話題:今日見た夢



蛇を貰った。
頭が二つある虹色の小さな蛇。

水を入れた金魚鉢に入れてやると嬉しそうに細長い身体をくねらせ、先に入っていた金魚達と泳ぎ始めた。
人懐っこいのか眺めていると円らな目でこちらを見つめ返し、金魚鉢をつつくと同じように頭で金魚鉢をつつき返す姿が可愛らしい。

窓辺に金魚鉢を置いていたからか、外へ行きたいと云うような仕草を見せたので、蛇が入った金魚鉢を抱え散歩へと出掛ける事にした。

草木が生い茂る小道を足元に気を付けながら行く。
木々の葉の隙間からシャワーのように降り注ぐ光が、足元の苔むした石に反射し緑色に輝いている。

ああ、綺麗だ。

そんな事を考えながら歩いていると、目の前から誰かが歩いてくるのが見えた。
帽子を深く被っていたので顔は分からないが背格好を見るにそこそこ年のいった男だ。
何となく場違いな雰囲気の男の姿に違和感を感じ、道から外れるように脇へ避けると男が此方へ向かって走り出し、そのまま体当たりされた。

その弾みで金魚鉢を落としてしまい、硝子で作られたそれが足元で砕けてしまう。

思わず男が走り去った方に目をやったが、既にその姿は視界から居なくなっていた。

そうだ、蛇は無事だろうか?

数秒程遅れて足元の割れた金魚鉢に目を向けると、砕け散った硝子片ともがく金魚の間を縫うように蛇が這っていた。
どうやら無事のようだ。
金魚は可哀想だが生きて連れ帰る事は難しいだろう。
理由も分からず体当たりし、そのまま走り去った男を憎々しく思いながらも蛇を連れて帰ろうと手を伸ばした。

すると突然、木々の影から飛び出した黒い影に目の前の蛇を拐われた。
呆気に取られてしまったが、すぐに正気に戻り目の前を駆け抜けた影に目をやると、口元に蛇を咥えた黒猫が少し離れた所で金色の目玉を此方に向けている。

直ぐ様、追い掛けようとしたがこれは自分のものだと云うような、その鋭い視線に身体が動かなかった。