昨日は半休。



「シェフが他店舗行って帰ってけーへん。賄作ったのに…。」
「ほっといてご飯食べようよ。こない方が悪いんだから。」
「「えっ。」」

何かなその視線は。

「…まずいこと言った? だってご飯の時間は決まってるし、私とそっちの彼は今日は14:00には上がりじゃないか。さっさとご飯を済ませて片付けようよ。」
「いや、そうなんですけど、シェフ…。」
「シェフが帰ってこないことと私が半休で14:00に上がることに何か関係があるの?」
「…ない、です。」

いただきまーす。

「…シェフ、自分が仕事あるときに半休の人間がいると『待ってろ。』っていうんですよね…。先に帰らせないっていうか無駄に待たせるっていうか…。」
「言っておくが。待たないぞ。私は今日この後予定がある。」
「それでいいと思います…。」

trrrrr。

「「…。」」
「電話貸して。それシェフだろ。出る。」
「っす。」


ぴ。


『あー、もしもし俺やけど、』
「お疲れ様ですシェフ。私です。」
『お、おう、お、お疲れ…。』
「そちらの具合はどうですか。一応お願いされた通り賄を作りましたが、シェフが帰られていなかったのでお先頂いています。シェフの分は残しておりますが、何だったらそちらで食べてこられてもいいかもしれませんね。戻ってくるのは手間でしょうし。
無事にこちらも仕事が終わって、賄の片付けが済み次第、半休予定の私ともう一人は帰宅するつもりです。14:00すこし過ぎたあたりには上がれると思います…。何か御用でした?」
『…それでええと思うな! うん!! 早く帰れることに越したことないからな!!』
「ありがとうございます。何かご予定ありましたか? 私もこの後予定があるのであまり長くは残れませんが、用事があるならどうぞ。」
『大丈夫ないで!! ちょっとこっちも遅れるって電話やからこれ!!!』
「そうですか。では、今日は半休有難うございます。明日もよろしくお願いします。」
『せやな! じゃぁな!!』


ぴ。


「帰るぞ。」
「「…。」」
「無理に連れて帰ったりはしないけど。」
「いえ。帰ります。」
「ちょっとすげーその、ごり押しが…。シェフのやりにくそうな戸惑った声が…。」
「聞くが。私は何か間違ったことを言ってるのか? 虚偽の申請をしてるとでも?」
「「いや。間違ってないっす。」」
「じゃぁ問題ないだろ。帰るぞ。」
「「はーい。」」




っていうのが昨日のダイジェスト。仕事はつつがなく終わってる。もらった時間と給料以上の仕事はやらねーぞ。だって私は菓子屋だもの。料理の仕事は時間内だけやる。菓子屋の仕事は時間を超える必要があるならやって帰る。



続きを読む