螺旋状に突っ走って死にたいプロフィール
2012/11/9 Fri 04:38
犬が空を飛び、猫は斜めにひしゃげてる。男は逆立ちで歩き、女は歯以外真っ黒だ。ここは異世界らしい、異世界らしい

話題:怖い話


怖い話を何個か書いたら、「怖くて眠れなくなったぞ!どうしてくれる!」とか「トイレに一人で行けない!」とか
そんな苦情が殺到したので、また書きますね

怖いなら夜は墓場で運動会でもすればええやないか




では本題


またもや防空壕の話です

そしてこれは友達から聞いた話になります


主観視点での話になりますが、ここでの「俺」はその友達になります

それでは電気を消して、カーテンをしめてください


部屋の隙間が気になるでしょう?

なるべく埋めてください



はじまりはじまり





これは俺が小学生くらいのときの話だ

俺の地元はドがつくくらいの田舎だ

俺の実家のすぐ隣には森があって、そんなに大きくはないが小学生の俺には大きかった

よくそこを一人で駆け回って遊んでたものさ

友達がいないわけじゃないぞ

自分の家の庭みたいな感覚だったんだよ


夏休みなんて日が暮れるまで遊んでたものさ

夕方に母親が迎えにきて、連れ戻されていたっけ




ある夏のことだった

茹だるような暑さだったが、その森は涼しくてね

さらに涼しいのが森の中にあった防空壕で

そこはひんやりとして気持ちよくてさ

その日もそこに行ったんだ


いつも入口付近で涼むんだけど、その日はふと思いついて奥まで行ってみた

まあ奥は行き止まりなんだが、本当に偶然気づいたんだよね
その行き止まりからわずかに風が吹いてくるんだ

よく目をこらして、手探りすると

子供一人はいずれば通れるくらいの穴があるんだ

好奇心に駆られてその穴に入ってしまったんだわ


少し進むとすぐに奥に光が見える

どうやら反対側に出れるらしい

単純なことだが俺はとてもすごい発見した気がして進んだ

そして反対側に出た

身体についた土を払いながら達成感を味わっていると気づく

もう、空がオレンジに染まっている

おかしいな、と俺は思った

森に入ったのは昼飯を食べてすぐだ

そんなに時間が経ったのだろうかと


母親がそろそろ迎えにくるこらだし、とりあえず森の入口に向かった

入口に差し掛かるあたりで、俺の名前を呼ぶ声が聞こえた


母親が手を振りながらこっちに向かってくる

優しい声で俺の名前を呼ぶ


俺は立ち止まった


何かがおかしい


子供って敏感だよな

なんか違うって思ったんだよ


声は優しいんだよ


でもさ


母親の顔をよく見ると




無表情なんだよ



おかしいだろ?

なんで優しい声で子供を呼ぶのに無表情なんだよ

そして口が動いてないのになんで声が聞こえるんだよ



俺は思ったね

「あれはお母さんじゃない!お母さんの皮をかぶった何かだ!」って

本当さ、人間身がないんだよ
見た目は母親なんだけどさ

俺は固まってちょっと後ずさったんだわ



その瞬間さ


母親の姿したその「何か」が

ピタっと動きを止めてね


無表情のまま



こっちに走り出したんだよ


怖かったね

たぶんちびってた


俺もすぐさま森に駆け込んでね


森は俺の方が詳しいから逃げれると思ったんだよね


森に入って目指したのは防空壕

あの奥の方まで行けはアイツは、母親みたいなアイツは入ってこれないはずだから


防空壕みつけて飛びこんで奥まで行って穴に入ろうとしたら


ない!ない!穴がない!


もう半泣きで探るんだがないんだよ穴が

完全に行き止まり

ガサガサって音がして防空壕の近くをアイツが走り回ってるのがわかる


頼むこないでくれ
と祈るしか俺にはなかった

暗い防空壕の奥でうずくまって、目を閉じて

「宿題もちゃんとやります。歯も磨きます。だから助けて神様!」って祈るしかなかった


どれだけ時間が経ったのか
一分かもしれないし、十分かもしれないが

なぜか俺は物凄い眠気に襲われたんだ

こんな状況なのにさ


で、眠ってしまって


ふと目を覚ますと





目の前には

母親の顔



でも無表情じゃなくて、ちゃんと母親だったんだよね

俺はワンワン泣きわめいて母親に抱きついたよ


どうやら俺は森の入口で倒れていたらしい

迎えにきた母親が発見したんだそうだ

医者の話だと軽い熱中症だとか


そして俺は森での遊びを禁止されてしまった


ある日、こっそり森に入ったらさ

ないんだよ防空壕がどこにも

あちこち探しても見当たらないんだ


あれ、本当に防空壕だったのかな

あの母親みたいなのはなんだったんだろうな

あの奥はどこに繋がってたんだろうな


どうやって戻れたんだろうな


防空壕は異世界への入口で、あそこは異世界だったのかな


それを確かめる術はもうないんだけどさ

俺はもう二度と防空壕には入らないだろうね


それにあの時以来

暗くて狭い所が苦手なんだ




おしまい






ーーーーーーーーーーーーー


異世界ってのは怖いね

捕まってたらどうなってたんだろうな


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