ぬーん。

アッシュかわいそうだったなぁ。
でもあれしかないって最期だったなぁ。
めちゃくちゃアッシュに感情移入した上でストーリーが進んでいくから「かわいそう」やら「まだ18なのに」やらで辛くて仕方ないんだけど、凄い数の人を殺してるからな。
仕方なくとか、殺らなきゃ殺られるってのはあるにせよその筋の人には違いない。
それなのに穏やかに逝けてまだ救われたのかなぁと。
じゃあどこからやり直せば幸せになれたのかって、運命に逆らう道は無かったんじゃないかな。
家庭環境が良くなくて、拾われた先があんな感じで、でもやっと堅気になれるかと思いきや、過去や罪を消せないとこまで踏み込んでしまっていた。
１人だけ「平和に生きるね、はいリセットー！」ってわけにはいかない。
人を殺しすぎた。
戦いの中で死ねたなら必然性があるが、解放されたかに見せかけて「あの世界」から逃れられた訳じゃないところに説得力がある。
彼は死ぬしかなかった。
見てる側に、物凄くアッシュの事を好きにさせるからこそあの死が悲しくてたまらない。
不本意に訪れた瞬間ではあったが決してネガティブな死ではなかった。
苦しみから救われた瞬間だった。
もううなされずに静かに眠れるんだろう。
でも、英二は運命から救い出したかったと言った。
住む世界が違うなんて関係ないとも言った。
私にはどちらも違うんじゃないかと思えた。
救い出せない運命に、アッシュはもうどっぷり浸かってしまっていて、もはや救い出そうとする事自体がアッシュを滅ぼしてしまう事態を招きかねないというか。
住む世界が違いすぎて、人種や国籍や性別…なんて人が決めた定義は、違っていたとしてもわかり合える事が多々あるかもしれず、
私達だって全く相容れなさそうな人が無二の親友になり得たり、全く違う思想が刺激になって新しい感性を与えることもあるだろう。
でも、アッシュは人殺しなのだ。
人殺しかそうでないかは、もはや住む世界が違うどころの話じゃない。
どう見たってアッシュは素敵だし仲間思いで魅力的な人だ。
英二は身近で、単なる「殺人者」ではないアッシュの姿を多々見てきたから彼を大切に思えるけど、私はやはりそのレッテル無しにアッシュを語ることができない。
どう考えても彼らは「住む世界が違う」のだ。
それなのに心が通じ合って真の友になれた事が美しいのであり、悲しいのだと思う。
その後の話も読んだけど、アッシュが穏やかな顔をして死ねた一方で、残された英二は信じられないような苦しみを背負ったよ。
二人が出会わなければあれほどの悲しみを引きずる人生にならなかったと思う反面、英二にはアッシュの存在が大きすぎて切り離せないんだろうな。
なんせ救いと必然性の連続で、非常に良い作品だったなぁと思うけど、英二さんよ…あんた今幸せかい？
そもそも私には何故あそこまでアッシュが英二に惹かれたのかがさっぱりわからないんだけどね。

そして漫画やアニメの中で、「絶対死んじゃだめな人」と「死ぬべき人」ってやっぱりいると思った。
何でもかんでも殺せば潔いって話じゃないわ。
BANANA FISHは、モブはじゃんじゃん死ぬけどアッシュは刺されても撃たれても全然死なない。
大ケガしてもすぐけろっとして戦ってた。
だってそりゃあ主役だもん。
でも「え、こんな事で？」って死に方をする。
ちなみに最初見た時はショーターが好きで死んだ時は結構衝撃的だった。
で、そう考えると、例の主人公は死ぬべきだろう、死ぬしかないだろうって心底思った。
アッシュほどの必然性を上手く導き出せるかどうかでクオリティが違ってくる。
今の展開が既に、運命を変えられる分岐点をことごとくぶっ壊してきた先にあるから、ここまで来た事の必然性が欲しい。
必然性必然性うるさいけど、必然性が欲しい。笑

BANANA FISH、何回見ても良い作品。