螺旋状に突っ走って死にたいプロフィール
2012/11/17 Sat 07:29
ヒトカタ


話題:怖い話


人形

人の形をしていて、人を模した物である


ならば、人の形をしているから人形

人の代替品に過ぎないのだ

しかし、立場が逆転し、人が人形の代替品となってしまったら
人形は人形なのだろうか



なんてアホみたいな話をしていた昼下がり

昼飯を食べ終わり、俺達は人も疎らな定食屋でなぜか怖い話を始めていたのだ


ちょっと怖い話から脱線していたが、それを友達が戻すためにうまく「人形」に纏わる怖い話へと繋げた


その話をここに記そう



小さい頃、友達の近所の同い年の女の子が死んだらしい

事故だか病気だかは覚えていないそうだ

その女の子と友達は何度か遊んだことがあり、色が白く目鼻立ちがしっかりとした大人になったらきっと美人になる
そんな女の子だったとか


その近所の家の親御さんは少しを精神を病んでしまい

あまり近所付き合いをしなくなった


そしてある日、友達は衝撃的なものを目にしたのだ



ふとその家の前を通ったときだった

いつも閉めきっている窓がすこし空き、風でカーテンがまくれあがった

そこに

死んだはずの女の子がいた

友達は少しちびった


よく見るとそれは

女の子によく似た人形だった

背丈も一緒で、白い肌も目鼻立ちも酷似していたそうだ

友達はなんだか怖くなり走って逃げ帰った

それ以来その家の前を通るのは避けていたのだ


なんとも哀しく気味の悪い話だ

両親は娘かわいさのあまり、娘に瓜り二つの人形と暮らしているのだ

俺達はなんとも言えない気持ちになった



しかしこの話には続きがあった

「それでさ、この前久しぶりに地元に帰省したときに、その家の前通ってみたんだよ」

友達は神妙な顔で言った



その家は10何年経ち、少し劣化はしていたが友達の記憶のままだった

そしてあの窓に

人影があった


あの人形だ

と思った


記憶のまま背丈が俺と同じくらいで


いや、おかしいだろ


なんで大人になった俺と背丈が一緒なんだ


友達はあの時と同じようにまたちびった


そしてあの時と同じように少し開いた窓に風が吹き込み

そこにあるものを友達はみたのだ


「そこにあったのはさ…あの女の子が『俺と同い年に成長したらこうなるだろう』っていう姿形をした人形だったんだよ」


一同は絶句した





きっと今まであの人形はあの場所で歳をとっていた

そしてこれからも歳をとるのだ

年老いていく両親とともに





ーーーーーーーーーーーーーー


いかがでしたか?

人形が歳をとるなんてことはないわけで

つまり誰かが歳をとらせなければならない

おそらく毎年毎年、成長する娘を思い描き、それを人形に投影していたのでしょう

それにかかる手間、費用

それらを惜しまない精神


両親が見えている風景は想像を絶します


せめて彼らには娘が幸せそうに微笑んでいる風景が見えていますように




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