話題:別れ


「ねえねえ、あのお兄ちゃんのボロい車、こっちに持ってきてくれない?」と、アジトの妹から電話が来た

ボロい車とは何だ、ズバリ言うなよ!と思ったけども、妹が何故そんな事を言うのかわからなかったので、一応事情を聞いてみると…

オヤジが車に汚い物を載せたいみたいなんだよね

陶芸の材料の粘土だったり、窯にくべる炭とか薪を大量に載せたいんだと

できれば、載せっぱなし状態にしたいようなんだな

でね、そういう物を載せると、どうしても車の中が汚れてしまうのですよ

今オヤジが乗ってる車は去年新車で買ったハイゼットカーゴ2号なんだけど、その車を汚すのは忍びないときたもんだ

そしてその2号は陶芸教室に来てくれる生徒さんの送迎用に使いたい、と

まあね、陶芸教室は順調なのですよ

こっちで生徒を募ってるんだけど、再来年まで予約でいっぱいなんだよね

あの2人がアジトから戻って来られないのは、その陶芸教室のせいなんだな


商売が順調だと、道具や機材が増えていくのは当然で、車も例外ではない

そこで妹が目をつけたのが、俺の物置カーであるミニキャブバン

俺が譲ればタダだからね、設備投資を他の機材に回せると考えたのだろう

でも、今度は俺の物置カーがなくなっちゃうんだよね

少し整理したから以前よりは荷物の量は減ったけど、それでもまだ結構載せてある

この荷物を他の車に載せかえたら、助手席まで使うことになり、完全に1人乗りの車になってしまいそう

さて、どうしたらよかんべかな

ここで譲らないという選択肢はない

だから絶対譲ることになるんだけど、荷物をどうするかを早急に考えなきゃならなくなった




それにしても別れが早いな

ミニキャブバンを買ったのは去年の秋だったから、半年も手元になかった計算になる

遠出したのはこないだの茨城までで、ガソリンも数えるほどしか入れていない

今後、どのように自分好みの車に仕上げていくかが楽しみだったんだけど、それも泡と消えた

車の置き場をアジトに移すだけだから完全にサヨナラする訳ではないが、なんだかちょびっと寂しい

誰かに慰めてもらいたい気分だ



(T_T)