いよいよ試験の日が来た
私はいつもより早く起き準備に取りかかった

仕事先に向かう翔からメールが入った

「落ち着いて、落ち着いてやれば綾なら大丈夫」
「うん、頑張るからね」

そうメールした後、私は地球儀に挨拶して
キャンディーを口に放り投げ受験先に向かった

心臓は壊れんばかりに波打っていた

このままのペースで行けば間に合う距離



今日の私には見てはいけないものを見てしまった


子猫が段ボールにいるじゃあないか
しかも仔猫の脇腹には細い棒が刺さってるじゃあないか

人混みの中
振り向いては素通りする人々

きっと誰かが助けてくれるよね

そう思って私も通りすぎた

だけど五歩進んで私は仔猫の所へ戻った

駄目だ、試験に間に合わなくなる

でもほっといたら確実に死にそうに見えた


んーー!!!
だぁっ!!

私は心の中で叫んで段ボールごと人づてに聞いた動物病院に連れていった

手術が始まった

私は時計を見て

終わったと感じた

変な気が抜けた気分だった

手術は無事成功した

のら猫と云うことで
手術代は免除になった

先生が聞いてきた

「これからこの子の宛はあるの?」

「い、いいえ」

「困ったねえ」

「私が飼い主になります!」

ホントにとっさだった
何も考えてなかった

ただ

見離すわけにはいかないと思った
それだけだった

先生は良い人で、

「おい、仔猫さん、良かったな、入院費はいらないから、お姉さん、この子を頼むな
二日も入れば退院出来るから」

そう言った

昼休みの翔から電話が入った
「試験どうだった?」
「ごめん、」
そして今日の出来事を伝えた

翔は笑いながら

「綾らしいや、また半年後に試験があるから、その時頑張ろうか!猫可愛いか?」

「うん、まだまた小さくて可愛いよ」

「そか、俺明後日仕事休みだから一緒に迎えに行こう」
「うん」

そういって電話を切った

後はママに何と言うかだった