だと話題が尽きないから楽しい

俺の過去も敢えて話す必要もないし

リハビリねーちゃんは同い年

ウォンバットに似てるかな

スタイルは標準よりは少し太いかも

いや、太ってたのが痩せてきてる途中かな

ま、体型なんぞどうでもいい

楽しい人生を取り戻すぞ!



やっと退院、だがまた事件


話題:今日、退院します


予定通り爺を退院させた神田です

前日はまた不安がっちゃってね

もう治ってるんだからいい加減にしろよ!と言ってみたら素直に応じた

その時同席していたリハビリねーちゃんが同じことを優しく言ってくれたからかな

今朝迎えに行った時には着替えを済ませてベッドに座ってたよ

駐車場まで車椅子を借りられたから担がなくて済んだが、爺を車に乗せて車椅子を返しに行って戻ってきたら、シートベルトが首に絡まってた

「なんか上手くできないんだ」と爺は言っていたが、入院中にだいぶボケが進行したんだなと思った

そしてその後、面倒を見てくれる施設に爺をぶち込んだ

パジャマ5着は間に合わなくて3着しか持って行けなかったけど、足りない分は後日で結構ということになり一件落着

これで俺はほぼ自由になる

あとはたまに病院に連れて行ったり、奥さんの様子を話してやったりする作業は残るけど、そんなのは適当にやればいい訳で

何となくくたびれたから帰って寝ようと思いながら車を走らせている時に病院から電話が掛かってきた

薬を渡すのを忘れた、と

もうすぐ家に着くって所でUターン

昼を過ぎてたからどこかで飯を食ってから病院に戻るかどうしようか迷ったが、すぐ行きますと言ってしまったことを思い出し、そのまま病院へ

でも飯を食わなかったのが幸いしたな

薬を受け取って外に出たら、リハビリねーちゃんが玄関の近くを下を向きながらうろちょろしてたのよ

どうもお世話になりました、と言ったらいいえ、退院おめでとうございますってな普通の挨拶が交わされたのだが、リハビリねーちゃんの顔がすぐ曇ったのを俺は見逃さなかった

どうしたの?何かなくしたの?と聞くと、「家の鍵を落としちゃって探してるんです」と返ってきた

午後の勤務時間が迫ってたらしく、彼女は病院内に戻らなくちゃならなくて、ここで協力するつもりは全然なかったのだがなりゆきっての?探してやることにした


見つかったら電話するから電話番号教えて、と言うと、彼女はケータイを出して赤外線で送ってきた

そして休憩時間にまた来ると言って院内に消えた

〜中略〜

赤い鈴が付いてる鍵は割とすぐ見つかった

玄関の近くではなく、駐車場の車のタイヤのそばに落ちていた

そこで彼女に電話を掛けて、留守番電話に繋がったから言葉を残し、赤い鈴の付いた鍵を受付の女に渡した

その後また爺を預けた施設に行き、職員に薬を渡して、これでやっと解放されたと安堵したのだが、飯をどこかで食おうと思い、ファミレスの駐車場に車を停めたのよね

そこでリハビリねーちゃんから電話が掛かってきた

お礼を言いたいから夕方会えるか聞くから、改めての礼なんて要らない、この電話で結構だと答えたんだけどね、それじゃ気が済まないとしつこいから、仕事が終わったらお茶でも飲みますかって話になった

長くなったので続く

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