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2018年10月11日 23:32
小説 3P
R-18
好き?
一ページめ必読でお願いします。

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【必読】

本作品は三次元同人を扱っています。非常にデリケートなジャンルですので、三次元同人、J禁、P禁の意味が理解でき、守って下さる方のみ次にお進み下さい。また以下の言葉の意味がわからない方もお控えください。




フォローやブクマをされる際は必ず非公開に設定していただきますようご協力をお願いします。


現在、マイピクは募集しておりません。

ですが、何度か感想など頂き、メールのやり取りをして、その方を知ってマイピクになっていけたらなと思います。

J禁P禁などは、探せはいくらでも答えは出てくるので...。理解している前提で行きたいと思います。

なかなか難しいジャンルなので、ご理解のほどよろしくお願いいたします。

本当は読んでいただいて、おもろい!と言ってもらえるだけでマイピクになっていただきたいくらいなのですが...

完全な自己満足の世界です。

地雷のない方だけ読んでください。


拙い文章でお恥ずかしいのですが、最後まで読んでいただけたらと思います。


苦情などは大変申し訳ないのですが、受け付けておりません。




マイピクさん達、これからマイピク申請していだける方へ


いつも拙い文章を読んでいただきありがとうございます。


この度色々考えまして 今までは緩かったのですが、これからご本人の写真をアイコンにされている方や、プロフなどに伏せ字ではなく公的に分かる単語が使われている方、nmmn作品を書かれている他の作家さんの公開フォロー、またnmmn作品を公開ブクマしている方は大変申し訳ないのですが、マイピクを外させていただきます。


今月中にはそうする予定です。


こんな私の話を読みたいと思って申請していただいて本当に有難かったのですが......。

いかんせん本当に面倒なくらいデリケートな世界なので、どうぞご理解のほどよろしくお願いします。








「えっと......好き...?......なんやけど......。」




出会った頃から好きだった奴が、顔を真っ赤にして上目遣いで自分にそんなことを言ってきた場合、果たして舞い上がらない男などいるのだろうか......。(もしいるのならばその極意を教えてもらいたいものだ。)


「へ?......えっ?」


余りの突然の事に驚いて、アホみたいな顔で聞き返す俺に、剛の肩がピクリと揺れ顔を真っ赤にして眼をギュッとつむり、あの可愛らしい三角の口がスローモーションのようにゆっくりと動き出す。


「ずっと......好き......やったんやけど......?」


最後が微妙に疑問形になったのが気にならなったかと言えば少し気にはなったが、それこそ今思い返せば的なやつであって


好きな人からの告白と言うのは、こんなにも人を無防備にさせるのだと若干二十歳の俺が知る由もなく......。


「つよ...し...。俺も...。」


「へ?」


俺の言葉に伏し目がちだった目がパッと大きくなって、驚いた顔をして自分を見つめ返す姿すら可愛くて


「お前に嫌われてるんと思っとった......。やばっ...めっちゃ嬉しい。」


「え.....?ちょっ...こっ...んっ!」


剛からの上目遣い&俺のことが好き

そんなダブルパンチを食らったらやることなど一つしかなくて、俺はそのまま剛を抱きしめその三角の薄めの唇を奪っていた。


「〜〜っ!!」


俺の腕の中で硬直する剛に、初心やな...なんて思った自分の方が初心だったのだ。


だけど、硬直しながらも俺の腕をギュッと握った剛に、俺は確かに愛しいと言う温もりを感じた。


一生、永遠に剛だけを守っていくとその時誓った.........はずだった......。





好き?







あれから剛と付き合いだして三か月が経った。

基本はいつもと変わらないのだが、ふとした瞬間に誰にもわからないように手を繋いで、隠れてキスをする。

その度に剛は身体を強張らせ顔を真っ赤にして『緊張するぅ。』ってはにかむのだけれど。その仕草が余りにも愛しすぎてもうどうしようもなくなってしまう。

そして、剛を可愛いと思ってんのは俺だけじゃなくて、ちらほらと聞こえてくる剛への好意的な話に柄にもなく独占欲が強くなっていき、こいつは俺のだ!と公言したくなってしまう。


この時の俺は周りからどう写っていたのだろう。

きっと、いつも剛にデレデレして、剛の言う事ばかりを聞く自分の意思のない腑抜け男に映っていたに違いないくて。


そのくらい剛に夢中だった。

そのくらい剛が好きで好きでどうしょうもなかった。



そんな周りから腑抜け呼ばわりされているであろう俺は、顔はスモックで見えない仕様だが、足元と天井から煙が駄々洩れの喫煙所としてその役割を到底果たしているとは思えないようなくらい簡易的な作りの場所で、『TVでよく見る内部告発者Aみたいな作りやな...。』なんてどうでもいいことを思いながらタバコをふかしていた。

そんな中、聞き覚えのある声が聞こえてきて俺は無意識に聞き耳を立ててしまう。


「あのぉ......剛君て今フリーなんですよね?それで......よかったら私と付き合ってもらえませんか?えへへ......恥ずかしぃ。」


誰が通るかもわからないスタジオの廊下で堂々と剛に迫る共演者に軽い殺意が芽生え、俺のこめかみには青筋が立つ。


なに考えとんねん......。

こんなとこでそんな話して......噂とかになったらどないするつもりやねん。


いや......下手したらそれが狙いか......?
「んふふ。ありがとう。せやけど遠慮しとこうかなぁ。」


これまた可愛らしい断り方に、思わず頬が緩むが、こんなところで腑抜けている場合ではないと、まだ半分は残っている煙草をギュッともみ消し立ち上がる。


「え〜。それって付き合ってる人いるってことですかぁ?誰にも言わないんで教えてくださ〜い。」


このアホっぽい話し方を信用して本当の事を話す奴なんているのだろうか......。

いるとしたらよっぽどの寂しがり屋かただのアホやな。


こっそりとため息を吐きながつらも、息を殺して剛の言葉を待っている自分に苦笑いが零れてしまう。


いや、いないって言うべきやんな。

それはわかっとんのやけど......。


「残念ながら、付き合うとる人はおらんよ。」


やっぱりな。

そんな堂々と言える訳なんてなくて

そんなことわかっているのに少しだけ落ち込んでしまう自分は、ホントにもう大概だ。


「でも......。大切にしたいなって......そう想える人はおるよ。」


「っ!」


剛のその言葉に、他の誰でもない自分が驚いてしまって、それと同時に言いようのない嬉しさが込み上げてきて、俺は咄嗟に喫煙所から飛び出していた。


「えっ!こうっ......えぇ!ビックリしたぁ!なんでおんのよ〜。」


顔を真っ赤にして驚き、真ん丸の目で俺を見つめる剛に、なんだか照れてしまって


「いや......ちょっと......そこでタバコ吸ってて......聞きなれた声が聞こえるな〜って...。」


男二人が頬を赤く染めモジモジとする様子に、共演者の女の眼が一気に冷めたものへと変わる。


「あの......大切にしたい人って......。」


「えっ!聞いてたん!?」


さらに驚く剛に思わずその手をギュッと握ってしまう。

共演者の女がいるのにとか、ここは誰が通るかもわからんスタジオの廊下やで!とか、最早そんなこと俺の頭にはなくて、ただ剛が照れて逃げてしまわないようにと、捕まえておきたかった。

その温もりを離したくなかった。


「アホくさ......。」


見つめ合う俺たちの隣を冷めた目をした共演者の女が通り過ぎて行く。

狙っていた男をあろうことか男にかっ攫われたのだ。散々かぶっていた猫をさっさと脱ぎ捨て、三流ピュアドラマよろしく頬を染めている二人を見ることもなく颯爽とその場を後にする。

そうすることが彼女にとっての最大のプライドだったのかもしれない。




「つよ......。」


「こぅいち......。」


掴んだ手はいつの間にか恋人繋ぎになっていて

俺を見つめてくる大きな目は何処か強い意志を含んでいて

ん?と首をかしげてやると、赤い顔が更に赤くなって可愛らしい三角の唇が動き出す。


「あんな......僕なっ......。」


意を決したと言う感じで口を開く剛を暢気な声が遮った。


「あれ〜?光一と剛じゃん。こんな通路のど真ん中でなにしてんの〜?落とし物?」


のほほんとした口調に一気に脱力してしまいそうになるが、それよりも真剣な顔をして何かを言おうとした剛が気になって、俯いているその顔を覗き込めばそこには今にも泣きそうな顔をしている剛がいて


「どないしたん?」


そんなに泣きそうになるくらい大切なことを言おうとしてたん?
ふるふると首をふる剛に言いようのない不安が押し寄せ、繋いだ手を更に力強く握り返すと剛はその手を振りほどくようなことはしなかったが、一歩俺から遠ざかりまた首をふる。


なんやねん。

どないしたん?
キリキリと押し寄せてくる不安に、俺は握った手をそのままに歩き出していた。


「え?ちょっ...光一?」


後ろから聞こえてくる長瀬の声も俺の耳に届くことはなく、剛と二人で話をすべく楽屋へと足早に歩き出していてた。

そして黙って俺に手を引かれて歩いてくる剛にホッとしていた。


「大事な話やんな?楽屋行くで。」


歩きながらそう剛に伝えれば、繋いだ手を強く握り返してきた。

その強さが大丈夫だと伝えているようで、その温かさが俺のことを好きだと言っているようで、それだけで何故か安心してしまった。


しかし、その温もりは楽屋のドアノブに手をかけたところで消えてしまう。


「光一君!何やってんですか!」


マネージャーの慌てた声と共に剛と繋いだ手が引き剥がされる。


「なにってなんやねん。剛を楽屋に連れてきただけやんけ。」


「なにをそんな悠長な...。と、とりあえず早く楽屋に入ってください!」


睨む俺を他所にマネージャーはグイグイと俺と剛を楽屋へと押し込み、慌てて楽屋のドアを閉める。






「全く......あなたって人は......。」


「......んやねん。」


楽屋に入ってのマネージャーからのため息になんだかイラついてしまい、ドカッとソファーへと座り込み睨みつけると、更にため息を零された。


喧嘩売られとんのやろか?
よっしゃ表出ろ!
剛との手を引き離され、内心かなりムカついていた俺は本気でそう思い、一度下ろした腰をソファーから立ち上げる。


「おい、マネ...。」


「いいですか?今、どんな状況かわかってますか?剛君も!光一君に流され過ぎです!」


「僕はそんなっ......流されてなんて......おらんもん......。」


そう言ってシュンと項垂れる剛に、『おらんもん。』って可愛すぎやろぉぉぉぉと悶えつつも、剛をへこませるマネージャーに本気で怒りが湧いてくる。


「ってか、流され過ぎってなんやねん。まるで俺が強引みたいやないか。」


「強引じゃないですか!あのドッキリのやつだって、もみ消すの大変だったんですからね!」


「え?」


「マネッ!」


ドッキリ?もみ消す?何の事や?
予想外のマネージャーからの言葉に、思わず固まってしまった俺にしまったという顔をしたマネージャーが剛を見る。

それに釣られるように俺も剛を見ると、そこには真っ青な顔をした剛がいて......。


え?
どいうこと?
「とにかくっ!そう言った行動は自嘲してもらわないと!」


「そう言った行動ってどいう行動やねん......具体的に言えや......。」


「っ!ですからっ......。」


「ドッキリってなんや。もみ消したってどういう事やねん。」


地を這うような俺の声に、マネージャーも焦り出し、しどろもどろになっていく。

だが、だからと言って聞かなかったことになんて出来なくて


「剛......。」


「っ!」


名前を呼んだだけで大袈裟に肩を震わせる姿に、この話はとんでもない爆弾なんだという事が容易に想像できてしまった。

しかも、俺にとっての爆弾なのだ......。

剛が真っ青になってしまうくらいなのだ、もしかしたら知らぬが仏なのかもしれない。

このまま聞かなければ今までと同じように幸せな日々が続くのかもしれない。

しかし、それを選ぶ選択肢は俺にはなくて。

自分だけが何も知らないという事実がどうしても許せなくて。


「言って......頼むわ。もう何もなかったようには出来ひん。お前かてそれくらいわかるやろ?」


懇願するような俺のセリフに、眼にいっぱい涙を溜めた剛が意を決したように頷いた。


「光一君。私が説明します。これは誰も悪くない、しいて言えばテレビが悪いんです。剛君だって勿論悪くないです。」


「御託はえぇから早よ言えや。」


唸る様にいう俺に、マネージャーはまたため息を零す。


「なにため息ついとんねん。」


そんなことにすらムカつき突っ掛かってしまい、楽屋の中はピリピリとした異様な緊張感に包まれていた。


「半年くらい前です。とある企画が持ち上がりました。相方から告白されたらどうする?というドッキリ企画です。」


「......ぇ?」


相...方からの告白って......。

まさか......。


「その企画の中にはもちろんお二人の名前も入っていました。」


そんな......まさか......。


「剛君がドッキリを仕掛ける側です。」


ひゅっとおかしな息の吸い方をしてしまう俺に構わず、マネージャーは俺の眼をそらさずに話を続ける。


「剛君は絶対嫌だと、勿論私たちもそんなドッキリは掌握しかねると企画者側に伝えました。しかし、上の方でOKを出した者がいたようで......。」


隣の剛を見れば、真っ青な顔をして俯き目を伏せている。

剛は今なにを感じ思っているのだろうか......。

絶望か......それとも安堵か......。


「そこからは光一さんもご存じの通り、まさかの光一君が剛君を受け入れてしまって、更にはキスまでしてしまうという暴挙にでたので、当然企画はお蔵入りにさせました。そしてそのまま緘口令をだしました。」


鈍器で頭を殴られたとはこういう事をいうのだろうか......。

頭がガンガンと痛みだし、倒れそうなくらいの眩暈が襲ってきた。



これは何の冗談だ......。


『ずっと......好き......やったんやけど。』


頬を染めながらそう呟きうつむく剛の姿がフラッシュバックする。



「ちょっ、ちょっと待って......。ほんなら......剛が言った俺を好きってのは......。」


「......嘘...だと思います。」


「違うっ!!嘘やない!僕は本気でっ!」


ガバッと顔を上げそう叫ぶ剛の頬は濡れていて......。


「ちょっと、剛と......二人だけで話しさせてくれへん?」


「...わかりました。ただこれだけはわかってください。剛君は悪くないんです。」


「わかっとる......。」


いや、本当は何一つわかってなんていなくて


一瞬にして突き落とされた闇は余りにも深すぎた。


そんな俺の言葉にマネージャーは一瞬考えたもののペコリと頭を下げ楽屋を出て行く。


ガチャンとドアの閉まる音と同時に剛が俺の腕へと縋りついてくる。


「ちゃうねん......。光一ッ......僕はっ!」


あんなに愛しいと感じた温もりが、何故か今はもう何も感じなくて

むしろ剛に触れられるということに嫌悪感が湧いてくる。


「俺が間抜けやったって話やんな?」


「光一っ!ちゃうねん。聞いてやっ!」


ハハッと虚しく笑えば、剛は更に必死に訴えてきて


「なんでドッキリやで〜って言ってくれへんかったん?笑ってそやって終わらせてくれたら......それやったら俺かて......。」


両想いだなんて思わなかったのに......。


両想いや!って舞い上がって幸せを感じていたのは自分だけだったなんて......。

俺はどんだけ間抜けやねん......。


「やって、お前いきなりキスしてくるし......それに僕も......。」


「好きでもないのに手ぇ繋いでたりキスしてたやんな?」


「やからっ!ちゃうって!!僕もっ!」


「そんなに俺が可哀想に見えたか?お前って同情でキス出来る奴やったんやな......。」


「違う......僕は同情でなんて......。僕はホンマにお前の事がっ、好きやねん......。」


はらはらと涙を流しながら伝えてくる剛に、どうしょうもない怒りが込み上げてくる。

わかっている。

剛は悪くない。

優しいから......舞い上がる俺を見て本当の事が言えなくなってしまっただけなんだと......。

頭ではわかっている。

しかし、それならばなおさら本当の事を言ってほしかった。


どんな気持ちで手を繋いでた?
どんな気持ちでキスしてたん?
一度湧き上がった怒りは収まるどころか、どんどんと増幅していって

いつもは愛しいと思う涙にさえも怒りが込み上げ、狂暴な気持ちだけが心を覆っていた。




「なら......抱かせろや。」


「えっ......ぅんっ!!」


俺の腕に縋っている剛の腕を思い切り引き寄せ噛みつくようなキスをする。

そして、そのまま床へと押し倒しシャツを捲り上げ、ずっと触りたいと思っていた素肌へと手を這わす。


「光一ッ!!やめっ!!」


突然の俺の暴挙に叫び出した剛の耳元で、甘いささやきとは程遠い言葉を囁いた。


「お前やっぱ演技めっちゃ上手いな。泣き顔とか完璧すぎやろ......ホンマは俺だけじゃないんやろ?こうやって同情してキスして体触らすの。そうやって人に同情して優しいふりして陰で笑っとんのやろ。最低やなお前。何様やねん。」


「―――っ!!」


ズタズタに剛の心を引き裂いてしまいたいと思った。

どんな罵声を浴びせても足りないと思ってしまうくらいに憎しみが湧いてきて。


なにに?
好きという言葉が嘘だったことに?
手を握るたびに肩を振るわせ顔を真っ赤にしていた事すら演技だったのか?
隠れてキスをするたびに二人で微笑み合った事すら嘘だなんて......。


俺だけが何も知らなかったことが、すべてが嘘だったことが何よりも許せなくて......。


大粒の涙を零し抵抗することをやめた剛は、なにを感じなにを思っているのだろうか。

自業自得だと思っているのだろうか

だから、このまま俺に抱かれようとしているのか?
簡単に身体を差し出してくる剛に、そんなことを簡単に決めてしまう剛に、どうしょうもない怒りが後から後から込み上げてくる。


「ははっ......腹いせに抱こうかと思ったけど......なんや、お前を触るんも汚らわしいわ。」


「っ!」


大きい眼がより一層大きく見開かれ、また新たな涙がボロボロとこめかみを伝って床を濡らしていく。


剛に覆いかぶさっていた身体をドカリとソファーへと沈め、俺は少しでもこの怒りを落ち着かせようと無意識に煙草を探していた。


「この三か月間の俺はさぞ滑稽やったろうな......。」


気が付けば、ポケットから取り出した煙草を持つ手が震えていて


「光一......。ちゃうよ......。僕はホンマにお前の事が好きや......好きやねん。」


身体を起こし涙を流しながら俺を見つめ告白してくる剛は余りにも儚く、思わず視線が逸らせなくなる。

しかし、あんなにも恋焦がれていたはずの想いはどこにも見当たらなくて、剛からの告白に一ミリも嬉しいとなんて思えなかった。


「出てって......。」


「光一っ!」


「出てけ!」


食い下がらない剛を冷たい眼で見返せば、そこにはさも傷つきましたという顔があり、今までの自分ならばきっと剛を優しく抱きしめていたに違いなくて......しかし今の俺の中に湧いてくるのは罪悪感などではなく、それは紛れもない嫌悪感だった。


「お前に嘘つかれてて......俺はこれから誰を信じればえぇねん......最悪や。最低や......頼むから俺の前から消えてくれや......。」


一番信じていた。

一番信頼していた。

誰よりも愛していたのに......。


「お前だけは......信じとったのに......。」


「光一に好きやって言われて......ホンマ嬉しくて......。嘘やって言えへんかった。」


「嫌いや。今は誰よりもお前の事が嫌いや......。」


「っ!!......ほんまに......ごめん...。最低なことして......ごめんな......。」


そう言って剛は楽屋から出て行った。

シンッと静まり返った楽屋で、怒りや憎しみだけではなく何とも言えない悔しさが入り混じったやりきれなさに、思わず持っていた煙草をギュッと握り潰した。

だけど、それだけじゃ全然足りなくて、テーブルの上にあった雑誌を手に取りおもいきりドアへと投げ付けていた。


バシッ!!
その音に、きっと剛は更に傷ついたに違いなくて


でも、そんなことまで考える余裕なんて今の俺にあるはずがなく。


ただ、裏切られたという絶望感だけが重く俺の心を支配していた。









あとがき



お久しぶりです。

色々と忙しく慌ただしい日々を過ごしておりました。

ここに来るのも久々で、その間に色々あったようでまるで浦島太郎になった気分でおります。


相変わらずの盗作被害とかもあったようで......。


ましてやそれが、時々やり取りをさせて頂いていたマイピクさんだった事にショックを受けております。

久々に戻ってきたら素敵な書き手さんが辞めていたとか悲しすぎです......。


再三、沢山の方が非公開ブクマや非公開フォローを訴えてくださっているのに、なかなか伝わらないという事実に私自身も考えさせられております。

サイトは作る気力も技量もないので、移るならTwitterとかの方がいいのかなぁと......。

このまま変わらなければそうなる可能性も高くなると思います。


どうか、少しでも改善されることを願っております。





***



さて、久々の投稿で実はかなり緊張しております。

ましてや↑のようなことも書いてますし。(こういうの書くのホント苦手で......。)

だれかの気分を害していないだろうかと冷や冷やしております......。

むしろ気分を害してしまった方がいたらごめんなさい。


本当は君と僕シリーズを書いていて、しかしそれも書いては消しての繰り返しで、更には違うストーリーを書きたくなってそれを書いては中途半端でやめてみたいな感じでチマチマと書いていたのですが、久々にPC開いたらまたなんか違う話が書きたくなってしまい(照)

しかも、相変わらずの痛々しい話です(進歩がなくてすみません)......が、今回は車さんがなんかヒロインになってます(前半だけですが笑)


久々に書いたのでなんか色々鈍ってて短めです。

続きは一応決まってるけど書くかは未定という見切り発車でして(汗)



しかも、私なんて忘れ去られてる可能性の方が高いんじゃない?とか思ってたりして(笑)

お久しぶりですとか言えるほどの人間じゃないし、むしろ誰こいつ?って思われてたらどうしよう...なんて相変わらずのマイナス思考&ビビり―キングな私は密かにドキドキしております(笑)



それでも、投稿していない時でも心温まるメッセージをくださった方々もいて、本当に感謝して居ります。

こんなチキンな私にマイピクになりたいと勇気を出してメッセージをくださった方々もいて、本当に嬉しく思っております。

お返事が遅くなってしまい大変申し訳ありませんでした。

また、ちまちまと書いて行けたらなと思っております。

拙い文章で本当に恥ずかしいのですが、これからも読んでいただけたらなと思っています。



感想などいただけると、ホントにモチベーションあがります(笑)

スキップするくらい喜びます(笑)


こんな面倒くさい奴ですが、気軽にメッセージしていただけたらとても有難いです。


最後に、しつこいようですが、非公開フォローと非公開ブクマよろしくお願います。



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「好き?」/「はる」の小説 [pixiv] www.pixiv.net

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2018年10月12日 08:20 に更新

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束縛シリーズ 甘んじて

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2018年10月14日 07:21
小説 3P
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甘んじて
1ページ目、2ページ目必読!(お知らせがあります) 

c*車魚
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甘んじて天泣
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【お知らせ】

作品の投稿についてのお知らせです。

マイピクの皆様、フォロワーの皆様、ブクマしてくださっている皆様は是非ともご一読ください。




これまで作品の投稿は、新作はタグをつけて投稿し、数日後にタグを外して全体公開、その後は過去作品すべてをタグなしで全体公開としていました。


ですが、今後は過去作品はすべてマイピク収納する事にいたしました。


投稿の際に非公開フォロー、非公開ブクマをお願いしていましたが、残念ながら非公開にしてもらえない方がおられますので、勝手ながらこのような方法にさせていただきます。

今後は公開ブクマ等は見つけ次第ブロックさせていただきます。



新作は引き続きタグを付けて数日全体公開したのち、マイピク限定公開となります。ただ、数字ががっつりお仕事している作品に関しては全体公開なしで限定公開のみにする方向も検討中です。私の作品はそんなに数字がお仕事することはないのでその時にまた考えます。


今ある過去作品については、少しずつ下げて、11月までにはすべてマイピク収納する予定です。

ただし、シリーズに関しては新作投稿時にシリーズすべてを閲覧できるようにしようと思います。





以前にもすべての作品をマイピク限定公開にしようと考えた時期がありましが、その時は予想以上にたくさんの方からのご要望もあって、タグなし全体公開にする事にしました。


お願いすれば、理由を説明すれば、理解してもらえると考えていましたが、その自分の考えの甘さを痛感しています。



マイピク承認に関しても、今までは正直緩かったのですが、色々と思うところもあり、このままではいけないと考えています。

これからはきちんと確認させていただいてから承認していこうと思います。


既にマイピクの皆様についてもフォロー、ブクマ、プロフのアイコン含む内容等をこちらで確認させていただき、ルールを守っておられない方は、大変申し訳ないのですがブロックするか、マイピクを外させていただく場合がございます。お心当たりのある方は、今一度ルールをご確認の上、ご協力をお願いします。



大多数の方はルールを守ってくださっています。ですが、全員が守らなければ意味がありません。

私個人の身勝手でこのジャンルを危険に晒すことはしたくないです。



こんな私の話を読みたいと思っていただいて本当に有難いのですが、デリケートなジャンルですので、ご理解の上で閲覧、マイピク申請していただければ嬉しいです。


マイピク申請してくださる方は、お手数ですがプロフを一度ご覧になってからお願いします。



長々とお付き合いいただきましてありがとうございます。

次ページに簡単な設定も書いてあります。そちらも目を通してください。



【必読】



本作品は三次元同人を扱っています。



非常にデリケートなジャンルですので、三次元同人、J禁P禁の意味が理解できない方、また以下の言葉の意味がわからない方は閲覧しないでください。






『車魚』










☆フォローやブクマをされる際は必ず非公開に設定していただきますようご協力をお願いします。

公開にされている方は大変申し訳ございませんが、ブロックします。


また、ご感想などはコメント欄ではなくメッセージにて頂けると嬉しいです。



☆作品の投稿について

新作はタグをつけて投稿しますが、タグは数日後に予告なく外します。その後は、過去作品はすべてマイピク限定公開となります。






シリーズものですので、大まかな設定を書いておきます。


二十代前半の付き合いたての初々しいお二人をイメージしています。


シリーズを最初から読んでいないと意味がわからないと思いますので、お気をつけください。




それでは次ページより本文です。

ルールを守ってくださる方のみ次へお進みください。




車を店の前に付けて、つよしを迎えにもう一度店内に入る。

自動扉が開いた瞬間、目に飛び込んで来た光景に思わず足がピタリと止まった。


そこにはつよしと後輩の他に予想外の人物が居た。

今日のゲストだった女の子、倉田すずだ。

以前共演したとかで、腹立たしいほどつよしと仲が良い、若い女優さん。


彼女はおどおどと、つよしと後輩の顔を交互に見ながらところなさげに佇んでいて、後輩は怖いくらい真剣な顔で相変わらず赤い顔をしているつよしを睨み付けるように見つめている。

そんな視線をさらりと受け流しているつよしの顔には、勝ち誇ったような笑みが浮かび、上機嫌な様子で口角を上げている。

そして、何故か彼女の腕を掴んでいた。



…なんだ、これ?

傍目から見れば、三角関係の縺れによる修羅場のようにも見える三者の様子に、俺の身体は急激に温度を下げ、言い様のない不快感が全身を駆け巡っていく。





「…何してんの?」


自分でも驚くほどの低い声が出てしまい、つよし以外の二人が弾かれたように俺を見る。

だが、つよしだけはすぐにこちらを見ずに、酷く緩慢な動作で自身の手から倉田すずの腕をするりと滑らせるように解放した。


にこやかな笑みを浮かべたままゆっくりと時間をかけて俺の方に向いたつよしの後ろで、倉田すずがそろりと一歩後退して、その背に隠れるような位置に移動したことによって俺の視界から消えたことが、またしても俺を苛立たせる。


ムカムカと胃の中が煮え滾るような感覚に無意識に眉間に深い皺が寄った。



「なーんも。ちょっと世間話してただけ」


つよしがいつものように間延びしたゆったりとしたしゃべり方で俺を見ながら言った。


とてもじゃないがちょっと世間話してただけ、という雰囲気では無かったように感じたし、俺の登場によって明らかに他の二人は動揺しているように見えた。


訝しげな視線を向けてもつよしは表情を少しも変えずに、にっこりと微笑む。


これ以上は追求するな、という作ったような笑顔に俺が気が付かない筈もなく、内心やれやれと溜め息を吐く。


こういう顔をしている時のつよしは、何を話していたのかと聞いたとしても素直に答えないだろうことは分かりきっている。



言いたくないというのなら無理に問い詰めようとは思わない。

それでも俺には分かってしまった。

つよしが決して上機嫌などではなかったことに、むしろ不機嫌なのだということに、つよしと目が合った瞬間に気が付いたからこそ、このまま放置することは出来ない。


かと言って、今ここで問い詰めても押し問答になるのは目に見えている。

だとすれば、つよしの不機嫌の原因が何であれ、一刻も早くこの場から離れるのが得策だ。


聞きたいことも言いたいことも山ほどあったのだが、俺はそれをぐっと呑み込んだ。


「ふーん…まぁええわ。つよしくん、帰んで」

短くつよしを促して、そのまま出口へと向かったけれど何故かつよしは付いてこず、不思議に思って振り返ろうとした時、意外な声に呼び止められた。


「あのっ、光一さん。話があるんですが、今から少しだけお時間をいただけませんか?」


やや緊張した面持ちで俺を見る後輩は、いつもと雰囲気が違うように感じられた。

光が乱反射してキラキラと瞬いている瞳は真剣そのもので、少しだけ不安げに揺れている。


普段ならいくらだって時間を割くし、それこそ何時間でも話を聞いてやるのだが、生憎と今夜だけは彼に付き合ってやることは出来ない。


このところ毎晩のように彼を含む後輩たちに付き合って飲みに行っては愚痴を聞いてやったり悩みを聞いて出来る限り解決するようアドバイスをしたりと、俺なりに先輩として求められれば答えてきた積もりだ。


別に恩に着せるわけではないが、本来出不精な俺は毎晩外出すること自体なかなかしんどかったりする。

それでも誘われればいそいそ出向いて行くのは、それが可愛い後輩だからに他ならない。


もっとも最近はつよしと会う予定もなく、連絡もないことに少なからずダメージを受けていたので、俺的にも気を紛らせることが出来て助かってはいた。


だけど、それはあくまで他に予定がない場合だ。

そして後輩には今夜は予定があるとすでに伝えてある。


数日ぶりにつよしに会えるというだけでも今夜は最初から他の予定など入れるつもりなどなかったし、ましてやその最愛の恋人は発熱してしまった。

加えてつよしの様子がどこかおかしいと感じている俺は、一刻も早くつよしとふたりきりの空間に閉じ籠りたくて、幾分冷たく後輩をあしらった。


「今から?今日は予定があるって言うたやろ。悪いけど、今度にしてくれ」


俺の拒絶が伝わったのか、一瞬ビクリと肩を震わせて、それでも後輩は何かを訴えるように俺を見つめてくる。


「少しだけでいいんです。お願いします」


深々と頭を下げてくる後輩に対して申し訳ない気持ちが湧かない訳ではなかったが、俺としても誠意は尽くしているつもりだ。

いつもなら俺が断りを入れれば、すぐに受け入れてくれる後輩が、今日は一歩も退かないといった様子で随分と聞き分けのないことを言う。


「今日はほんまに時間ないねん。つよしくん送らんとあかんし」


懇願するような視線を向けられても少しも心が動かされることはない。

つくづく俺を揺さぶれるのはつよしだけなのだと思い知る。

それどころか、嫌悪感さえ感じ始めた俺の心情を知ってか知らずか、それまで静観していたつよしがこのタイミングで徐に割り込んできた。


「僕はタクシーで帰るから、送ってあげたら?」


「……はぁ?」


ふざけんなよ、と言外に怒りを滲ませて睨み付けるが、のほほんとしゃべるつよしは何処吹く風で意に介した様子もない。


「ひとりで帰れるし、僕のことは気にしなくていいから」


誰が独りでなんか帰すか!
何が僕のことは気にしなくていい、やねん。お前以外の誰を気にせぇっちゅーねん!
可愛さ余って憎さ百倍とはこの事だ。


つよしと会えるこの日を待ちわびていたのも一刻も早く帰って二人っきりになりたいと思っているのも俺だけなんか?
病気のつよしを置いて、他の奴と帰れなんてよく言える。


お前は本当に俺の恋人なのか、と問いただしたくなる。


それまで必死に押さえ付けていた俺の荒ぶる感情が爆発したかのように、怒りに目の前がチカチカと点滅する。


「あほなこと言いなや。そんなことできるわけないやろっ」


「よいはもぉさめたし、らいじょうぶ」


「つよ。ええ加減にせいよ?」


わざと睨み付けても効果はあまりないけれど、明らかに大丈夫ではない口調のつよしに、まだ言うのかと半ば呆れる。


そんなひらがな喋り全開で、若干呂律も回っていないクセに、どの口が言ってんねん。


もしかしなくてもまったく自覚がないらしいつよしの様子に、あからさまに盛大な溜め息を吐く。


「つよしくん、今日体調悪くてさ、熱があるのよ。やから、一人で帰らせられへん」


わざとつよしを無視して後輩に向かってそう言うと、俺以外全員が目を丸くして俺を見る。

張本人であるつよしが一番驚いたような顔をしているから、思わず脱力してしまう。


いや、お前まで驚くなよ。


ふらふらと身体を揺らしながら自分の頬を触って熱を確認し始めたつよしがなんだか危なっかしくて、少し強引にその熱い身体を引き寄せた。

覚束ない足元を支えてやりやながら、見せつけるように肩を抱く。


本音を言うと、こいつは俺のモノだから手を出すなよ、と言ってやりたい。

ここでキスのひとつでもすれば、倉田すずだってつよしへの想いを諦めるかも知れないし、つよしの気を惹こうと無駄な努力をしなくて済む。


でもそんな真似をしたら、つよしはきっと怒るんだろうな、と少し恥ずかしそうにさっきよりも少しだけ赤く頬を染めた腕の中の恋人に口角をあげる。



無意識なのだろうが、身体をくっ付けると自然と俺に体重を預けてくるつよしに、それまでの怒りも忘れて緩みそうになる頬を無理やり引き締めるのは結構大変だ。


つよしがチラリと何か言いたげに上目遣いに俺を見ていたが、それには気がつかない振りを決め込む。


「つよしくんそろそろ限界そうやから、俺ら先に買えるわ」


ポカンと俺たちを見ていた後輩と倉田さんに簡単に挨拶をして、ほとんど引き摺るようにつよしを連れて店を出る。


店の前に停めてあった愛車の赤いドアを開けて助手席に押し込むようにつよしを座らせると、自分も運転席に滑るように乗り込んだ。

「ん?」

「………」

何故か俺をじっと見て動かないつよしのシートベルトを身を乗り出してカチャリと閉めてやってエンジンをかけた。











ハンドルを握りながらチラチラと助手席を見て、こっそり溜め息を吐く。


車を発進させた途端に、つよしの纏う空気が一変してしまった。


不機嫌です、とでも言いたげにむっつりと黙り混んで、ぷぅっと膨らませた頬と可愛らしい特徴的な三角の唇をあからさまに尖らせている。


車に乗り込むまでは、ふわふわと酔っ払い特有の柔らかい雰囲気だったのに、今はその面影すら無い。


どうしたものかと頭を掻く。

何が切欠かすらわからない不機嫌モード全開のつよしは、はっきり言って面倒くさい。

まぁ、それはそれで、可愛いんだけど。


「疲れたやろ。着くまで寝とく?」


赤信号で止まったタイミングで、シートを倒してやろうかと声をかけても無言でふるふると首を振るだけでこっちを見もしない。


「気分悪くなったら、すぐ言うんやで」


困り顔で頭を撫でてやると、そこは嫌がることなく嬉しそうにちょっとだけ頬を緩ませるから心の中で笑ってしまった。



甘やかされることに慣れきったつよしの反応が可愛くて仕方ない。


俺に頭を撫でられたり世話を焼かれることをさも当然という風に受け入れるつよしに、言い知れぬ充足感が俺の心を満たしてくれる。

もっともっと甘えたになってくれたらいいのに、と思ってしまっている時点で、今後更に甘やかしてしまうだろう自分が容易に想像できて我ながらもう病的だとちょっと引く。


つよしの不機嫌に反比例するように、俺の機嫌はどんどん上昇していく。


鼻歌でも歌い出しそうな気分で夜の街を赤い車で駆けるのは、何度赤信号に引っ掛かろうが、マナー違反の車に割り込まれようが、少しもイライラしない。

寧ろ久しぶりのドライブデートを俺は不機嫌な恋人にちょっかいを出しながら楽しんだ。



何度目かの信号でつよしのふっくらした頬を指の背でスリスリと擦ってから青に変わったことを確認して車を発進させる。

車が止まる度に、どこかしら触れているけれど手を払われる事もなく、走り出すとチラチラと俺の顔を窺っているつよしに内心ほくそ笑んでいたら、突然車内に着信音が鳴り響いた。


恋人同士の甘い空間に、無粋な機械音。


上着のポケットのスマホから振動が伝わってきて、ほんの少し気分を害しながら俺は無視を決め込んだ。



「ケイタイ鳴ってんで」

また赤信号に引っ掛かったのでつよしに触ろうとしたら、先にそんなことを言われてタイミングを逃してしまった。

おん、とだけ返事をして、ほらやっぱり邪魔されたとスマホに舌打ちしたいところをグッと堪えて信号を睨み付ける。


「…出ぇへんの?」

なかなか鳴り止まない着信音を気にして、つよしが俺をチラリと横目で見る。

出るつもりは初めから無かったから軽く首を振って意思表示をしたらつよしの眉間に皺が寄ってしまった。


どうやら俺が電話に出ないことに腹を立てたらしい。

けど、もしここで俺が電話に出たとしてもそれはそれでつよしはきっと何で電話に出るんだと怒ったと思う。

間違いなく、絶対そうだ。


つまり不機嫌モードのつよしは、どっちにしろ俺のする事なす事すべてが気に入らないのだから俺に出来る事といえば、苦笑いくらいだ。


「なんで?出たらええやん」


思ったよりつよしの口調がキツいものだったので、少しだけ意外に思い顔を見つめると、気まずげにすぐに顔を背けられてしまった。

しまった、と顔に張り付けて分かりやすくアタフタし出したつよしは、懸命に電話に出なければいけない理由を並べ立てている。


時々何を考えているのか分からないくらい心情を隠すのが上手なのに、今夜はいつになく感情が駄々漏れているつよしが可愛くて、つい顔がニヤけてしまう。


「…運転中やし、もうつよしくん家に着くから後でええよ」


緩んだ口元を手で隠しながら言うと、ハッと顔を上げたつよしがキョロキョロと世話しなく黒目を動かすから、突然どうしたのかと小動物みたいな動きを目で追う。


取り敢えず見守っていると、つよしは何故かシュンとしてしまった。

眉尻を下げて、唇を引き結んで、今にも泣き出しそうな顔で窓の外の景色を見つめるので声をかけようとした時ちょうど信号が青に変わって慌ててハンドルを握る。


車が走り出して再び目線を向ければ、今度はさっきまで下がっていた眉尻がつり上がり、三角の口が尖っていた。

内心ギョッとして、思わず二度見してしまったほどの豹変ぶりだ。


さっきまでの不機嫌アピールとは違って、どうやら今度は本気で怒っているようだ、というのはわかったが、如何せんつよしのスイッチがどこにあったのかがわからない。

こうなれば、もう下手に手出しは出来ないので、俺は黙って運転するしかない。


「車止めて。んで、電話出て」

え、ここで停めんの?何てツッコミを尖っている声に入れる勇気は持ち合わせていないので、今じゃなくても…と小声で抗議してみたけど、すごい勢いで睨まれた。

「なんで?なんで今じゃダメなん?それとも僕がおったら話せんの?」

殆んど叫ぶように言ったつよしの瞳が水分を溜めていて、今にも溢れそうになっている。

つよしの涙にめっぽう弱い俺は、黙って言われた通りに路肩に寄せるしかなかった。







ハザードランプが点滅する規則的な音がやけに大きく響いて、いつの間にか着信音は鳴りやんでいた。


シートベルトを外して、黙り混んだ助手席に体を向けて顔を覗き込んでみる。

つよしはビクッと肩を揺らして、俯いたまま膝の上でぎゅっと両手を握りしめた。


「つよしくん?」


名前を読んでみても益々握る手に力が入っただけで返事はない。


今日何度目かの溜め息が出そうになって慌てて飲み込んでから、不機嫌の原因であろうスマホを上着の内ポケットから取り出した。


着信履歴を確認して、ちょっと意外な相手だったことに驚きつつ何の用だと眉を潜める。

普段滅多に電話なんてかけてこないくせに、こんな時にわざわざかけてくるな、と理不尽にも怒りを感じて舌打ちしたい気分でスマホから視線をあげたら、つよしがこっちをじっと見つめていた。


大きな潤んだ瞳からは、堪えきれなかっただろう滴がポロリと落ちた。


「っ…つよ?」


一つ溢れてしまえば、まるで決壊したダムのようにポロリポロリと大きな滴が止めどなく丸い目から溢れ出す。


「っ…ひっく…っ…」


いよいよ嗚咽を漏らし始めたものだから、慌ててスマホを投げ捨てて両頬を掌で覆うようにして濡れた後を拭ったけれど、少しも追い付かない。

長い睫毛に縁取られた瞳からは、つよしが瞬きする度にぽろぽろと大粒の涙が流れては後を残して消えていく。

親指の腹で目元を優しく擦ってみても瞳から水分は全然減ってくれずうるうると潤んで溢れてしまう。


突然のつよしの涙に分かりやすく狼狽えた俺は、何とか泣き止ませようと必死で宥める。


「え、ちょっ…つよ、どした?」


頭を撫でてみてもつよしは時折瞬きをしながらも俺をじっと見つめるばかりで答えてはくれない。


「つよ…お願いやから、もう泣かんでや」


どうにか泣き止んでほしくて、ツンと上向いた唇をちゅぅと優しく啄んで、涙の後を辿るように頬を唇で伝って瞼に口付ける。

一旦顔を離して、ぼぉっと俺を見つめるつよしと視線を合わせて、もう一度唇を寄せて瞳から滴を吸い取る。


つよしの瞳から新たな涙が溢れていないことに心底ほっとして、最後に音も無くつよしの唇を覆って軽く舌先で拭った。

しょっぱくて、遠い昔のほろ苦い思い出の味がした。


つよしの涙は俺の胸を締め付ける。

見ているだけで、可哀想で、苦しくなるような、何ともやるせない気分にさせられる。


どうも俺は、昔から泣いているつよしがこの世で一番苦手だ。

まだ出会った頃の恥ずかしがりやで甘えん坊で寂しがりやなのに強がりな小さな子供だったつよしが、ホームシックで一晩中泣いている姿を思い出すからか。

それとも少し前の忙しすぎて自分を見失っては泣きながら必死で足掻いていた痛いくらいの姿を重ねてしまうからか。

ただ単に俺の中の庇護欲を刺激するだけなのかも知れないが、理由がなんであろうと関係ない。

結局のところ俺は、何年たってもこの泣き顔を隣で見続けて、何度だってその滴を拭うのだ。


まだ少し震える背中を宥めるようにポンポンとあやして、腕の中に閉じ込めた。


胸にすがり付いてくる温もりに、混み上げる愛しさで息すらできなくなりそうだった。





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スマホを弄って見かけた記事と写真に半分笑ってため息を吐いた。

電話でもしてやった方がええのかと一瞬思って、それから誰が架けるかと思った。


で。

はははと流石に声を上げて笑った。

お前少しは我慢せぇよって。


舞台が終わるまで、ほんの数日だと聞いていた。

きっとそれまで、相方はそこに集中し、だからそれまではきっと何もないもんだと思っていた。

きっといつかは言葉にするんだとは、思っていたけれど。

タイムラグは大体1日、2日。

と言うことは、発表後、あいつが様子を見たのはほんの2、3日で、あの記事のタイミングからすると、あれで収まらなさそうな様子を察してすぐに、苦手な言葉をあーでもないこーでもないときっと不器用にホテルの部屋でうんうん唸って。

それを考えるとやっぱり出るのは「ははは」という笑いにしかならない。



んふふ、とスマホを見つめる。

お互い番号は入ってないから、架けるにしろマネに聞くところから始めなければならないのは互いに「そこまでしても連絡する」という半ば羞恥プレイとか焦らしプレイ的なそれは、だからこそ、特別で特別な、それだけで。



通知の振動が掌に響く。

3回分じっくりと味わって、番号だけの画面をタップした。


「…おう」

「んふふ、こんばんわ」

「もしもしぐらい言えや、お前」


いかにも不機嫌そうな声にお疲れ様ですと応えれば、更に無言が重なった。


「見た?」

「どっちを?」

「両方見とるやないか」


そう言えば、こんな時間の電話やなんて、飯は食ったんか?とどうでも良いことが頭に浮かんだ。


「ええお写真でしたね、綺麗に撮ってもろて。撮影より自然やん」

「やっぱ分かった?」

「そらあなたが、外出んのに帽子も被らんと、髭も剃って、髪まで結んだ上に、シャツの一番下のボタン外したり、腕捲りしたり、あんなん…ふふふカメラ目線やし」

「よぉ見とるな」


ぽつんと言葉が落ちた。


「あんなんロケの撮影と同じやろ」


あれを掲載させる許可と引換の記事だろうそれに。

怒りを感じなかったわけじゃない。

光一はいつも。いつも。いつだって。


「俺から逃げられると思うなよ」


地を這うような低い声に奥歯を噛みしめる音が重なった。


「逃さへん」

「僕がいつ逃げるて言うたの」


宥めるように言えば、また光一は言葉に詰まる。


「ありがとう、ファンクの話までしてくれて、それにあちこちフォローして」


あと何を言ってやろうかと、いくつかの言葉を繋げる前に光一が言った。


「剛くん、愛しています」


笑おうとして頭が真っ白になった。

咀嚼できない言葉。

はっと短い息だけが漏れて、心臓がバクバクと音を立てた。


「一生、言わんつもりやったけど、」


揶揄う言葉さえ封じられ。


「今、おまえ抱き締めてやりたいねん」


それは甘くすらなく。

もはや、独り言のようだった。


「なんで、言うた」

「もう今、言わんと後悔するて、思ったから。言わん方がええのはわかってたけど、言わな後悔するのがわかってたから」


身動ぐ音が聞こえた。


「俺は剛くんを愛してるよ」

「なんで言うねんなぁ」


喉が渇いて情けない声になった。

こんな声、聞かせたくないのに。


「ほんまは、抱き締めて、腕の中に閉じ込めて大丈夫やから心配せんでええって言うてやりたいけど、遠いから」


ふははと照れ隠しに光一が笑う。


「待っとって。すぐ帰るよ」


耳元の声に情けなくも、顔が崩れる。


「僕は貴方のことがこんな、ずっと好きやったんやで」


知ってた、お前も知ってたやろと紡がれる言葉に、世界が崩壊して広がっていく。


「愛してるよ、どんなお前であっても」






終わり

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もう終わりにする。

40が目の前にあって。


話し合う前から最善はわかっていた。

仕事を捨てるなんて選択肢は、ずっとずっとなかったのだから。

だいぶ大きな仕事もするようになった。

そして自分はポンコツの状態。

光一が何を言っても自分がどういう状況なのかぐらい、わからんわけはない。

自分の心に正直に、そう思ったってやってええこと悪いことがあるのなら、明らかに後者だったし、互いの幸福は心の底から望んでいて、自分が相手の人生の足引っ張りになるくらいなら喉元掻っ切るなんて躊躇いなくできる覚悟ならもう10年以上前から肚の中で決まっている。


一生懸命どうしたってやらずにはいられなかった。

一生懸命になればなるほど責任も重くなって、2人のままで逃げ出すなんて2人とも性格的にできっこなかった。


それでも愛していた。愛し合っていた。

だから隠すにしても限界だった。

これだけ一緒に居ればどう隠しても言葉の端はしに出てしまう。

嘘をつきたくないと思えば沈黙になってしまいぎこちなく、本当のことをうっかりと口に滑らせれば話題になってしまう。

全然そんなんじゃないのに。

静かに2人生きていたのに。


2人でいることを選ぶが故、終わりを選んだ。


今にして思えば穏やかな愛だった。

そっと想い合うだけの時間の方が長かった。

だけどもう終わり。

終わりにして違う人生を模索する。


それぞれの部屋にあった少しづつの荷物を持ち寄った光一の部屋。電波さえ届きづらいそこに紙袋1個に納まった思い出を渡して、紙袋1個に詰め込まれた僕の残りを受け取って、こんなんやったけど、やっぱりコレだけは言わせてと、握手をした。


「今までありがとう。仕事では、これからもよろしく。お前が横におってずっと幸せやった。幸せに、なってな」


相方の顔をすれば痛々しさを隠しもせず光一が目を伏せた。


「ありがとう、て俺も言うべきなんはわかっとるし、お前も幸せになって欲しいけど、こんなん言うたらあかんと思うけど」


女々しくて、ごめんと男前が身体を引き寄せる。


「…お前が、」

「あかん、もうなんも言うたら」


ああ、この胸板の感触を直に感じる事はもうないのだろう。


「ごめん」

「なんのごめん」


そっと身体を放し、唇でなく頬にキスを、した。

親愛の情、それで十分だった。

しんと部屋に音がなくなった。


「言うたら、あかん事、言おうとしたこと」


光一は美人になったなぁと思った。

険しさが消えて、優しい優しい顔になった。

きっともう2人きりの世界に温度を求めなくても良くなったのだろうと思った。

彼が幸せそうに呼ぶ名前が増えて、それはもちろんそういう関係ではないのだろうけど、きっとこれが独り立ちなのだと思う。


「そぉか、じゃあ、うん、帰り難くなるから」


紙袋を手にする。

パンちゃん、またな、元気にしとってなとケージに声をかけると、首を傾げた。


「見送らんでええよ」

「うん、でもまあ、玄関まで」

「そんな事いままでした事なかったやん」

「やって、」

「うん?」


そんな無駄な会話をしても、広い光一の家の長い廊下さえ渡りきってしまう。


「じゃあ、また、収録で」

「お前を閉じ込めたなる。帰さん言いたくなる。今やってあと1秒だって一緒に居りたい。でも、」


頬を撫でる指の冷たさをもう一生感じることもないのかもしれない。


「俺にはお前を幸せにできひん。手繋ぐんも、一緒に外出歩くこともできんし、ほんまはお前、そんなん嫌やったろ。1回も言わんかったけど。そんならしくないこと悩むくらいはお前のこと好きやったよ、ちゃんと。今までありがとう。」


「そんなん、僕もできんかったでしょ。ええねん。じゃあな」









剛くんと別れて2週間が経った。

自分の手が透明になった気がする。










スタッフが出て行った瞬間、光一が大きな欠伸をした。

さっきの打合せも返事はしていたがおそらく頭には入っていないだろう。


またか、と思うのと同じ瞬間、相方はソファに伸びた。


「呼びに来るまで寝るわ」


それは起こせという意味だろうか。

一度寝ると起きないのは相変わらずで、ヘアスタイルを崩さないよううつ伏せになった身動ぎさえしない様子はほとんど死体だ。


「お前、ちゃんと寝てんの?」

「…気づいたら朝やってん」


そこらへんにあった毛布を掛けてやりながらため息を吐く。


「ほんま、」

「そんな寝んでも大丈夫な方やし」

「一睡もせんで大丈夫なわけないやろ」


うーん、と唸っているが、たぶんもう意識ないなと、自分の楽屋に足を向けると、廊下でコーヒーを持った光一のマネに会う。


「アイツ寝てんで」

「ああ、遅かったですか。要ります?」

「ブラックやろ?要らんわ。なん、仕事詰まってんの?」

「そこまでじゃないんですけどね。もっとなんかないのって昨日言われたくらいなので」


持て余しているのかも知れない、と思った。

何も言わなかったけれど、自分と過ごすために光一が仕事をやり繰りしているのは知っていた。

ギュッと詰めれるだけ詰めて、纏まった空きを作る。

そのやり方で、一緒に過ごす時間が消えれば、それは手持ち無沙汰にもなるだろう。


「お疲れさん。打合せも終わったからお前もゆっくりし」


慣れるしかないのだ、お互いに。

ひとりきりに。

まだ残る心に空いた場所と時間を埋めるためにバンド仲間のグループにメッセージを送る。


『誰かぁ ご飯付きおうて』


送っておいて誰も都合が付かなかったら良いと思った。

自分だって、痛いくらい淋しい。

何度だってあの腕の中を思い出すくらいに。





また眠そうな光一が入ってくる。

眠そうでない時の方が少ないから、デフォと言えばデフォやけど、黒尽くめが白いを通り越して蒼い顔をしていれば誰だってぎょっとする。

それはスタッフも一緒だけれど、いつも通り挨拶もなく隣のメイク椅子に座った光一にヘアメイクの女の子がお願いしますと気にもせず近いて。


鏡越しにチラリと見ると、メイクの子の顔ががっつり固まっていた。


「あの、光一さんお肌いつもにも増して乾燥すごくないですか?」

「え?引くほど?」


思わずコッチの声が出た。


「痒い通り越して最近痛い」


どちらに向かって応えるでもなくボソリと光一が言う。


「ちゃんとお手入れされてます?」

「いや、化粧水無くなって」

「買ってくださいよぉ」


声は、一応笑っているが目がマジだ。

商売柄気にならないわけがない。この子にとって洗顔後何もしないなんて正気の沙汰じゃないだろう。

視線がこっちに向いた。

この相方をどうにかしろと懇願している。半ば怒気を含んで。

女の子に困った顔をされて無視できるほどの神経は持ち合わせておらず、鏡でなく横を向いて相方の肌に目を近付ける。

小鼻の周りが逆剥けのようになっていた。


それからぎょっとした。

皮膚から血が滲んでいる。


「おい、ほんまあかぎれみたいになってんで」


メイクの子に目を合わすと、コレをさわれと言うのかと言っていて、流石の酷さに唾を飲んだ。


「痛いて、コレは」

「うん」

「うん、て。今更クリーム使えとか言わんけど、せめて化粧水使えや」

「無くなってん」

「買ったらええでしょ」

「どれ買って良いかわからんし…」


わざとではない、自分も困っているという顔をする光一に、半笑いを向けてから、メイクさんを振り返る。


「なんか持ってない?お前買い取れ今ここで」


コクリと頷いた光一を見て、メイクの子はおススメで良いですよねと僕に言い、幾らのでもええから2、3本と言えば聞こえているのか分からない調子で光一はそれでとだけ応える。駆け出す女の子。おそらく手持ちのものではなく、特にひどい時用の何かを持ってくる気なのだろう。


「お前ほんまにおかしいで?」


2人きりになって言えば、なんが?と言いながら、もううつらうつらしていた。

また寝ていないのだろうか。

ふと見れば手首まで粉を吹いている。


もう一度誰も居ないのを確認して声を掛ける。


「…肘どころやないやん。バスオイル使うてないの?」

「うん、もぉない」


記憶の中では毎日風呂に浸かってもあと1ヶ月は保つくらいには残っていた筈だった。

アレがなくなるなんてそんなわけあるかと眉間に皺を寄せれば、


「キャップ開ける場所間違えて溢したし…、どんくらい入れたらええかわからんくて入れ過ぎたんかも」


しょぼんとした顔が、犬みたいで思わずため息を吐く。


「バスジェルは?」

「バスジェル…?あー、ボディソープは貰いもんのとこあったから」


貰い物…?と記憶を辿れば、何かの番組でスポンサーに貰ったセットが浮かぶ。


「下の棚に入れといたやつか?」

「うん」


まさか、と血の気が引いた。


「髪、おい、これ、シャンプーとかトリートメントどうなってん」

「シャンプーは同じ箱の、あの」


気絶しそうになったところに、敏感肌保湿用のオールインワンジェルを持ったメイクさんが帰ってきた。使わないとはわかっていても薬用のクリームまで持って。

このショックを共感して欲しくて笑う。


「ごめん、せっかく持ってきてくれたんやけど、シャンプーとトリートメントもない?ハンドソープで頭洗っとるで、コイツ」


凄い勢いで目が吊り上がった。





「飯食うとんの?頬痩けてんで」

「ああ、飯か。そうか。食うとらんかった。ありがとう、教えてくれて」

「教えてくれてって、あなた」


薄くなった腹を不思議そうに摩りながら舞台中は体重測るんやけど気付かんかったなんていう光一に目眩がした。


「弁当とか出るやろ、食えや」

「楽屋で寝てると時間なくなんねん」


そう言いながらもまた眠そうに欠伸を噛み殺している。

会う度に何かを落っことしたようにやつれていく光一は、それでも具合が悪いような様子を見せない。

打合せの意見出しも、特に淀むこともない。

ロケだって順調だし、笑いもする。撮影もいつも通りのマネキン仕様だ。

オレから見てそうであればきっと、誰も気付かないだろうし、食べてないと言ってもまたコイツのめんどくさがりだと皆んな思うだろう。


「最近収録とかでも出てくるから、なんか忘れてた」


そしてまたごろりとソファに横になる。


「帰ったら食べるわ」


うつ伏せて人形のように倒れ込む光一に、僕は何も言えない。

仕方なく彼の仲の良い後輩にLINEを送る。

コイツに集ってやってと。




それから光一は目を覚まさなかった。

叩き起こそうとしたマネは、その身体の軽さと冷たさに死体かと思ったと言う。




目が開いて、ここはどこだと彷徨ってから見つけた僕に、意外だという顔をした。


「ああ、剛くん。お待たせ。仕事行こか」


一瞬カッとなったが、ここは病院でコイツは病人だと自分に言い聞かせて、ため息を吐き出した。


「仕事したいなら、ちゃんと生きててくださいよ」

「大丈夫ちゃんと生きてる」

「ちゃんとて意味知ってます?」


身体を起こそうとする光一を押し留めると不服そうにがぶりを振った。

倒れたこと、原因は栄養失調と睡眠不足、多分そのせいの貧血が起きていること、今そのために点滴を打っていることを説明すると、まあそうかと呟いたあと、もう大丈夫やと青い顔のまま笑った。


「仕事も来てるやん。大丈夫やん。ちゃんとサプリ飲んでるし。風呂入ってるし、洗濯もしてるよ」


それを、コイツは生きていると言うのか。

怖気が走って、今度は僕が首を振る。


「生きてない。生きてない。生きてない」


少なくとも生活できてない。健康的で文化的な最低限の生活すら送れてないのに、それみただ言い訳のようにやってるだけなのに、残り少ない点滴を見やって看護婦さん呼んでなんて言う。


「ちょっと忙しかっただけや。もう帰る」

「…マネ呼んでくる。待っとけよ。ベッドから出たらあかんで」


僕も男や。腹括ろ。



「オレらな、1ヶ月ちょっと前まで付き合ってたん」

「は?え?」

「随分付き合ってたんやけど、いい歳やし、仕事に差し障りあってもなんやして別れたん」


一度ぽかんとしてから、顔をしかめたマネに光一がわちゃわちゃと変な動きで慌て出す。

マネからでっかいため息が漏れた。


「どちらかと言えば、現状、差し障ってます」

「そうやんなぁ」


予想外の答えに今度は光一が憮然とした。


「でも俺仕事しとったし、ちゃんと」

「現場で倒れるなんて、こっちの息が止まります。栄養失調と睡眠不足なんて知れたら、また事務所が叩かれます」


青かった顔を少し赤くした光一にははと笑うと、ドアが開いて狭い病室がさらに狭くなる。


「光一、大丈夫なの」

「ジャニさん、ごめん、もぉ」

「ごめん、ちょっと今大事な話しとんねん」


社長に対して随分な言い方なのはわかってるけど、本来オレは気が短い。腹を括ったならサッサと言ってしまいたい。


「光一さん、オレな、お前のためやと思ってたの。こんな関係続けても、良いことないし。お前ならまだチャンスあるやろて」


空気がザワッとしたけれど正直今は社長どころやない。


「でもですね、あなた生きてないとチャンスもなんもないのよ」

「生きてるやん」

「飯食わせて、身の回りのもん用意して、もぉ寝ろ言うて」


いつも一緒にいるわけじゃない。

なんもかんもやるわけでもない。

だとしても、多分、随分。


「甘やかしてきたのは僕や。お前はなんも悪くない。それに何やって一回やったら覚えるとも思うよ?金で解決できることもあるやろ。でも、覚えるまでにお前ほんま死ぬで」


寝ないや食べないは一種の拷問だろう普通。

それなのに、それを忘れるコイツは。


「おいこの世間知らずの王子様」


ははと場違いに光一が笑った。

俺まだ王子様やった?なんて。


「天然ボケで済むレベル超えてるて」


むぅと顔を顰める光一は、多分反論しようがない。

流石に倒れた事は反省しているらしい。


「結婚、しましょ」


膝を着き、手を取って顔を見上げる。


「一生面倒みてやるから」


諦めよう。

真っ当な人生なんて。

やっぱり心のままに生きんとあと3日できっと後悔する。


「ええなぁ、それ。剛くん死んだら俺乾涸びて死ぬやろうから淋しくないやろし」


マネとジャニさんを見て、それから諦めたように目を伏せた。


「…お前、淋しかったん?」

「うん」


伸びてきた指を掴んで、こちらから頬に手を添えた。

あまりに素直に頷くから、思いっきり赤くなって、それから薬で頭が回っていないんだろうと思った。


「そぉか、淋しかったん?ごめんな」

「うん。剛くんおらんから淋しくて食欲湧かんし、食ってもうまくもなんともないし、布団冷たいから寝たくもないし、でもそんなん言えへんし」

「…ちょお、おい、お前こっちがどんだけ心配したと」

「別れた相手にそんな言うの、男らしくないやん。恥ずかしい」


いやいやをする様に首を振る光一に3人同時に頭を抱えた。


「恥ずかしいとかで死んで欲しくないです、困ります」

「でも仕事行ったら、剛くんに逢えるやんか」


ほえほえとまるで子どもみたいに話す光一に、全部剥げ落ちたまるまんまのコイツは、そう言えばこんなんだったなと思う。

まだ事務所に入るか入らんかの頃の、コンタクトすらしてなかったほっそい子ども。


「剛さん、」


マネがお母ちゃんみたいな声を出すから、僕に言われてもと見上げて笑う。


「でもコイツ次第やねん」

「なんが?」

「いや、話きいとった?」

「うん」

「返事は?」

「なんの?」

「さっき僕、プロポーズしたんですけどね」


「ああ」


やっと合点したと微笑んだ光一は、社長を見上げて純真な顔のまま首を傾げる。


「なあ、結婚しても仕事できる?減ったりせん?規制かからん?」

「それはユーたちが頑張ることでしょ。応援はしてあげれるけど、納得させられるかはユーたち次第だよ」


ため息混じりではあるけれど、多分そのため息は僕らの関係ではなく、それでもユーは仕事なの?という親心のようなものだった。


「ああ、応援はしてくれるんや。あかんて言わんのならええわ」


それならどうにかなる。なんとかなるて剛くん。

僕を励ますように言う光一に、なんでやねんと思いつつ、パアッと花咲く笑顔の相方はやっぱり誰から見ても美人さんやった。


「剛、なあ、剛、俺と結婚して。俺お前が居らんかったら生きていかれへん」


「生きていけないって、物理なんですね、光一さんの場合」


マネの言葉に苦笑して頭を撫でる。


「…ほとんど脅しやないか」

「え、あかんの?居ってくれんの?」

「んふふ、貴方ねぇ、ほんま。はい、ええに決まっとるやろ」


今後ともよろしくお願いしますと社長とマネに頭を下げる。

ええ嫁さん貰ったと暢気に光一が笑った。





お仕舞い

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僕の心と、秋の空

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2018年10月19日 14:15
小説 2P
R-18
ボクの心と秋の空
数字は検索除け、及びnmmnの性質上つけておりますが
ほのめかすような表現があります、閲覧は自己責任でお願いします。

ブックマークは必ず非公開でお願いします。
登場人物含む、全て妄想の世界です。

c*R-18c*車魚
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ボクの心と秋の空ななかずら
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「ねぇねぇねぇあの子かわいいと思う?」


僕にはやめたくてもやめられない癖がある


『…う〜ん、まぁかわいいんちゃう?』


ズキン


「もぉ〜、さいあくぅ〜」


『なぁんでやねん。この間そうでもない言うたら、え〜ってゆうたんお前やん。』


「それはそれ、これはこれやもんっ」


『え〜なんやねんそれw』


わざと、女の子のような言い方をして、怒ってるそぶりの演技をする。

でも目は笑ったまま、彼だって笑いながら言い返している。

はたから見ればただのカップルの戯れだ。


けど・・・、


ずきん


ズキン



笑いながらソファからたちあがる。

彼の手が伸びて触れようとしてくるのをするりとかわして支度をしに自分の部屋へと向かった。


しまった・・・、

避けたのは無意識だったが変に思われなかっただろうか、あからさまではなかっただろうか。


じくじくじくじく、彼の目から隠れたところに移動して胸に手を当てる。

もし心が目に見えるのであれば、今僕の心にはナイフが突き立てられ血が流れているだろう

そのナイフを刺しているのは、他の誰でもない そう 僕自身なのに。



僕には悪癖がある。

光一の女の子の好みを確認してしまう癖。

やりたくないのに、やっても意味ないのに、傷つくのが分かっているのにやってしまう。


この悪癖の歴史は長い。

覚えている限りでも、まだ僕が彼への恋慕に気づく前からだったと思う。






あの頃は寮暮らしで、歳がバラバラとはいえ年頃の男子が集まれば自然とそういう話になるのは必然で...
誰がかわいいだの、誰と付き合いたいだのそんな話ばかりしていた。

僕も光一もみんなが話しているのを聞いているだけだったけど、たまに意見を求められる。

僕はそういう話が本当に苦手だったからなるべくみんな避けてくれていたけれど・・・、


「なぁ光一 この子ほら、〇〇ちゃん!綺麗だよな〜」

「う〜ん、まぁまぁかなぁ」

「またかよ〜お前のハードル高過ぎなんだけど、どの子だったら可愛いとか綺麗って思うわけ?」

「ほら、俺の一押しの△△ちゃん、こいつぼろくそ言ったんだぜ、こんなに可愛いのに!」

「えーそいつ可愛いとか俺全然思わん!ぶさいくじゃん」

「ひで〜お前俺の△△ちゃんに!」

[[[おまえのじゃねーし!!!]]]

多方向から声が飛び交い、ぎゃはははと笑いあういつもの光景。


ふふふっ、こおちゃんも僕とおんなじで女の子にあんまり興味ないんやろうなぁ。

ちょっとほっとしている自分がいた。


「俺ずっと思ってたんだけどさ」

それまでみんなの話を笑顔で聞いてくれていた兄さんが口を開いた。

彼は僕らより6歳ほど年上で、僕ら年下を指導してくれたり面倒を見てくれる役割もあった。

そんな彼が興味深そうな顔をして彼を見た。

「光一って気になる子だったりすると、わざと悪態つくよね〜。」


えっ・・・


兄さんは続ける、からかうようなそんな口調だ。

「興味ない時にはまぁまぁとかいうくせに、文句言う子ってタイプ似てるんだよね〜

もしかして...って思ってるんだけど。気になる子ほど悪口言いたくなるってやつ?」

おおお〜ほらね〜と盛り上がる連中のなかで

顔を真っ赤にしながらムキになって反論している光一の顔が見えた。


ズキン・・・


盛り上がる周囲に反比例するように僕の心は冷えていった。

それは、仲間意識から突然自分だけ放り出されたような思春期特有の寂しさなのか

それとも別の何かなのかその時は分からなかった・・・けれど、笑って囃しあうみんなの中で無理やり笑顔をつくって何とかその場をやり過ごした。


その後しばらく彼は この件でからかわれていたが、好奇心の尽きない年頃ゆえにすぐまた次の話題に興味がうつっていく

僕だけが、そう僕だけが 光一の反応をずっと気にしていた。

よせばいいのに、その子の写っている雑誌をわざと開いておいて様子を見るようになった。

みんながいるときにはアイツはあからさまに見たりしない。

けど、机の上の雑誌にその子の写真を見つけると、視線が明らかに泳ぐ。

そしてことあるごとにその机の周りをうろついてはちらちらと見ている。

いつもそう。


そして僕の胸は痛む ずきんずきんずきん。


色んなパターンを試してみて、その子であれば何でもいいというわけではないことに気づいた。

角度や何かしらのツボがあるらしい、試しに他の女の子の似たような写真で試してみる。

なんだか小動物の行動観察をしているような気分だった。

ある種のいたずらのような気分だったんだと思う。

色々思い浮かべながら写真を選んだり、机の上に広げてみて光一が気づくのを待つのをちょっと楽しんでいる自分がいた。

これだ と思った写真に食いつかなかったときは残念なような、闘志が湧くような気分になった。


けど、、、


あ、その写真 気になってる・・・

・・・ズキン

予想が当たったとき、嬉しさよりも先に苦しさが来るのもいつものこと。

もう何十回もやって、そのたびに悲しくなっては自分の行動を後悔していたのに。

なぜ懲りずにこんなことを繰り返してしまうんだろう。

胸が痛い。


今回の写真は結構自信があった。

その子はいわゆる好みのタイプではなかったと思う。

けど、ある角度、あるポーズの時だけすごく食いついていた。

哀しいかな、いたずらを重ねるにつれ彼の好みがわかるようになってきた。


真っ白のワンピースを着て上から見下ろすように映している。

下から覗き込む瞳は大きく、緩んだ口元は少しだけ開いている

セクシーでも挑発的でもない、見る人にとってはなんてことない写真。


机の上に広げてある雑誌に彼が気づいた。

眠そうな目が見開くと、そのまま周りを気にもせず、手に、とった・・・

心臓がぎりっと締め付けられた、息をするのが苦しい。

スタッフに呼ばれてはっとした彼は、持っていた雑誌を机に置き、部屋を出て行った。

部屋に残された僕はその雑誌を掴んでトイレに駆け込む。

ふた付きのゴミ箱に雑誌を捨てて、ひとしきり泣いた。

自分でやったことなのに、なんだかとても悲しくて、あふれ出る涙をとめることが出来なくて・・・。

僕が彼への恋心に気づいたのはそれからすぐのことだった。




-






『あれ、仕事?』


仕度をして出かけようとする僕に声をかける。


「うん、言うとらんやったっけ?」

『いや、いっとったけどまだおるからなくなったんかなぁ〜って思っとったわ』

「あ〜ごめん、夕方からに変更になったんよ」

『いや、勝手に勘違いしたのは俺の方やし、今日はこっちに帰ってくるん?』

「遅くなるやろし、今日までにあげんといかん原稿あるからうち帰るわ、夜でよければご飯作りによろか?」

『ええよ、自分で適当に食べるわ』

そう言うと立ち上がってこちらに来る。

正面からゆっくりと抱きしめられて、ちゅっとキスをされる

『明日の仕事はずっと一緒やんな?そのあとこれる?』

すごく優しい笑顔でそんなことを言うもんだからなんだか照れくさくなって

下を向いたまま うんと頷いた。

『な〜に照れとんねん、耳真っ赤やで』

「やって・・・」

言い訳しようと顔をあげると、すかさずもう一度 ちゅっ とキスされる。

「なんやねん今日はほんまに・・・、甘々やん。」

ちょっと拗ねた声で言うと、優しい顔がさらに甘くなって

『なんやろね、でもちょっと寂しくなってん、最近一緒やったからかな。

明日は朝からロケなんやから、早めに寝なあかんよ。』

なんて頭を撫でながら言うもんだから もう何も言えなくなって

こくんと頷いて彼の家をでた。


勝手知ったるマネージャーはちゃんと光一のマンションまで迎えに来てくれて、赤い顔を心配されながら車に乗り込んだ。


僕は愛されてる...
最近の彼は感情を素直に表現するようになった。

ちゃんと言葉にして気持ちを伝えるようになったし、素直に甘えてくれる。


いや、昔から彼は必要なときにはきちんと言葉にしてくれる人だった。


僕の片思い期間が思いのほか短かったのも、彼が割と早い時期に告白してくれたから。


窮屈な恋愛に疲れ、他人を信じられなくなった時も、きちんと言葉にして何度も僕に伝えてくれた。


ずっと彼の愛に触れているのに、たくさんの気持ちをもらっているのに。


[この子綺麗やと思う?]

[あのこ可愛くない?]

[さっきの人好みなんやない?]


どうして僕は試すようなことを聞いてしまうのだろう。

光一だってさすがに思春期の頃とは違う。

綺麗な人には綺麗だねって言うし、可愛い子にはそうだねって言う。

そのたびに僕は少し傷つく、自分で聞いたのに。

ちょっと怒ったように否定するときも、昔の記憶を思い出して落ち込む。

結局どんな答えが返ってきたって傷つくのだ。


光一が自分から女の子の容姿について話題にすることはない。

年上の女性以外で綺麗だなんだのと口に出して言わないのは性格によるものだろうし、この歳になって周りからそんな質問をされることもなくなった。

となると、必然的に僕だけがこりもせずに聞いてしまう。


聞きたくないのに、何を聞いても傷つくだけなのに...。

ここまで来ると、もはやたちの悪い自傷行為だ。


「はぁぁぁ〜僕全然成長してへんやん・・・」


突然声を出されてびくっとするマネージャーに詫びを入れつつ、車の窓から外を眺める。


先ほど彼がまぁ可愛いと答えた女の子の広告パネルが目にはいって


無言でカーテンを閉めた。







-


昼前から始まったロケは順調に進んだ。

僕たちにしては珍しく晴れていて、気持ちのいい秋空の元サクサクと進む。


ゲストはまだ10代の女の子。

案の定彼はごきげんではしゃいでいる。


同世代の女の子との交流が極端に低かったせいで、どう接すればいいかわからず若いころは怖がられるばかりだった。

彼なりに試行錯誤した結果、普段よりテンションを上げて接するようになった。

今だって若い女の子との接触なんて皆無に等しく、人見知りで不器用な彼が場を繋ぐためにはオジサンキャラに徹した方が楽ちんだというのは分かる。


理解はできる。


納得もしてる。


けど


でもだ、


ちょっと本心はいっとるやろ?
ここはキャバクラちゃうで?
いや、キャバクラなんかお前全然しゃべらんやん、カメラまわってるとこだからって正々堂々とはしゃいでいいわけやないんやで?
女の子も心得たもので、光一のハイテンションに若干ひきつつも笑顔で対応してくれてる。

ええこや。

僕も少しだけ共演したこともあるので気楽ではあった。

内心面白くはないけれど、昨日の今日やし、目くじら立てんで俺ものっかってみよう。


「女の子の手料理食べたいわぁ〜」

「え〜似おうとるよ、可愛らしい。」

「今のもう一回見せて〜」


ゲストさんを話題のスポットに案内しながらランチをしてショッピングを楽しむ。

普段こういうことに全く縁のない僕らに 今 を教えてくれる貴重な番組だ。

光一にあわせてテンションを上げたはずが、思いのほか楽しんでいる自分がいた。

僕もおっさんなんやなぁとしみじみ。

普段接点がないからこそ、ふいの交流が楽しかったりするんだろう。


彼の気持ちがちょっとわかった気がした、これからはもう少し大目にみてあげよう・・・。

と思ったところで座席を倒してぼぉっとしている相方をみた。

今は次の撮影のためにロケバスにて休憩中。

序盤にテンションあげすぎたのか、後半の彼は明らかにトーンが下がっていた。

珍しいことではないけれど。


「お疲れさん、次まで時間あるから少し休んどき?」

『あ〜、うん、そうしようかな』

「人多かったしな、移動で疲れたわ」

『その割にはなんや楽しそうやったな』

「え、あ〜今日のゲストさんいいこやったなぁ、おっさんキャラにちゃんとついてきてくれたもんなぁ」

『・・・ふ〜ん』


自分から聞いてきた割には大して興味がなさそうに相槌をかえして、向こうを向いて寝始めた。

寝かしてあげようと、僕も昨夜書いた内容を見直すべく原稿に目を落とした。



-


2本目のロケは、大御所の役者さん。

長いこと2枚目俳優として第一線で活躍されている、いぶし銀の大人の魅力が素敵な方だった。

光一が親しくさせていただいていることもあって、日頃の感謝もこめてホスト役に徹する。

落ち着いた雰囲気のお店で美味しいお酒と料理を食べて話をするという企画。

めいいっぱいおもてなしをと意気込んでいた僕にも気軽に話を振ってくれて、楽しくお話をすることができた。

普段口数の少ない役者さんは始終ご機嫌で、普段聞けないような貴重な話を聞くことが出来た。

久しぶりに会ったらしく光一も楽しそうで、大満足のうちにその日のロケは終了した。





「今日のロケは疲れたけど楽しかったなぁ〜」

ロケ終了後、二人して光一のマンションに送ってもらった。

濡れた髪を拭きながらリビングに座っている彼に声をかける。

先にシャワーを浴びた彼はバスローブ姿でソファーに座りテレビを観ていた。

隣に腰かけて机の上に置いていたミネラルウォーターに口を付けた。

火照った体に水分がしみわたる感覚が心地いい。


今日のゲストの女の子が出ているCMがテレビに映し出される。

「あ、今日のゲストさん!テレビやと落ち着いてる清楚系美少女って感じやったけど、素やとめっちゃ元気良かったな〜。

久し振りにおうたけど全然変わらんくて、かわいらしい女の子のまんまやったわ。」

『・・・』



テレビではドラマが始まった。


「××さん!ドラマこの時間やったんや。

それにしてもかっこよかったなぁ、大人の男の人って感じがしたわ。

お前が親しくしてもらってるからなんやろうけど僕にまで優しくしてくれて、カメラまわっとらんところでもあんなにダンディーなんっ、ん??」

最後まで言い切らないうちに後ろからぎゅっと抱きしめられた。


そのまま、彼はそばにあったリモコンをとってテレビを消す。


賑やかだった音が消え、静寂が訪れた。


沈黙に耐えきれなくなって口を開きかけたところで

『・ぁ・・・・・・・ぃて・・』

絞り出すような声が聞こえてきた。

僕の肩口に頭を擦り付けて話しているせいかうまく聞き取れない。


「ぇっ、なに?」

『あんまり他の人見んといて』


やっと聞き取れるくらいの小さな声が掠れ気味に紡がれる。

え、それって...
僕はぎゅっと抱きしめられている腕の中で体の向きをかえて彼の方を向いて向き合うと、左手で頭を抱え込まれ光一の胸に押し付けられた。


顔を見られたくないのだろう、怒らせてしまったのだろうか・・・。


でもぎゅうぎゅう締め付けてくる彼の両腕の強さと苦しげな声に やっと言葉の意味を理解する


『きらきらした目ぇして

 かっこいいですねぇ 

なんて言ってあの人がお前のこと好きになったらどうすんねん。

大人の男の色気なんか俺どうやったって勝ち目ないやん。』


「で、でもあったばっかりやし 向こうやってそんな…」


『初対面とか関係ないわ、現にあんなに饒舌な××さん初めて見た。スキンシップも多かったし…、お世話になってる方やし、尊敬もしとるけど本気でドつきそうになったわ』


さらっと恐ろしいことをいう...
『最初のゲストさん?名前忘れたけど、あの若い女の子、お前若いじょしとか苦手やなかったん?なんや2人してキャッキャして仲良さそうやったやん。』


「や、でも、こういちかて楽しそうにしてたやん!」


思わず顔を持ち上げて言うが、すぐに胸に押し付けられる。

今日の光一はとことん拗ねている。


『はぁ?あれのどこが?あんなん無理して盛り上げようとしとるだけやん。台本に書いとったから頑張って声だしとんねん。そもそも別に若いから喜んどるわけやないもん」


ほんとかぁ?と思うところはあるけれど黙っておく。


『スキンシップの激しい女には絶対下心あるから触られんように気を付けとるとか言うたのに今日の何やねん

うで、バンバン触られるわ引っ張られるわ掴まれるわされとったのに、避けもせんとされるがままやったやん。

しかも楽しそうに笑いかけとるし、お似合いとかスタッフに言われて反論もせんし・・・。

あのスタッフかてずっと前から衣装がどうだのなんだの言いながらべたべた触りに来とるのにお前は全然気付かへんし。

そもそも女の子だけやなくて男のほうがお前に触っとるからな、男女問わず注意せんといかんとかどーゆーことやねん・・・』


ずっと溜めこんだまま言えずにいたのだろう、今日だけじゃなく何年前かもわからないものまで飛び出してくる。


ふふふっ

じっと聞いていたが、とどまるどころかあれもこれもと出てくる不満話に我慢しきれなくて思わず吹き出す。

なんだ、不安になったりやきもち妬いたりするのは僕だけじゃないんだ。


『なにわろうとるねん』


案の定むっとした光一に覗きこまれた。

あ、やっと目を合わせてくれた。


両の手で頬を包んで、少しとがらせた唇にちゅっとキスをする。

明らかに動揺して、きょろきょろする目が愛おしい。


「・・・ぼくも。」

『?』

「ぼくも光一が他の女の人を可愛いって言ったり、綺麗っていうと妬いてまう。

褒めとるだけじゃなくて怒っとるのもお前の心を独占してるみたいでいややねん。

ぼくはお前のことでいっぱいやのに...
いま、光一は僕のことだけ考えとるやろ?...なんやろ、アホみたいやけど...それすら嬉しい...」


じっと下から覗き込んで伝えると、光一の目が一瞬大きく見開いた後、あからさまに細められた。

ほぼ同時に現れる目じりの皺に、きちんと意図が伝わったことを確認する。

途端にすごく恥ずかしくなり視線を下に向けようとしたけれども、すぐに重ねられた唇のせいで身動きが取れなくなる。

入り込む舌は深く深く僕の口内に入り込み、優しく蹂躙する。

チュッと音を立てて離れた唇はそのまま耳元にたどり着く

『お前の心も体も全部、すぐに俺でいっぱいにしたるな』

少し考えてからつけわえるように、唇を近づける。

『・・・俺もお前でいっぱいにして』

僕の好きな低くて甘い声でこんなことを言うなんて反則だ・・・


「ほんまおやじやん...」

とボソッと反撃した声は小さくて弱々しい

しかたない、欲しているのはお互い様だ。

不安で空洞になってしまった僕の心を彼でいっぱいにしてほしい。

先ほどまでとはうってかわって御機嫌になった彼に手をひかれながら寝室へと歩く。



好きだから知りたくなる、好きだから不安になる。

僕の悪癖はもしかしたらこれからもやめられないかもしれない。

でも、僕だけじゃない、彼も不安に思ったりするんだ。と思うだけで何かが変わりそうな気がした。


ベッドに寝かされ、すぐにのしかかってくる重さに胸の高鳴りを感じながら

自分から湧き出たほろ苦い嫉妬の味と、光一から与えられる甘いやきもちの味を存分に味わうべく口づけを強請った。








おまけ



「こおいち〜!今からレッスン?俺今日朝から殺陣の稽古だよ、つかれたよ〜」

「あれ、つよしは?」


「あー聞いた!スペシャルドラマの主演するんだよな。人気のあの漫画、推理もののあれ...、そうそれ!忙しくなるよね〜お前にもまた学園ものきてるらしいよ〜」


「そうそうこれ見せたかったんだ。ちょっこの雑誌見てよ!もうからかわないからさ、お願い!ほら!」


「な、な、かわいいだろ!!」

「このこさー他のカットはそうでもないんだよ、ほら、これとか普通なんだけど、この写真マジでかわいいな。」

「この上目遣いといい、ちょっと開いた口といい色気の中にあどけなさのある感じたまらんよな。」

「いいねぇ、珍しく食いついてくれるね〜。」


「あ、おつかれ〜、お前らもこれ見てよ、今の俺の一押しの写真、めっちゃかわいくない?」


「なぁ、だろ〜実物とはイメージ違うよな。・・・え、確かに、そういえばこの写真つよしに似てる・・・。」

「うわぁ〜言われるまで気づかなかった。確かに言われてみればこの一枚だけつよしだ!ってことは、つよしグラビアいけんじゃね?うぉーーーーだれか女装させて写真とろうぜ!!」


びりーっ、びりびりっ


「うわぁぁぁ、ちょっ、こういち!それ俺の雑誌!!何で破くわけ?ひでーよ!あぁあーーお気に入りの一枚だったのに(泣)」






おしまい








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