話題:冷めた気持ち。


自分がどうしてこんな風になってしまったのか考えた

きっかけは離婚したことだと思うのだけど、その離婚によって、それまでの生活や考え方をリセットしたかったのが、爺の世話が発生したことで上手く切り替えが出来なかったんだよね

介護に関しても、誰もが大変だったでしょうと言ってくれるのだけど、一般的な大変さとは少し違うような気がしてるんだな

それは覚悟がなかったし、自分の親でもない赤の他人の世話だったから

この気持ちの悪い精神的な疲労感は説明したところで誰も理解してくれない

こっちも上手く説明できないし

それでやっと爺から解放されても、今度は奥さんの事が頭から離れない

実際そばで世話をしていなくても、何かあったら駆けつけるようだし

これが年寄を抱えるという意味なのだろう

いつ緊急の連絡が来ても対応できるように、なるべく遠くには行かないようにしている

それはつまり自分の行動に制限を設けているということ


かつては自由だったのだよ

でもそれも20才くらいまでだったかな

両親の仲が悪くなってからは生きるのに必死だった

特に妹に卑屈な思いはさせたくなかったから

普通に両親がいる家庭と同じかそれ以上の生活水準に持っていくのが俺の役目だと思っていたし

それは今も継続中だから、自分の事よりも妹の事を考えるようになっている

加えてオヤジの病

でもこれは少しずつだけど快方に向かっているし、このオヤジに関しては覚悟を決めたから大丈夫だ、何があっても狼狽えることはない

だから問題は年寄の事なんだよ




そういう環境にいることを下っ端ちゃんに話してみたですよ

冷めているのかも知れないし、自分の事を考える余裕がないという表現にして


一緒に飯を食いに行くぐらいの事は屁の河童

ただデートになると、お互いに拘束時間が長くなるし、そのあとにやりたい事があったとしても、それができなくなるかも知れない

洗濯とか買い出しとか絶対やらなきゃならない作業をサボると、後で自分が辛くなるし

特に俺は家族のための作業だから、それを優先する傾向があるんだよね

簡単に言えば、デートよりも優先したい事柄があるし、それが結構な頻度で発生するって言うかさ

だからラインもやらないし、メールもショートメール2往復が限界だと言ってみた


下っ端ちゃんは神妙な顔をして聞いてくれたが、社会人2年目くらいでは俺の言うことをどこまで理解できたかわからない

家族のために生きるという部分は、今はまだ家族に生かされているという感覚だと述べておった

親が親として機能しなくなった時にパッと頭を切り替えられるかってのは、誰かを養ったことがないとすぐには難しいと思う



下っ端ちゃんに、シャインマスカットを渡した

シャインマスカットを食べるのは人生2度目と言っていた

そのうちの3粒を俺にくれた

下っ端ちゃんは「神田さんと一緒にいると、こういう珍しい物が食べられるのは魅力です」と言い、「ショートメールも今は画像が送れるんですよね」と言いながら、スマホを出して画面をいじっておった

やっぱり若いとへこたれないんだなと思った神田でした