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たくさんの感情

大学の正門から少し離れた、
薄暗い場所でけんちゃんと対面した。


先日ちょっとしたことでお世話になったから、
お礼をしたくて。



『お久しぶり!
けんちゃん、元気そうだね(*^^*)』


『お久しぶりです!(^^)』



『こないだはありがとうね。
おかげで助かったよ(*´∀`*)』

先日東京で買ってきたお菓子を渡した。



ちょっと痩せたのか、
シュッとしているけんちゃん。
やっぱり君はステキだよ。



『あ! 
ボク、試験受かりました(・∀・)

春から ○○県の博物館の学芸員です。』





その言葉を聞いて、

ギュッと押さえ込んでいたものが溢れ出した。





『ほんとに?
ょかったね〜…  ぉめでと。』




半分声にならなかったのに、


『ありがとうございます(*^^*)

これからまだ 論文や学会がたてこんでまして…(^^;)』



けんちゃんは答えてくれた。




街灯が遠くて
薄暗かったけれど、

ニコッと笑うけんちゃんのその顔は、
自信と達成感に満ち溢れていて、
キラキラしていた。


きっと充実した毎日を送ってるんだろう。



ペコリと頭を下げて、
キャンパスの中に消えて行った。







私の涙の理由は ひとつじゃない。



けんちゃんの、
9年の大学生活のうちの7年を、
私は独り占めしてしまった。


彼は優秀だから、
きっといい所に就職出来るって思いながらも、

頭のどこかで
『私がけんちゃんの人生をメチャクチャにしてしまってたらどうしよう。』


そんな後ろめたさもあった。



だから、
希望してた所に決まったと聞いて
祝福する嬉しい気持ちと、

安堵の気持ちと同時に、



本当に遠くの街に行っちゃうんだ…

って、寂しい気持ちと、

あとは…






やっぱりよくわかんないや。





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