Read and Feel!
キャベツ畑の女の子たち前編
2012/03/09 12:43
コメント0

P5

アマンダと手をつないで歩きながら、カレンはちょっぴり恥ずかしいというか、心地よい緊張感を覚えた。考えてみれば自分は子供と触れ合ったことがほとんどない。赤ん坊のオムツひとつ替えたこともなければベビーシッターの経験もない。教会のサンデースクールのボランティアを頼まれて一度しぶしぶ引き受けたことがあったが、もう二度とごめんだ。

「あっシロツメグサだ!」突然アマンダはカレンの手を離しシロツメグサを摘み始めた。小さな手でちょんちょんとつまむようにつんでいく。そして摘んだシロツメグサを器用につなぎ始めた。青い目は小さな指先に注がれ一心不乱につないでいる。「アマンダ」カレンの呼びかけも聞こえない。

カレンはなんだか取り残されたような気持ちになり落ち着かなくなった。「これあげる」そう言ってアマンダは出来上がったシロツメグサのティアラ差し出した。「まあ!これを私に。キレイ!上手なのね」そう言ってカレンは「大地のティアラ」を頭に乗せてみた。「似合うかしら」「うん!お姫様みたい」愛おしさがこみ上げ、カレンは膝を折って目線をアマンダに合わせた。「キャベツ畑はまだ遠いの?」「ううん。ほらもうあそこに見えてるわ!」

着いた。青々と完璧に育っている見事なキャベツ…そのびっしりと詰まった葉をかき分けて出てきた出てきた!わらわらと!ざっと30人くらいはいるだろうか。

(まあなんてきれいな女の子たちでしょう!完璧だわ!)おや…みんなそっくりで区別がつかない。完璧なキャベツから出てきた完璧な女の子たちは3種類いる。ブロンドの髪の子、蜂蜜色の髪の子、そして亜麻色の髪の子。目の色は…みんな同じ青。「私の姉妹たちよ」「えっ!なんですって!」「ふふふふ」あちこちで風がゆらす風鈴のような笑い声がする。「私はカレン。みんなも自己紹介してちょうだい。じゃあ左の方から」「ブレンダ、キャンディ、ダイアナ、エマ、フランシス、ゲイル、ヘザー、イザベル、ジェイミー、ケイティ、リリアン、メリッサ、ニコール、オリビア、プリシラ、レイチェル、サブリナ、トレイシー、アースラ、ヴィクトリア、ウェンディ、イボンヌ…」カレンは目を丸くしてひとりひとりの顔を見た。



*新しい 古い#


TOPに戻る

-エムブロ-