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14/10/10 22:48 (:SS)
えええ
秋馬が休みの一月をアメリカで過ごして帰ってきてみれば。
「うっわなんだこりゃ。すごいな…。」
服は散らかり放題、酒瓶やチューハイの缶は置きっ放し、しまいにゃ料理をしたまんまになっているキッチンを前に秋馬はつぶやいた。
「うーっさい。おいてきやがってよー。一人で飯くってもさびしいっつーのー。」
秋馬の背後、というか秋馬にかぶさってへべれけになっている晶がどこか拗ねるような声色でぼやいた。
おもい、とだけ言って押しのけない秋馬はといえば、慣れた様子でまずゴミをまとめようと戸棚からゴミ袋を取り出す。背中に晶をはりつけたまま。
「なんでそんな酔っちゃってるわけ?セーブできんだろ。」
「んーっふっふー。秘蔵の日本酒あけたーぁ。」
完全に楽しくなっちゃっている晶である。ぐりぐりとあごで秋馬のつむじをいじくり、あーこれこれ、などと一人で満足げにしている。そんな背中にかぶさった晶を荷物とも思わせない、慣れた様子で秋馬はちゃくちゃくとキッチンとテーブルの上のゴミを片付けていった。ある程度綺麗にして、ようやく秋馬は一息をつくべく晶を剥がしにかかる。だが相手は酔っ払い。なんだかんだ理由をつけてはくっついていようとするため、ついに秋馬はしびれを切らして言ってしまった。
「あーもー、そういうのは女の子とやればいーだろ!人恋しいからって俺ですんな!」
思わず言いすぎた、と思っても時すでに遅し。秋馬に後ろから覆い被さる晶の纏う雰囲気が変わる。
「はーあ?人恋しいんじゃねーよ、しゅーまが恋しかったんだよ。でもしゅーまがそう言うなら女の子と遊んでくるけど?」
言葉とは裏腹に、ぎゅ、と秋馬に回された晶の腕に力が入る。酔っているとはいえもとの体格差があるため秋馬には晶を振り払えないし、ここまで言われては邪険にはできなかった。かといって晶が悪酔いしているのは明らか。どうするべきかと秋馬は考える。とはいえ、考えても何かひらめくわけでもなく、仕方がないので言うまいと決めていた言葉を口にする。
「さみしかったんはお前だけだと思うなよ。腹へってしゃーねーよ。ばーか。」
ぴたん、とつむじへのぐりぐりがやんで秋馬はいたたまれなくなると同時に後悔する。一方の晶といえば、こちらは動きを止めたかと思えば徐々に口の端を吊り上げていき、最終的には意地の悪いニヤニヤ顏に落ち着いた。互いの顏は見えないけれど、そこはなんとなく相手の状態を察している二人だった。
「しょーまたんかぁわいいー!なになにーむこーでオレの手料理シックなったのー?」
「あーうるせうるせ。いいからもうお前水飲んで寝てろ!ソファで!おれベッドかりるから。」
「え、そこは秋馬がソファじゃね?」
「やだよおれあんなきったないソファで寝んの!まだベッドのが片付けられる。」
急上昇したような晶をやっと引き剥がして秋馬はスタスタとリビングに向かう。その後ろを、酔いかはたまた上機嫌からか、晶がぱたぱたとついていく様はまるで親鳥にくっついていく雛のようだった。実際のところ餌付けされているのは秋馬で食事の世話をしているのは晶だが。
一悶着がひと段落ついたところで互いがこっそりと思う。
あんま離れるもんじゃないな、と。
その日の夜には、ふたつのおやすみが晶の部屋に響いた。
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