一時もじっとしていない母



デイサービスでも洗濯物をたたんだり、庭の草取りに励んでいるようだ



「そろそろ大根の種でも買いに行かないと」



独り言のように呟く母だが、暗に「店に連れていけ」と言ってる



「大根の種を買いに行くなら乗せて行くよ」



「それは良かった。畑が空いているのはもったいないからねぇ」



「何でも作るのはいいけど、自分で出来る分だけ作ってね」



「うんうん」



更に、買い物は大根の種だけだからね、と念を押して私は車内から見守る事にした



認知症でも極力、自分でやれる事はやらせないと



「すぐに千円札使ったらダメだよ。小銭から使うこと」



ハイハイと出て行った母だが、大根の種ひとつにまぁ時間のかかること



あ、帰ってきた



ちゃんと買い物出来るんだね。ビニル袋持ってるし。家のクルマも分かってるようだ



「大根の種、あった?」



母に聞くと



「あれ、何買いに行ったんだっけねぇ」



あれま、、ダメでしたかぁ


〜買い物袋に入ってたのはプリンとヤクルトでした〜