私の祖父は40代前半に、馬車に轢かれて亡くなった
私が生まれた時にはもう、いなかったのだ
幼い頃、仏間に何故父の写真が飾ってあるのだろうと不思議に思っていたが、実はそれが祖父だった
昔は‘馬車引き’という仕事があって、商品を運ぶ今の配送業だと思っていい
馬車に轢かれるなど今では考えられない事だが、いわゆる交通事故みたいなもので昔はそう珍しくも無かったそうだ
最近になって母から聞いたが、事故の日、いつもと違う新しい馬を任され、事故になったらしい
余談だが、祖父の胸には斜めに鉄の車輪の痕があったが、会社が病院を言いくるめ、死因は急性肺炎という事にしたそうだ
相当な慰謝料をもらってもおかしくなかった事だが、今となっては後の祭りである
話を戻すが、それにしても父と祖父は瓜二つだった
私が子供の頃の父が、祖父と同じくらいの年齢だったから余計に似ていたのだろう
そういう訳で私は‘おじいちゃん’を知らずに育ったが、今ではすっかり年老いた父の中に白髪の祖父を見つけ、心の中で「おじいちゃん」と呼んでいる
やっと会えた気がするのだ
〜なかなかコメ伺えずすみません〜