リーマンパロ夏祭り編

*途中まで書いてもう8月終わっちゃったし…続き浮かばないし…てことで没にしたお話
*突然終わりますwwwww


気がつけばあのじめじめした梅雨は明け、灼熱とも言える厳しい陽射しが照りつける夏になっていた。

世間は夏休み。いつも学生でいっぱいの朝の電車も、この期間だけは人が少なく座れたりするので嬉しかったりする。もちろん、俺のような会社員は有給休暇を取らない限り夏休みなんてある訳がない。(その休暇も毎年争奪戦である。)
因みに、俺の恋人であるあの青年もパティシエ修行で休みは無いらしい。もっとも、青年の場合就職するまで長い長い夏休みのようなだったのだからいいだろう、と思った。
不思議なことに自宅警備員(所謂ニートだが)をしていた彼は文句一つ言わず修行に勤しんでいた。時々菓子屋の爺さんから連絡が入って、礼儀が無い割に筋は通ってるし勤務態度は真面目、という報告を受ける。その度に「俺さまの旦那さまだからね」なんて言えば、爺さんは大声で笑っていた。

とても毎日幸せ、だが問題もあった。

恋人としての、二人の時間があまり取れなくなってしまったこと。パティシエ見習いのユーリは朝早くから夜遅くまで。(起きたら居なかった、とか帰りを待ってたら眠ってしまって気付けば朝だった、なんてことはよくある。)俺もここ最近は忙しく、毎日ヘトヘトで帰る。
正直、寂しかった。
就職しろ、と言ったのは自分だったのに。そう思えば思うほどユーリに申し訳なくなった。

そんなある日のことだった。

「え?夏祭り??」

ある日の昼休み。いつもの様に同僚と昼飯を食べているとき、入ったユーリからの電話。もうすぐ近所の夏祭りだから行かないか、というもので。所謂デートのお誘いな訳で。

『そ、もうすぐあるだろ?だから行こうぜ、浴衣着て。』
「えーっと…いつ?」
『確か…今週の土曜だったと思うが…』
「土曜か…うん、何とかなりそう!」
『よし、じゃあ決まりだな。じゃ、仕事頑張れよ!』
「うん、ユーリもね!」

ちゅっ、と電話越しの相手にリップ音を聞かせる。どんなに会えなくても俺はユーリが大好きなんだと、再確認した気がした。

さて、午後からはガンガンいっちゃうよ?

そして、待ちに待った土曜日。
仕事は早めに切り上げて、昼過ぎには家に帰って来れた。この日までに俺がどれだけ必死に仕事したことのは言うまでもない。
家に帰れば青年がシャワーを浴びていた。(急いで帰ったら汗だくになったし俺も後で浴びよう。)

「お、帰ってたか。おかえり。」
「ただいま〜…おっさんもうクタクタ…」
「何言ってんだよ。これからがお楽しみなんだから、な?」

水も滴るなんとやら。久々にまじまじと見た彼はやはりイケメンであった。暑さのせいでなく、顔が赤くなるのを感じた。
青年が脱衣所を出ていくと、さっさと服を脱いで風呂場に逃げ込んだ。

(あぁもう格好良すぎる。ベタボレだ…!!)

シャワーを浴び、リビングへ向かうとユーリはさっさと浴衣を着てくつろいでいた。しかもご丁寧に髪まで結ってある。(後ろ姿は絶世の美女だ。)
俺も浴衣を着るが、帯があまり上手くいかない。悪戦苦闘している俺を見かねて、ユーリは助け舟を出してくれた。

「これでよし、と。じゃあ行くぞ。」
「う、うん。」

貴重品を浴衣に似合うように巾着に入れて、下駄を履く。下駄なんて履くのは何時ぶりだろうと思い出そうとすれば、ユーリに手を握られ歩き始めた。
まだ明るいのに、とかご近所さんに見られたらどうしよう、とか思いはいろいろ巡ったものの"デート"が嬉しくてどうでも良くなってしまった。恋人らしいデートは本当に本当に久しぶりだ。(同棲してるとそういうことをあまりしなくなる。)
いくら地域の夏祭りと言えど、やはり人は多かった。浴衣姿の男女や親子連れ、はしゃぐ若者も居た。夜店も多く、ここで夕飯を済ませることになった。

「おっさん何食いたい?」
「そうねぇ…たこ焼きとか…あ、焼きそばもいいわね。青年は?」
「俺は何でもいいぜ。おっさんの食いたいモンに合わせる。」

とりあえずたこ焼きを食べることにして、たこ焼きの屋台へ向かう。人目は多いが、はぐれる訳にはいかないので繋いだ手は強く結ばれている。(きっとそんなのは言い訳に過ぎない。)
端から見ればいい年した男が二人手を繋いでいるなんて、と思うだろうが俺にとっては嬉しいことこの上ないのだ。

「おっさん、食う前にこれやろうぜ!」

そう言ってユーリが指さしたのは射的だった。こう見えても元弓道部エース。勝つ自信はあった。

「いいわよ。でもおっさん強いからねぇ…青年負けちゃうかも。」
「臨むところだっての。減らず口は今だけだぜ?おっさん。」



09/02 08:34
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