刀剣乱舞 プレイ日誌




……4振り目の三日月おじいちゃんをお迎えしましたまる。

阿津賀志山のボスマップドロップではなく、鍛刀でですのん。

大太刀男士の蛍丸君をお迎えしようと、彼が出るっぽいレシピで資材をガンガン溶かしていったら、

来ちゃって。


……いや、来てくれたのは嬉しいけど、逆に怖いよ?みたいな。


同じ鍛刀時間が4時間の小狐丸はまだ1振りしかきていないのに……と思いつつ。


ちなみに蛍丸君は昨日来てくれましたまる。



阿津賀志山も無事クリアして、次はいよいよ6面の池田屋突入。

脇差や短刀をメインとした部隊を編成しようかな、というのもあるけれど。

やっぱここは新撰組男士かなあ、と。

team新撰組 with蜂須賀虎徹で行くべきか。


それともレベルが中途半端な短刀男士を育てるか。


6面を全面的にクリアすると、極の修行に行く事ができるんだけど……。


そもそも一式が揃っていないから、行かせたくても行かせてあげられないとゆーオチ。


それでもってここで三日月のおじいちゃんと兼さんに一言。


真剣必殺、いつになったら見せてくれるんですかまる。




……あ、あと。まだちょっと先になるけど。

期間限定で大典太さんとか物吉君とか、村正が週ごとで鍛刀できるキャンペーンが
今真っ最中なので。
3人全員、お迎えできたらいいなー、と。

……うん。ガチで来てくれないかな……。


と思った審神者でしたまる。

人の恋路を邪魔する奴は馬に蹴られて死んじゃうそうですよ。

とある日の芸術文化ホール。


稽古場にて、千夏達は真剣な表情で円陣を組んでいた。

「……じゃあ、行くぞ。」

千夏の言葉にキャスト達はコクリ、と頷いた。

「最初はグー……!」
「じゃんけん――……。」

「「「「っぽい!!」」」」

「ああああああああああああ!?」
「ま、負けた………。」

パーを出した12人に対して、2人だけグーを出した。

……満月は頭を抱え床にしゃがみこみ、芳樹はあははは、と笑った。

「というわけで、買い出しは頼んだ。」

夢現乱舞のキャスト達内ではそんな頻繁にしないが、
時折、こうしてじゃんけんをして負けた人間が買い出しをするという
ルールがあった。
じゃんけんの内容で負けた人間の数は変動するが、
今回は満月と芳樹の2人だった。

「俺、コーラ!」
「ファンタのオレンジでー!」

和気藹々とリクエストをする仲間に芳樹はメモを取り、
満月は智恵からお金を預かった。


「じゃあ、ちょっと行ってくる。」
「行ってきまーす。」


2人が戻ってくるまで、休憩と言うことで千夏達は雑談をすることにした。


「……あれ、ねぇ。小夜君は何処に行ったの?」
「智久さんの姿も見えませんけど……。」

疑問がる智恵と涼に千夏は。

「……後を追いかけていったな、あの2人。」
「えー……ただ、買い出しに行くだけじゃない。
別にやらしいことするわけじゃないのに。」

「智久は面白いことがあると何でも首を突っ込みたがるからなぁ……。
お小夜が止めてくれればいいんだけど……。」

「……万一、止めなかったらどうするの?」
「……その時は刀の付喪神がとめるんじゃない?首をしめて。」

「……事情を知らない第三者から見たら、
ぼっちプレイにしか見えないって、それは。」


―――芸術文化ホールからさほど遠くないところにある商店街。

満月と芳樹は買い物リストを見ていた。

たまにすれ違う女性達から黄色い声があがり、
芳樹はにこにこと笑い、満月は軽く手を振った。


「……ところで、気になったんだけど。」
「何ですか?」

「東雲さんが作刀した写しに宿る付喪神って、
三日月以外にもいるの?」

「あ、いますよ。粟田口とか、伊達組とか。
源氏とかも。」

「……いるんだね。」
「後は三日月以外の三条とか。
……あ、ただ。一期一振とか、鶴丸国永は
オリジナルの本体をほったらかしにして、写しの方に
宿っていますけどね。」
「……何でそういう経緯になったのかなぁ。」

「一期については、曾ばあちゃんの夢の中に出てきて
写しでも構わないから、作刀して欲しいってお願いされたそうです。」
「……ああ、個人や博物館などでバラバラに所蔵されているからか。」
「兄弟達と同じ場所にいたいっていう願いを汲んで、
曾ばあちゃんは作刀したんですけど……。
それを耳に入れた鶴丸が、面白そうだから自分の写しも作ってくれって。」
「………面白そうだからっていう理由で、
自分の写しを作刀してくれっていう付喪神いたんだ……。」

「……それを聞いた和泉と国ちゃんは爆笑してましたけど。」

「国ちゃんっていうと……。」

「あ、堀川国広です。
でも、土方さんが使っていたのとは別になりますね。」

「作られた時代、当時はブランド扱いされていた堀川派の刀を
農家出身の土方さんが手に入れている可能性は低いことから、
贋作疑惑が囁かれているとか何とかって話だし。」


「土方さんが使っていた堀川国広は
近藤さんが記した書簡に一文だけ残るのみだし、
その書簡に書かれていた刀は所在不明、
しかもその書簡以外の史料が見つかっていないから、
真贋以前に刀が実在したかどうかすら不明、っていう話がありますからね。
まあ、でも当の本人は真贋だろうが実在していようがいまいが、
同じ堀川国広としては、土方さんの刀として扱われたことは
誇りに思って……いるの、かな?」

「……なんでそこで疑問形?」

「あ、あくまでも私が抱いた印象のようなもんですよ!?
あ、あははは……。」

 

苦笑いをする満月の背後から少し離れたところにある路地裏にて。

小夜と智久は2人の背中を見ていた。

「……2人してなーに話してんのかな。」
「少なくともイヤリングのことではないかなー、とは思うんだけどな。」

「……つーか、話すんならさっさと話せばいいのに
何がその時になったら、嫌でも話すことになるだろうとかどうとか
言うのかな、とオレは思うんだけど。」

「それについては俺も同感。」

「……というかあんだけ糸ががんじがらめになっているっていうのに、
全然気づかないってどゆこと?」

「……え、何?赤い糸が視えるのか?」

「……悲しいことにオレ、そういうの視えてしまうんだよねぇ……。」

遠い目をする小夜に智久はおいおい、と言いそうになった。

ちなみに2人とも、視線避けの術式を行使しているので
すれ違う人間達は彼らに気づいていない。


「赤い糸って胡散臭いと思っていたんだけどな、俺。
見えないのに赤いって何で言い切れるのかな、と。
……がんじがらめ、ってことはやっぱ。
イヤリングを渡したことで縁ができちゃったってことか?」
「多分、それが原因。
曾ばあちゃんはそれが視えた上で、芳樹さんに
彼女を作るな、って言ったんだと思う。」

「……満月ちゃんは気づいているのか?」
「いんや。曾ばあちゃんから、自分に関わることは
視るなってきつく言われているから、気づいていないよ。」

「自分に関わることを視るな、か。」
「曾ばあちゃんが根源のことを知っていたかどうかは知らないけど、
満月は知ろうと思えば何でも知ることができてしまうとか
何とかって言っていたから。
1つぐらい枷をつけておかないと、歯止めが利かなくなるしって。」

2人の姿を見失わないよう、こっそりと後をつけながら
小夜は智久に話をした。


「……だから、自分に関わることだけは視るな、って言ったのか。」
「そゆこと。
『何でも知っていて何でもわかって生きるのは、
楽しいと言えるのかしらね。』って言ってた。」

「満月ちゃんはその時なんて?」
「わかっていなさそうな感が満載だったけど、
『うんわかった』って言っていたのは覚えてる。」

「……万能っていうのは時に進歩を止めてしまうからなぁ……。
けどお小夜としては、満月ちゃんに運命の相手がいるっていうのは
すっごい悲しいのか?」

「めっちゃ悲しいに決まってるっつーの。
これで知らん人間とかだったら、妹に手を出すんじゃねぇよって言って
権力を駆使して社会的に抹殺するところだけど、
芳樹さんが相手じゃなー……。」
「越前の奴も、2人はバリッバリに相性が良いって言っていたから、
なおかでな。」
「それなんすよぉー!」

頭を抱えてアスファルトの道路にしゃがみこむ小夜に智久は
あっはは、と笑った。


「っと、笑っている場合じゃなかったな。
後を追いかけないと―――……。」

智久の言葉に小夜が立ち上がったその時。


「……こっそりついていくのってそんなに楽しいの?」

と、第三者の声がして小夜はギクリ、と声がした方向に顔を向けた。

「……げ、安定……。」

キャミソールワンピースにカーディガンを羽織った小夜の守り刀である
大和守安定(写し)に智久はわぁお、と呟いた。

「気持ちはわからないでもないけど、こっそりついていくのは
どうかと思ったんだよね。
帰るよ、芸術文化ホールに。
やだって言っても、聞かないから。」
「…俺らの言い分は?」
「聞きません。
人の恋路を邪魔する奴は馬に蹴られて死んでしまえってことで。
後で清光と一緒に叱るから、ほら帰る!」

安定はそういうと視線避けの術式を強制的に解除して、
2人の襟元を掴むとズルズルと引きずっていった。

 

「……あれ?」

買い出しを終えた満月と芳樹は智久と小夜が安定に引きずられていく様子を
目撃した。

「……満月ちゃん、あのワンピースの子って……。」
「あ、安ちゃんですね。
……でもなんで智久さんとさよ兄ぃがここまで来てるのかな?」
「……俺らの買い出しにこっそりついてきたとか。」
「……ついてくるなら、声をかければよかったのにー。」
「……あの様子だと、安定……ちゃん?え、どっち?」
「どっちでも良いですよ、付喪神に性別なんて概念はそもそもないですから。
自分の好きな時に都合の良い性別を選んで顕現しているだけなんで。」
「……あ、そう。」
「ちなみに安ちゃんと清ちゃんも怒ったら怖いんですけど、
1番怖いの、国ちゃんなんですよねー。
後、一期も。2人とも穏やかだけど表情は全然笑っていないっていう。」
「……その国ちゃん、闇討ち暗殺お手のものとか言わないよね?」
「粟田口の短刀と国ちゃん、その手のものはお得意ですよ?」

「……て、敵に回したくはないなぁ……。」


かくして。智久と小夜は。芸術文化ホールに帰されて早々、
顕現した安定と清光の2人にこっぴどく叱られたとか何とか。


(ちなみに不知火親子は腹を抱えて爆笑していた)

 







                                                     終わり。

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ガールズトークと愛され少女の話。

※アテンション※



この話は未来の話につき、登場するキャラは歳を取っています。


 


何歳取っているかって?それはお察しください。


 


スタジオ内にセッティングされた円形テーブルには
ケーキやスコーンが載った3段重ねのティースタンドが置かれている。


ポットからカップに注がれた紅茶はまだ湯気があがっていて。


番組の司会を務める女性と、ゲストとして招かれた女性達は
和気藹々と話をしていた。


……その中に。満月は混ざっていた。


「はぁー……確かにこれは美味しいの一言に尽きますねぇ。」


「さすがにお母さんに仕込まれただけあって、納得いく味ですね。」


「まだまだ母さんには敵わないんですけど。」


一口だけ飲んでティーカップをソーサーの上に置いた満月は苦笑する。


ガールズトークという番組はカフェ風のスタジオで、
女性MCとゲストとして招かれた、様々な職業の女性達が
持参したお菓子と紅茶のセットを楽しみながら、
視聴者からの質問に答えつつ、他愛もない話をする内容のものだった。


今回、満月もゲストとして招かれ、他の女性達と共に話をしていた。


……ちなみに今回のトークテーマは「恋愛について」らしく。
満月も含め、招かれた女性達は全員が彼氏持ちだった。


「お便りが来ていますね。
ペンネーム『恋を夢見る乙女』さんから。
『彼氏持ちの皆さんに質問です。
相手に対して不満とか、これは直してほしい!っていうのはありますか?』
という質問です。」


「うちは彼氏が、毎晩帰りが遅くて。
会社の同僚と飲み会やっていたって言い張るんですけど、
じゃあ、場所何処なのよ?って聞いたら、
そんなの何処だっていいじゃんって返されて喧嘩になっちゃって。
飲み会に行くのはいいけど、せめて場所ぐらいは教えなさいよって。
やましいことでも考えているんじゃないの?って思うんですよねー。」
「私なんか、彼氏とデートに行く度に決まってオシャレな女性を見ると
私の方に顔を向けて深いため息をついているんですよぉ。
服自体が悪いのか、それとも私の顔が悪いのか、どっちなのか
わからずじまいで。
前者はまだ改善しようと思えば改善できるけど、
後者だったらすっごいショックですよ!?
そう思いません!?」


雑誌編集の仕事をしている女性の話に他のゲスト達は
それ酷いよねー、と頷いた。


「女って言えば、私の彼氏。すっごいシスコンで、
毎回デートになると決まって連れてくるんですよ。
まだ幼稚園児とか小学生なら、目を離したらまずいよねってわかるけど
私とそんなに歳が離れていないんですよ、その妹!」
「どれだけシスコンなんですか、その彼氏!」


ぶちぶちと彼氏の不満を口にするゲスト達に
満月は耳を塞ぎたくなった。


人様の恋愛事情に首を突っ込みたくないので、
番組のプロデューサーをしている遠縁の男性から
ゲスト誰か1人連れてきてくれ、頼むと泣きつかれなかったら
絶対に行きたくはなかった。


「姫宮さんは彼氏に対して何か不満とかそういうの、ないですか?」


「特にないです。」


速攻かつきっぱりと言い切った満月にゲスト達はポロッ、と
手にしたフォークやらスプーンを落とした。


「……え?」
「……そ、即答……?」


観覧席からはホントにー?というような声があがった。


最前列に視線を向けた満月は頬を紅潮させた。


「………あんなスパダリ彼氏に対して何処に不満があるか、
逆に探すのが大変かと。」


満月の返答に司会とゲスト達はあぁ……と納得した。


「じゃ、じゃあ、次の質問はー……。
ペンネーム『三日今に落ちてしまいました乙女ですv』さんから。」


「……やけに長いペンネームですね……。」
「三日今って……。」
「えーっと、これは名指しですね。
姫宮さんに質問です。」


「私?」


「『姫宮さんに質問です。
この間、綿貫さんと金平さんのトーク番組で
綿貫さんが姫宮さんのことを可愛い可愛いと惚気ていたので、
できればそーいう話も聞きたいです、というか話してください!』と。」


「…………え、ノーコメントは?」
「なしです。」
「……えー……。」


顔を真っ赤にしつつも、満月は何かあったかなぁと思い返した。


「……この間、
芳樹さんちで仕事の打ち合わせをやることになったんですけど。
急に雨に降られて、あいにく傘を持っていかなかったので。
到着した頃には服が濡れちゃったんですよ。」
「はい。」
「……お互いの家に最低でも
下着類は置いておこうって取り決めしていたんですけど、
肝心の服がなかったんで、彼のを借りたんです。」



ちなみにその時、借りたのは彼のぶかぶかなシャツだけだったのだが
誤解を招くと満月は判断してそれを言わないことにした。


「え?結構進んでいるんですか?」
「まだキス以上のことはしてませんっ!
……で、仕事の打ち合わせが長引いちゃったんで
泊まっていくことになってですね。」
「とうとう進んだんですか?」
「だから進んでません!
……で、就寝した後。夜中に目を覚まして、
トイレに行ったんですよ。
それで部屋に戻ろうかとしたら、芳樹さんがふらふら〜って
私のところまでやってきて。
トイレなのかな?と思ったら、こうがしっと肩を掴まれて
抱きしめられて。」


きゃっ、と嬉しそうな悲鳴をだした司会をスルーして満月は話を続けた。


「吃驚する私を気にすることなく、芳樹さん。
お姫様抱っこして、部屋に戻ったんですよ。
あ、これ、起こさずに勝手に部屋を出たことについて
怒っているのかなあ、と思ってビクついていたら
ベッドに自分もろとも倒れこんで
耳元で名前を囁かれて、キスをしたかと思ったら
そのまま寝ちゃって。
……で、ハッとしたんですよ。
『あ、これ寝惚けているの?』って。
起きた時は何も言わなかったから、
夜中のこと覚えていなかったのかなぁ……って。
こっちはすっごい心臓がバクバクしましたけど。」


顔を真っ赤にして話をした満月に観覧席からきゃー、という声があがった。


「うっわあ、何か羨ましいなぁ〜……。」
「他には?他には何かない?」
「……え、あ、まあ……後は……。
この間、髪を切ろうとしたら駄目って言われちゃって。」
「え、何で!?」
「……そのー……俺の楽しみを奪わないで欲しいな、って。
美容師とかスタイリストとかの資格を持っているんですけど。
自分の手で私を今以上に綺麗に魅せることができるかって
現在進行形で燃えているんですよね……。」



実際、今日のヘアスタイルもファッションも彼が仕立てたものである。


「うっわあ、愛されてますねぇ〜。」


「(一途に愛しているっていうより独占欲が半端なく強いって
言ったら、社会的に抹殺されそうな気がするから言わないでおこう……。)」


「でもこうも一途に愛してくれているのって、
羨ましいなぁ、とは思いますねぇ。」


「私の彼氏にも見習ってほしいわー。」
「ホント、それ。」


楽しげに話すゲスト達に満月は照れくささから、
顔を俯かせたが、その表情はまんざらでもなさそうだった。


 


収録が終わり、スタジオを後にした満月は
廊下で待っていた芳樹の姿を見かけるとパタパタと駆け寄った。


彼は今日の収録中、観覧席の最前列に1人でいたのだ。


「ごめんなさい、お待たせしましたっ。」


「お疲れ、満月ちゃん。
……というか、さっきのあれ、ホントにやってたの?」
「な、何のことですか?」


芳樹の言葉に満月は視線を横に逸らした。


「お姫様抱っことか。」
「してました!その後キスしたりとかもして!」


顔を真っ赤にする満月に芳樹はそっかぁ、と笑顔を綻んだ。


「何ですかッ、その顔ッ!」


「今日は嬉しい事ばかりを言ってくれたからね。
こういう表情にもなったりするよ。」


「よーしーきーさーんっ!」


ぷんすかと怒る満月を芳樹はあはは、と笑いながらその手を握った。


「嬉しい事を言ってくれたお姫様に、
今日はパンケーキを食べさせてあげるとしましょうか?」


「……食べ物で釣ろうとしないでくださいよぉ。
パンケーキは食べますけど。」


手を繋いで廊下の奥に消えていく2人を見たゲストの1人は。


「……うちもあんなのだったらいいのになぁ……。」


と羨ましそうに見ていたのであった。


 





                                                       終わり。
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Fate/Gardener  ACT:8(16)

「……何、私がお前達に声をかけたのは
黒い靄に覆われたルーラークラスのサーヴァントについて、
話をしようとしただけだ。」
「それならば、私達ではなくマスターに話をすることはできないのか?」
「残念だが、無理な話だ。
あれにとって私はもはや過去の産物だ。
そもそもそれ以前に、
あれは私の人格が出てしまえば精神的に崩壊してしまい、
使い物にならなくなる。それはあれの内側であっても同様だ。
肉体や精神の主導権はあれが握っているからな。
………それにあれの内側には騎士王もいる。
私と彼女はソリが合わない。
性格的にも、属性的にも。
だから、外側からお前達が来なければ
こうして会話をすることもできない。」
「……ならば、俺達は貴女との会話を主に伝えれば良いのか?」
「そういうことになるな、フィオナ騎士団が一番槍。
……実際のところ、
あの黒い靄に包まれたルーラークラスのサーヴァントは
前々回の聖杯戦争においてアインツベルンが
召喚したイレギュラーな存在だ。
当時の戦いには参加していないので、
どういう性格をしていたかまではわからないが、
前々回の戦いにて聖杯は汚染されてしまった。
歴代の聖杯戦争で敗北していった英霊達の無念さなどが
都市を循環する魔力に染み付いてしまい、
それが泥となって聖杯に長い間溜め込まれてしまった。
あのルーラーはそれに飲み込まれて、黒化してしまった。
元々聖人だったルーラーはそれによって
黒化したことで属性を反転させた。
彼女が復讐という衝動に駆られているのは
数多の英霊達の残留思念が染みこんでしまったからだ。
それさえ除去してしまえば、ルーラーは元の属性に戻るだろうよ。
聖杯戦争という魔術儀式自体が茶番劇だった。
マスターによって召喚された英霊達は
それを知らずに敗北、あるいは事実を知らされて絶望に陥った。
そういった負のエネルギーが蓄積されていき、
1種の呪いとなった。
四神相応の地で行われているからこそ、
そういった事態になってしまった。
そこまで察したのはいいが、
私は聖杯を壊す前に自害してしまったからな。」
「……残留思念さえ除去できれば元に戻ると言ったが、
その言い方ではまるでマスターが彼女を
倒さないというような考えに至るのか?」
「真名を知れば、嫌でも倒せないという考えに至ってしまうさ。
あれはそういう性格だ。」
「その口ぶりだと、ルーラーの真名を知っているようだな。」
「ああ。大体は見当がついている。でも私は親切ではないからな、
あえて口にはしないさ。知りたければ自分達で看破すればいい。」
キャスターの言葉にセイバーとランサーは眉間に皺を寄せる。
「こうは言いたくないが私は本来であれば英霊として
召喚されることのない悪霊、妖怪の類だ。
秩序・善のセイバー、秩序・中庸のランサーとは相容れない。
世間的に私は日本三大悪妖怪だからな。
聖杯を壊そうとしたのも、
いずれ訪れるであろう自然消滅を静かに待っていた私を
半ば強引に召喚して、
制約までかけたマスターに対する嫌がらせのようなものだ。
自分を退治した人間が聖杯戦争による影響で
いかな被害を受けようが、
知ったことではないのだが――――くだらない茶番劇と
ルール違反のせいで私を呼んだ阿呆共を
ぶん殴りたいと思っただけのことだ。
悪者として退治された私がどの面下げて
正義の味方気取りをしているんだ、と言われるのは
あまり好きではないのでな。」
肩を竦めて話をする彼女を2騎のサーヴァントはただ静かに見ていた。
「さて、長話は無用。記憶の残滓でしかない私も
そろそろ潮時だ。せいぜいあれを守ってやれ。
自分のことを棚にあげて周りを気にかける
面倒くさい性分の持ち主だからな。
…まあ、正直言うとだな。
あれが契約を交わしたサーヴァントというのが
お前達でよかったよ。」
思いもがけないその言葉にセイバーとランサーは自分の目を疑った。
「セイバーはあれに召喚されて、
ランサーは別の馬鹿に召喚されたが、
最終的にはあれと契約をした。
―――お前達2人は聖杯にかける望みなど持ち合わせていない。
それが私にとってせめてもの救いだった。
もしも願いを持っていたら、即座に殺していただろうな。
あんな馬鹿げたものに執念している
阿呆共を説得するのは好きではないんだ。」
2人にそう言いながらも、キャスターの声は
段々遠ざかっていくように小さくなっていく。
記憶の残滓と本人が言っていたのだから、
限界がきたのだろう。
「………後はお前達に託す。あれを頼んだ。」
その言葉を最後に、キャスターの声は聞こえなくなった。
今度こそ、本当に。聖杯を壊そうとした大化生が
遺した記憶の残滓は自然消滅した。


「……セイバー、ランサー。どうかしたの?」
満月に声をかけられた2人は意識を彼女の記憶から
現実に引き戻された。目の前を見れば、彼女とジャンヌ、
そしてローゼスフィール、和火と深雪がそれぞれ心配な表情で
2騎の顔色を窺っていた。
「……すみません、マスター。どうやら私とランサーは
キャスターの記憶を見ていたようです。」
「……キャスターの?」
「正確に言えば見せられたといえばいいのでしょうか。
キャスターに。」
「……キャスターに?」
「はい。……彼女は記憶の残滓だとか言っていましたが。」
「……ここに来たせいなのかな。」
セイバーの言葉に満月は周囲を見回した。
夜が明けた早々に彼女達は南部にある地方都市へと足を運んでいた。
この地方都市で11年前、聖杯戦争が行われていたのだ。
ここへ来たい、と言ったのは意外にもジャンヌであった。
「母さん、どうしてここに行きたいなんて思ったの?
11年経った今じゃ、残留思念ぐらいしか残っていないけど。」
「私も知っておいた方がいいのかな、と思っただけ。
前回の聖杯戦争による被害の痕跡は
もう残っていないけど……10年前に、
仕事でこの都市に来たことがあったのだけれど。
ここに来た時、とても悲しい気持ちになったの。
一所懸命頑張ったのにそれが報われなかった、
そんな感じの気持ちに。」
「…………。」
「私はね。皆から聖杯戦争のことを聞いて、
どうしてそんな後味の悪いものに
なったのかしらって思ったの。
ここを訪れてそういう気持ちがより強くなったわ。
根源に到達したいという願いのために
英霊達の魂を聖杯にくべるわけにはいかないものね。」
「そうだよね。聖杯を手に入れさえすれば願いを
叶えることができるって信じて戦った英霊達がかわいそうだよ。」
周囲を見回していた和火はジャンヌの言葉に
首肯すると深い息をついた。
「………で、2人とも。キャスターは何か言っていなかった?」
「後は頼む、と。それから貴女のことをよろしくと。」
「……え、何それ。」
「悪者として退治された自分が
どの面下げて正義の味方気取りをしているんだ、と
言われたくないというような旨も。」
「………ねぇ、キャスターって。」
「……言うな、ローゼスフィール。
あのキャスターの性格からして
そんなことを言うなんて、私には信じられん。」
「……ええっと、他にも何か言っていませんでしたか?」
深雪の言葉にセイバーとランサーは顔を見合わせると互いに頷いた。
「ルーラーの真名を知っているかのような口ぶりをしていました。」
「何ぃ!?」
「真名は聞けたんですか!?」
「……それが、その……何と言いましょうか……。」
「大体の見当はついているが、
自分はそこまで親切ではないので、
知りたかったら自分で看破しろと。」
ランサーの返答に深雪は呆然と、満月は不機嫌な表情をした。
「……記憶の残滓とはいえ、
随分と舐めた真似をしてくれるじゃないか…………。」
「………え、でも一応は満月を形成する原型になったのよね?」
「……いや、記憶と人間離れした身体能力を
引き継いだだけだし、
形成する原型になったわけではないというか……どうなの?」
「自分自身がそれ言っちゃっていいの?
複雑な気分になる、っていうわけではないんだね。」
「複雑だと思っているなら、やさぐれているから。……多分。」
「……多分って言っちゃっていいんですか?」
「本人がそう思っているのなら、良いのではなくて?
私はツッコむ気力が失せたわ。」
「それから、真名を知れば嫌でも
倒せなくなるとか言っていましたが。」
「……倒せなくなるって言ったら、
殺生石を砕いた僧侶さんとか?」
「……ないない。それはない。
そもそもあの人は仏教だし、
聖杯を求める理由なんて何処にもない。
むしろ、聖杯?何それ?って思うだろうから。
それ以前に彼は男性だし、女性じゃないよ。」
「でも真名を聞いたら、
倒せなくなるっていうような聖人って……満月、
心当たりはあるの?」
「……うーん、そういうようなのに心当たりはないしなぁ……。
ご先祖様のシャルルマーニュことカール大帝が
聖人だっていう話は聞いたことがないし。」
「そうよね。
セイバーみたいに性別を偽った、っていう話は
何処にもないもの。」
「……となると、他に思い当たる聖人は?」
「……思いつかない。もし戦えないとしたら、
ジャンヌ・ダルクぐらいしか。」
「フランスを代表する英雄だものね。
ジャンヌ・ダルクは。」
「ジャンヌ・ダルクさんは15世紀の人でしたよね?
シャルルマーニュさんは―――……。」
「8世紀から9世紀にかけて、と時代は
離れていますがジャンヌ・ダルクは
後輩のようなものですね。」
「そっかー、セイバーさんにとっても後輩なんだね。」
深雪の疑問に返答したセイバーに
和火は納得したかのように頷いて言葉を口にした。
「…………あ、ここ。」
周囲を見回していた満月がとある場所を指差した。
鉄塔と線路が敷かれた橋のある河川敷であった。
「………ここは?」
「キャスターが令呪で命じられて自害を強要したところ。」
「…………そう、ここが。」
満月の言葉にジャンヌは頬に手をあてた。
河川敷を見ていたランサーは祠があることに気づいた。
「……主、これは。」
「……あれ、おかしいな。
キャスターの記憶で、ここに祠なんてなかったと思うけど。」
「……あ、看板がありますよ。
4年前、大雨が降った時、ここが氾濫したみたいです。
近くに住宅街があったので、
避難命令が出されたみたいなんですけど、
それよりも洪水の方が早かったみたいで。
……でも、住宅街に来る前に白い狐のようなものが
姿を現してせき止めるどころか逆に押し返したと。
長い間せき止めてくれたおかげで
死者は1人も出すことなく、
全員が避難することができたそうです。
懸念されていた住宅街への被害もそれほどなかったので、
白い狐は神様が皆の命と
財産を守るために遣わしてくれたとかで、
お礼ということでこの祠を建造したとか。」
「………4年前の大雨……。」
「あ、それについてはお母さん達から聞いたことがあったよ。
その時、台風が発生していたんだって。」
「ええ、それで台風から変わった低気圧に向かって
湿った空気が流れ込んだ影響で大雨となったの。
この辺りの堤防も決壊したのよ。」
「マスター、その白い狐というのは……。」
「……キャスターの残留思念が狐の形になったのかな?
いや、元々から狐だったけど……。」
「四神相応の地で魔力が循環しているのだから、
その影響もあったのではなくて?
残留思念とその魔力が結びついて、
一時的に狐の姿を取ることができた。」
「………まあ、そういう経緯は納得できる。
でも、理由がわからない。
キャスターにとってここは令呪によって
自害を強要された場所だから、
あまり良い思い出ではないと思うんだけどなぁ………。」
「あまり良い思い出ではないのに、
どうして住宅街の人達の命を守ったんでしょうか?」
「記憶を引き継いだとしても当の本人の性格とかを
再現されたわけじゃないから、
どうしてなのかはわからないんだけど。
この場所に残っている無念さが土地の影響を受けて
氾濫を防いだのかもしれない。」
「無念さって……聖杯を壊すことができなかったこと?
それがどうして、氾濫を防ぐことになったの?」
「それにどうして11年前ではなく、
4年前にそうなったのかもさっぱりなんですが…。」
「関係があるかどうかわからないんだけど。
4年前、キャスターの記憶がはっきりと出てきたんだ。
狂った聖杯を壊せなかったという無念さや自分の意志を
無視しての不本意な召喚で招きよせられたこととかの
感情がぐるぐると回ったことがあった。」
「それが覚醒のきっかけになったのかしら?」
「そうかもしれないんだけど……あまりの膨大な量の
記憶についていけなくて、
まだ6歳だっていうのに死にたくないって思ってしまってさ。」
「ああ、それは今も覚えているわ。
満月、急にわんわんと泣き始めたもの。
死にたくないとか言い始めて、
宥めるのに苦労したけれど。
そんな理由があったのね。」
「死にたくないという思いがこの場所にあった残留思念と
結びついたのかしら?」
「……今となってはそう思うしかないけれど、
あの時は上手く説明をすることができなくて父さんと
母さんにはすごく迷惑をかけてしまったというか。」
「それは理解できなくもないわ。
脳の容量を超えるほどの情報がいきなり溢れてきたら、
誰だって吃驚するもの。
まだ物事を複雑に理解できない6歳児なら尚更よ。」
ローゼスフィールの言葉に満月は苦笑する。
そんな彼女をジャンヌは後ろから抱きしめた。
「今はもう死にたくないっていう気持ちはないのよね?」
「うん。今は生きていたいって言う気持ちの方が強いよ。」
「残留思念って悪いイメージがあったんだけど。」
「良いか悪いかなんて、そんなのは生きている人間が
決めることだよ。
そりゃ、マイナス的なものが大半だろうけど、
中にはプラス的なものもあるから。それを上手く見極めれば、
プラスな影響を受けるし、間違えればマイナス的な影響を受ける。」
「つまるところ、自分にとって良いか悪いかを
見極めることが大事ってことなんだね。」
「うん。………まあ、普通の土地だったら残留思念は
目に見えないものなんだけど、
この都市だと時として形を取って具現化することがあるし。」
憂いを帯びた顔をしていたジャンヌは首を横に振ると、
満月の肩に手を置いた。
「私の用事はこれで終わったわ。……さ、戻りましょうか。
時間に気をつけて、余裕を持って行動をしないとね。」
ジャンヌの言葉に満月は首肯すると踵を返した。
「間桐邸に戻った慎三は大丈夫なのかしら。」
「大丈夫ですよ。殺虫剤による副作用も
綺麗さっぱりなくなりましたし、
伯父さんには先生や藍堂さんも一緒です。
それから慎吾さんも。」
「……一緒って言うよりは、間桐さんが
無理矢理引っ張っていったけどねぇ。」
体内にいた蟲を死滅させるため、薬を投入された慎三は
その副作用でインフルエンザに似た症状を出していたが、
全快したので慎吾を無理矢理引っ張って時雨や
瑠樹と共に間桐邸へ一時的に戻っていた。
蟲蔵に未だ残っている蟲の殲滅と、間桐白夜が
張り巡らせた結界などを解除して新規に立ち上げるのと、
前々回の聖杯戦争に関する資料を探すためである。
彼自身もルーラーに関することは何も知らなかったのだが、
そもそもルーラーというクラス自体が秘匿されていたので、
無理もないと満月は慎三に言った。
「でも間桐邸を探しても、
真名を看破するのに充分な資料はないと思います。」
「間桐のご老体の性格からして資料を
まともに残すとは思えないけれど。」
「……まあ、あの爺の性格を考えればそう思うのが自然か。
ローゼスフィール、今のところは森林地帯にアサシンの気配は?」
「今のところ、感知をしていないから侵入はしていないみたいね。
まあ、していたとしても貴女の使い魔が悉く
攻撃を仕掛けるから、撤退をせざるを得ないでしょうけど。」
「さすがに侵入してきたのがアーチャーだったら、
正直きっついけど。
アサシン程度なら、どうにかなる。
……まあ、彼は騎士だから予定の時間になる前に
森林地帯に赴いてトラップとかそういうのを
仕掛けるような手は使わないけど。」
「何か気がかりなことでもあるんですか?」
「……聖杯戦争の真実をもし知らされたとしたら、
森林地帯での戦いの際に何かしらの
支障をきたす可能性があるということだ。」
「アサシン陣営の足を引っ張るということ?」
「ダニエル自身はその真実を知ったとしても、
割り切れると見ていいだろう。
アサシンに自害を令呪で強要することにも
一切の躊躇いを見せない。」
「彼にとって魔術もサーヴァントも目的を達成するための手段、
あるいは道具としかみなしていないから、ということね。」
「アサシンはそれに対してどう思っているかは知らないけど、
アーチャーの場合はマスターである遠坂久遠との間に
軋轢が生じるかもしれないし。どうなるかはわからないよ。
アーチャー自身が私情を抜きにして割り切れるのなら、
問題にはならない。」
「……ただ、心の何処かで気にかけてしまっているのなら。
それがネックになって戦闘に
支障をきたすということになるかもしれないってことなんですね。」
「そもそも、遠坂は弓を扱う数多の英霊の中でどうして
トリスタン卿を選んだのかしら?」
「理由は単純だと思うけどね。
高名な英霊であればその逸話は広く知られている。
アーサー王の逸話がそれだ。」
「遠坂の人達って肝心なところで詰めが甘くなるんでしょう?
だとしたら、過去に参加した際にドジって
真名を知られたんじゃないかしら。」
ジャンヌの言葉に満月とローゼスフィールは深い息を吐いた。
「……それはありえそうで怖いですよね……。」
「高名な英霊を召喚して、
自分のうっかりミスで真名を知られることに
なったらそれは確かに大変だねぇ……。」
深雪と和火の言葉に首肯した満月は頭部に手を伸ばした。
「ま、ここで駄弁っていても仕方がない。
時間になっても森林地帯に来ないのであれば、
他に用意したプランに変更するだけだから。
……ひとまずは帰るか。」
「伯父さん達も、もう戻っているでしょうか?」
「……苦戦しているんじゃないかなぁ、
資料探し。あの面子だし。」
「……草摩先生が1番危なさそうだね。」
「………藍堂さんが物を片付けるのが苦手と言っていたぐらいですし。」
「随分とボロクソに言われているのね、草摩先生って。」
「性格的に問題はなくても、整理整頓ができないとなると
女子としてもドン引きをしちゃうものね。」
口元に手をあててうふふ、と笑うジャンヌに
ローゼスフィールは頭が痛くなるのを感じた。








                                                                                                     続く。

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追記より美琴にお返事。
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