家に荷物を置いてから、Nさんとの待ち合わせ場所に向かった。
『今夜ミーティングあるんだ。
ちょっと遅くなりそうだけど、大丈夫?』
『うん、慌てなくていいからね。』
Nさんとよく会う河川敷にある桜の木は、満開だった。
しばらくすると若干飛ばし気味の車が横着けしてきた。
『お待たせ! ごめんね(;・д・)』
『ううん…
私こそお疲れのところごめんなさい。
はい、これお土産!』
羽田で買ったお菓子を差し出した。
私がいない間のNさんは、
飛び石連休があったらしくて、
暇を持て余したんだけど、
結局庭先で洗車して、コンビニ行っただけ…
とか。
ほとんど引きこもり。笑
『退屈させちゃったね。
ごめ〜ん(^^;)』
『いいよ。 無事帰ってきてくれたから(^^)
ぷくぷくさんも疲れたんじゃない?』
こうして優しい笑顔で帰りを待っててくれる…
『次の休みは、
花見でも行こうか!』
『もう満開だから、次の休みには散ってるかもよ(´・_・`)』
『それなら山の方に行けばいいよ!
どこでも連れてってあげる(*^^*)』
けんちゃんの卒業祝いに用意した
イニシャル入りのボールペンは、
どうやら渡せそうにない。
それならそれで、いっか。
私は、
私のことを待っててくれるひとの所に
帰ればいい。
東京に出発する前日、
文具店から電話があった。
『ご注文のお品が届きました。』
『ありがとうございます。
一週間ほど留守にするので、預かっといて頂けませんか?』
『かしこまりました。
ラッピングはいかがいたしましょう?』
『品物を確認したいので、伺った時にお願いします。』
先ほど、
空港からまっすぐに文具店に向かった。
『こちらで、お間違いないでしょうか?』
( K.N……)
『はい、ありがとうございます。』
キレイに化粧箱に入ったペンを、
確認するように手に取った。
別に確認したかったわけじゃない。
イニシャルも間違ってないし。
今後彼が使ってくれるかどうかわからないけれど、
想いを届けたくて触れたんだと思う。
K.N だって。
やだ、
今 気付いた。
Nさんと同じイニシャルだ。