話題:秘密

「howが行ってる心療内科って何て名前なの？」お昼にパート先から昼食をとりに帰ってきた母が訊ねてきた。病院名を告げた後「なんで？」と返したら、知り合いの娘さんが通っていた精神科が患者を薬漬けにするところだったらしく、もしやうちの娘も……と心配になったみたい。その人は一年半入院して余計悪化したとかで、今は別の病院へ定期的に通っているんだそう。

「○○病院はね、お医者さんが患者の親と会いたがらないんだって。でも親としては相談したいじゃない。子供がどんな事を話してるのかは知らないにしても、どうやって接していくかは知っておきたいじゃない。それなのに○○病院の先生は、薬だけ飲ませて何も教えてくれないらしいのよ」

母はもしかしたらわたしの通う心療内科の先生とも話したいのかな。だとしたらちょっと嫌だなと思う自分がいる。うまく言えないけれど、自分の安全圏に踏み込まれる恐怖感というか……先生に母を知られたくないし、母に先生を知られたくない気持ちもある。心療内科はわたしにとっての安心できる場所で、そこに家族を連れ込みたくない？うーん、うまく言葉が出てこないや。

一応母には今の病院が薬を出すのには慎重なこと、なるべく低容量から始めること、漢方も取り扱っていること、などを説明した。それから数の計算を教えてもらうことも。

それから前々からずっと気になっていた事もこの機会に切り出した。「わたしが病院に行ってること、あまり近所で話さないでほしい。お母さんも誰かに相談したくなるかもしれないけど、中学(地元)の同級生の親には言わないで。話が広がってフェイスブックに書かれるから」「言わないよ。言えないよ」「不登校だった時も、ネットにいじめの写メとか動画を載せられて嫌だった。ほんとにすぐ話が広がるから……お願いします」母はもう一度「言わないよ」とだけ答えた。それがどのくらい信じられるか分からないけれど、今日は信じたいと思った。

母の気持ちや今後のサポートを考えると、一緒に病院へ行った方がいいのかなとも思うんだけど、どうしてかやっぱりそれを嫌だと感じる自分がいる。病院で話した事を知られるのが恥ずかしいのかな。自分で認めたくないのかな。お母さんが泣いてしまいそうだからかな。