話題:今日見た夢



駅へ向かっていた。
やや遠目に見える煉瓦造りのモダンな建物は古いものではあるが、なかなか趣のある建物だ。

のんびりと駅へ向かっていたが、乗る予定だった電車がもう少しで出発する事に気付き、歩く足を速め先を急いだ。
視界に駅を押さえつつ走っていると、ふと駅の上空を何かが飛び回っているのが見えた。
思わず足を止め、飛び回っているそれに意識を集中させる。
悠々と広げ空を滑るように舞うそれは、蝙蝠のような翼と長い首を持った一頭の竜だった。
それは狙いを定めたように地上へ急降下すると、歩道の煉瓦を砕きつつ着地地点に居た親子に食らい付いた。

あちらこちらで悲鳴が上がり、その場から逃げ出す人々の波で辺りは騒然となった。
果敢にも親子を助けようと駆け寄る人々も居たが、竜は意に返す事なく子供を守るように抱き締めている父親の肉を食い千切り続けている。

凄まじい子供の泣き声、野次馬の悲鳴と怒声。
子供を庇って食われてる父親の断末魔と食い千切った肉を噛む咀嚼音。

余りにも生々しいそれらに劈かれ、耳が痛い。

私は逃げ出す事も助ける事も出来ず、ただその場に貼り付けられたように佇む事しか出来なかった。