話題:別れ


これまで生きてきた中で、好きなものに出会えた回数はそう多くはない

好きかも知れないと思っても、好きでいることが平常心を保つ上で邪魔だと考えて、そのもの自体を遠ざけたりもしたかな

食べ物であれば、○○牛のステーキとか寿司屋の大トロとかがそれに当たる

だから、無理なくずっと好きでいられそうなものに出会った時の喜びは大きかった

特にこの車は、俺に買ってくれという視線を送ってきたのだよ

「私を買えば、お前のそのつまらない人生を、少しだけでも楽しいものに変えてあげられると思うよ」と、言っているような気がした

大袈裟に言えば『運命的な出会い』だったと思いたい



まだ顔は綺麗なんだよな

一度もぶつけてないし、擦ってもない

石が飛んできたのかな、側面には擦り傷があるけどね

走行距離は3000キロ未満でとどめてある

距離を延ばしたくなかったので、出張や翔んで埼玉に行く時は他の車で行ってたから

本当は高速道路が苦手な車なので、単に回避していただけなんだけど(笑)



もう、同じ車は売ってないんだよ

中古ではあるけどね、距離が少ないのは無いに等しい

こういう仕事車は走ってナンボだから


もうすぐ来るであろう2号は顔が違うんだよ

自動ブレーキやアイドリングストップなどの安全装備も付いてるしね

それと最近のダイハツ車はウインカーが変だし

ムーブカスタムで体験済みだけど、どうも好きになれないんだよな

だから簡単にオヤジに譲ることができたのさ

ハイゼットカーゴという名前は同じでも、何となく別物な感じがする





let it go

この車は手放す


時間を掛けてでも修理するつもりでいた

だけどね、ベコッと凹んでる車を隠しておく場所がないのよね

家の前の道を歩く人に「早く直せばいいのに」「直すお金が無いのかしら」というような印象を抱かせる訳にはいかないのだよ

それにまあ、休みの度に、家の駐車スペースからガンガンやらガチャガチャという音を出す訳にもいかない

不幸にも、神田家は閑静な住宅街にあるんだよ

しかも、凹んだ車を置いてある家も無いしね


だったら埼玉の家に持って行って、そこで修理することも考えたのだが、毎週毎週行ける訳でもないし、大きな部品を運ぶようだと今ある車では難しい

色んな意味で無理をするということが、スマートではないと言うのかな

自分のしたい事を優先すると、せっかく作り上げてきた家族と共に過ごす生活スタイルを壊すような気もするし

ま、変な所で無理をしない方がいいだろうというのが結論



あとは、この寂しい気持ちをどういう風に癒すかだ

それが今後の課題