螺旋状に突っ走って死にたいプロフィール
2013/11/28 Thu 07:50
10分で構想(三回目)


話題:自作小説


「これはリンゴですか?」

「いいえミカンです」

「リンゴはミカンですか?」
「リンゴはミカンではありません」

「リンゴはなぜリンゴですか?」

「そう決まっているからです」

「ではリンゴがミカンである可能性もありますね?」


「言っている意味がわかりません」


「リンゴはリンゴだと決まっているからリンゴですが、実はリンゴがミカンだった場合はリンゴはミカンであるということです」

「リンゴはリンゴですし、ミカンはミカンです」

「それはリンゴがリンゴであるという前提に基づいた話です」

「どういうことですか?」


「」


Q、「」に入る言葉を考えなさい




私は教科書を閉じた

今の教科書の問題はこんなに難しいのか

語彙力、発想力ともに並では追いつかない

教育の水準が上がっているのだろう


私が学生だった頃より、明らかに問題の質が上がっている


ふと私は気配を感じて振り返った


そこには私を無機質な目で睨む娘がいた

「私の部屋で何をしているのですか」


今開いていた教科書のやりとりのように淡々とした問いだった

私が答えに詰まると、娘は明らかな侮蔑の表情で私を見た


「なぜ答えられないのですか」

感情的な表情と理性的な問いの矛盾が私を怯えさせる

この娘はおかしい

いや、この国の教育がおかしいのだろう

それはそれに気づかなかった私達の責任なのだ

国の教育プログラムは感情と言語を乖離させた


感情のまま、まとまらない言葉で私を責めてもおかしくない年齢だろうに

しかし、私の愛する娘は感情をあらわにしても、言葉は淡々としていた
教科書通りの言葉を口にしていた

私は思わず言ってしまった

「そんな言葉遣いはやめろ!」


娘は一瞬驚き、そして悲しげな目をして言った

「あなたは言語法の第35条に違反しています。私には通報の義務があります。」



この国の言葉は統制された

汚い言葉どころか砕けた表現の常体まで駆逐され、敬体だけが残った


私は娘の通報により逮捕されるだろう

それでもかまわない

娘に伝えなければならないことがある

血の通った言葉で!


「」


Q2、この「」に入る言葉を考えなさい










コメント(0)




[前へ] [次へ]
[このブログを購読する]


このページのURL

[Topに戻る]

-エムブロ-