「おい。仕事。」
「なんでしょう。」
「これ読み込んで俺に噛み砕いて教えて。」
「…透析患者に対する注意事項…。」


〜五分後〜


「大体把握しました。」
「おう。教えて…。」
「まず、たんぱく質を分解した後に出てくる物質に対して、ろ過機能やらなんやらが低いので摂取制限がかかっています。化学式的にくそ長い物質が苦手なので、そもそも化学物質的に短い物質、あるいはこれ以上変化しようのない物質なら問題ないです。具体的に言うなら砂糖やデンプンですね。食パンや油脂は許可されています。」
「…カリウムの項目あるやん…?」
「ありますね。積極的に水にさらしてください。」
「カリウムってなんなん!!」
「植物の成長に欠かせない物質で、主に土の中にあります。ミネラルとかと似たようなものだと考えてください。逆に言うと、植物の中には必ず入ってます。しかし、水溶性なので含まれているカリウムもしっかり水にさらした上に茹でると抜けます。要するにうまみ成分を全部捨てるつもりで調理すればいけます。」
「…つまりそれを抜いた料理を作るのは…、」
「無理なのでは。」
「俺コース料理どう作ったらいい?!」
「サラダはコールスロー、スープは基本的にカリウムが多く含まれるので控えたほうが無難化かと。ポワソン、メインで一尾の四分の一しか食べれないので、片方は豆腐を使ってやり過ごすのがいいかと思われます。あと、ちゃんと調べてからの方がいいとは思いますが、お麩が使えるかと。口直しはジュースを使う時点で却下なので何か別の物を。」
「紅茶は!」
「コーヒーと共に控えるように書面に記入してあります。」
「野菜の出汁とか!! 無理かな!?」
「…無理、かと。」



俺どうやって料理作ったらええねん病院が来い!!!!




…と。言うのが昨日のハイライトー。料理人の苦悩を垣間見た…。婚礼の時の病理食対応のお話です。重度になると命に係わるってのに、料理を出してくれと要求される不憫。管理栄養士じゃないよう。あれ見ててすごい医者って頭いい人が成るんだなぁ、って思いました。まる。