17/12/29 00:00 (:読み終わった本)
  アガサ・クリスティー『そして誰もいなくなった』ネタバレなし感想

謎の島兵隊島へ互いに全く知らない職業も年齢もバラバラの10人の男女が巧妙な手口で招待される。
招待主の夫婦が姿を見せないことに変だと思いつつも美味しい夕食を食べて和む一行。
その時どこからか謎の声が部屋中に鳴り響き、
彼等の過去に犯した殺人を告発する。

彼等はそれぞれ殺人じゃない不幸な事故だったと弁解するが、それも間も無く第一の犠牲者が現れ、部屋に飾られた10人の小さな兵隊という不気味なマザーグースに沿って、飾られていた兵隊の人形が一つずつ無くなると同時に、逃げ道がないまま次々と人が殺されていく…。

【登場人物】
元判事
家庭教師の若いお姉さん
どうみてもカタギじゃない元陸軍大尉
ノリの軽いリア充イケメン
元刑事
退役軍人
医者
未婚のお婆様
執事
執事の奥さん

【ミニ感想】
昨日の夜読了。あぁあ…不気味だった…、怖かった…。
今日一日は読了後のなんとも言えない気色悪い余韻に頭がフラフラになってしまい、このお話の様々な場面を思い出してばかりでした。
これは、推理小説じゃない、ホラー小説です。

まず人々が兵隊島へ向かうまでの描写も不吉な雰囲気がむんむんと醸し出してました。
そしてだんだん姿の見えない犯人がメンバーにいるかもしれない、もう誰も信じられない不信感といつ自分が殺されるかという恐怖で心身共に疲弊していき、少しずつ確実に破滅へ向かっていく登場人物の心理が鬼気迫っていました。
おかげでこっちも緊張感で疲れてしまい、今もヘトヘトになってるくらいです。

やがて犠牲者たちが疲れ切った頃に過去が幻覚や妄想として頭をもたげてくる場面のえげつなさといったら…。
ヴェラが水死体の幻影を見て冷たい指で触られる場面は本当にぞくっとしました。
彼等の過去の罪は本物なのか、果たしてこんな目にあうまでのものか(あからさまにカスもいましたけどね)?
とりあえず、犯人はまぎれもなく狂人です。

ツッコミどころやトリックも正直私はどうでもいい。
この小説は、だんだん恐怖のあまりおかしくなっていく人間の変貌ぶりと犯人の残酷な心理に怯えまくるのがキモだと思いました。

あと犠牲者があの怖いマザーグースにどう沿って殺されるかも個人的に気になってました。
ご飯を食べてたら喉を詰まらせて…とか薪を切ってて斧で体を真っ二つは分かるけど、燻製ニシンに飲まれて…や、動物園でクマに抱きしめられて…とか法律家になるといって…なんかどうするんだと思ってたら、それぞれ予想以上にギャー!!となる殺され方でびっくり。
クマはそうきたかぁ…!
法律家の殺され方が気持ち悪かったですね。
なんと言っても一番嫌な気持ちになったのは、最後の首を吊って…そして誰もいなくなっただけども。
(このマザーグースは小さい頃からうちにあった本で知ってたので、今回読んだ時もインディアンが兵隊に変わってて違和感があったんですが、インディアンが差別語だから兵隊さんになったのね。更にその前は黒人の差別語だったらしい)


このシリーズのどれかの巻に入ってました。


知り合いから犯人が結局わからないから怖いんだと聞いて身構えてたら、実際はちゃんと犯人が分かったので良かったです。
スッキリすると共に、仲間由紀恵が出てたドラマ版の犯人のチョイスも素晴らしいとわかりました。
確かにあの人しか出来ないや。
向井理のポジがしょっぱくて可哀想だとも分かったけど。

英国版のドラマが観たいです。
ツタヤとかあるかなぁ。




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