この小説は擬人化であり、18禁表現を含みます。閲覧は自己責任にて、お願いします。






「なぁ、雪」

「何だよ、雨」

「そろそろさ、いいんじゃね?」

「何が?」

「あ〜・・・なんつうの?次のステップに進んでもさ〜」

「次のステップって?」

雨の言ってる事が理解、出来なくて、小首を傾げるオレに、雨は、ガシガシと頭を掻いた。

その様子を、髪、傷めそうだな〜、なんて、ぼんやりと眺める。

ふと、抜けた毛が目に入って、取ろうと、雨の肩に手を伸ばすと、がつり、手首を掴まれた。

「痛い、雨」

「雪が警戒心、無さ過ぎるから」

「言ってる意味が、わからないよ」

「無自覚なのが、たち悪いよな」

はぁ・・・と溜息をつかれ、むっとする。

「雨、おかしいよ」

いつも以上に、という言葉は抑えて、オレは、雨に言い返した。

「なぁ、前に俺が雪に言った言葉、覚えてる?」

雨は複雑そうな表情をしながら問い掛けてくるけれど。

「もちろん、覚えてるよ」

オレも負けじと答えてやる。

雨が2ヶ月前に『付き合って欲しい』と言ったから、オレは、こうして、雨が誘う度に付き合ってあげてるっていうのに。

毎回、大した用事もなさそうなのに付き合ってるオレは律儀だと、自分で思う。

「俺の気持ち、わかってるよな?」

「わかってるよ」

雨が淋しがり屋なのは、良く、わかってる。

じゃなきゃ、こんなふうに、毎回、毎回、ただ喋ったりする為に、オレを誘わないと思う。

雨はしょうがない奴だ。

「雪は無防備過ぎだろ」

雨が真顔で、ぺたり、オレの胸に掌で触れる。

「雨、オレ、胸ないよ」

「んな事は、わかってるよ」

「触っても気持ち良くないよ?」

「だぁ!もう黙ってろ」

途端に不機嫌になって、声を荒げた雨が、ぺたり、ぺたり、とオレの体を確かめるように触れていく。

「何?」

「・・・・・」

ついには返事すら返してもらえず、とりあえず、雨の好きなようにさせておく事にした。

胸から、お腹を過ぎて、太ももへ。

そこまで行くと、太ももから、上へ上ってきた。

胸を通り過ぎて、首へ。

首から頬へ。

雨の掌が、頬で、ぴたり、と、止まる。

あ、と思った時には、雨の顔が目の前にあって。

気付けば、雨とオレの唇が触れ合っていた。

ちゅ、と、軽い音をさせながら、すぐに離れたそこに熱が残っている気がして、パチリ、パチリ、瞬きを繰り返してみる。

雨は俯いてしまっていて、表情が見えなくて。

雨とキスをした戸惑いよりも、雨の顔が見たい気持ちの方が大きくて、雨を、じっと見つめてみた。

オレ、何か変だ。

雨とキスした途端に、今さっき、雨に触られた部分が熱を持っているように熱くなるなんて。

「ねぇ、雨」

「・・・何だよ」

少しの間があったものの、今度は答えてくれた雨に安堵と嬉しさを感じながら、オレは今、感じている事を口にした。

「何か身体が熱い感じする・・・」

オレが、言葉を言い終わるか終わらないかの内に、ばっと顔を上げた雨は。

「雪、意味、わかってる?」

妙に掠れた声で問い掛けてきた。

「雨、オレ、おかしいのかな?」

「どうして?」

「雨に、もっと触って欲しくなった」

がばり、苦しい程に、雨がオレを抱きしめる。

「・・・なぁ、ヤじゃねぇの?」

「嫌じゃないよ」

嫌なんかじゃない。

だから、早く、この熱を何とかして欲しいのに。

そんな気持ちが伝わるように、動かしにくい腕を、怖ず怖ずと雨の背中に回してみる。

すると、雨は更に、ぎゅうぎゅうと、腕に力を込めてきた。

まるで、オレを雨の中に閉じ込めるみたいに。

「あ、めっ。くるっしっ」

流石に耐え切れなくなって、そう口から零すと。

「シテ良い?」

さっきよりも力を緩めた雨が、オレの耳元で声を落とす。

「何を?」

オレの疑問に、雨は耳元で、ふと笑みを零すと。

「気持ち良い事」

そのまま、とさり、オレの身体が床に倒れて。

「雨?」

あまり見た事が無い、真剣な表情の雨に、少なからず、恐怖にも似た感情が芽生える。

「雪は、ただ、受け入れてくれるだけで良いから」

懇願するように、縋るように、オレの顔の横に手を付いて見下ろしてくる雨。

そんな雨を拒否するなんて出来なくて。

「うん」

雨の腕に手を添えながら頷いた。

雨は、顔を近付けて、今度は深いキスを落とすと、そのまま、首から順に舌を這わせて。

下へ、下へ。

時折、舐めるのを途切れさせては、口へのキスを繰り返していく。

気が付いた時には、もう、2人とも裸になっていて。

雨は舐めるのを止めると、オレを見下ろしながら、お尻に指を這わした。

「んぅ」

お尻の中心に指先が当たり、思わず、声が漏れたオレに雨は囁くようにして。

「痛くないようにするから、ちょっとだけ我慢して」

そう言うと、顔を少し、歪めさせる。

「な、に・・・?」

そんな雨に、不安になって、問い掛けたオレに雨は。

「大丈夫だから」

さらり、オレの髪を撫でた。

雨の声が、ぼんやり聞こえている状態で動けずにいると、お尻の中に、雨の指が入ってくる感覚がして。

「っ、あ、めぇ」

思わず、怖くなって、雨に縋り付いた。

「痛い?」

「くるっしいっ」

「辛かったら噛んで良いから」

そう言って、雨は、自分の手をオレの口元に当てる。

雨に言われたまま、オレが手を銜えたタイミングで、雨のお尻に入れていた指が増やされた感覚がした。

「気持ち良い?雪」

「わか、んなっ」

「ココは?」

「んあっ!」

雪が刺激したソコがビリリと、電流が走ったかのように感じて、オレの声が無意識に高く響く。

そんなオレに、雨は満足そうに笑みを浮かべると。

「ココが良いんだ」

そう言って、その行為を繰り返す。

「ぅあっ!あっ、あっ」

同じところを何度も摩られて、声を耐える事が出来ない。

「どう?雪」

「んぅっ、もっ・・・やっ、あぁ!」

刺激の強さで、身体が、どうにかなってしまいそうな感覚に、どうして良いか、わからなくて、雨に懇願するように縋り付く。

「雨、可愛い」

オレの願いが届いたのか、ようやく指を抜いてくれた雨に、乱れた呼吸を整えるかのように、ほっと、息を吐いた。

口元にあった雨の手がオレの頬に触れて。

「雪、好き」

「え、ぅああ!」

雨から、思わぬ告白をされたかと思うと、押し広げるような強い圧迫感を中で感じて、ぐっと背中が、のけ反った。

「雪、きっつい」

「んああっ!」

「でも、すごい良い」

「あ、めぇ、やぁぁ!」

雨の動きを受けるだけで精一杯で、雨に必死にしがみついて、声を上げるしか出来なくて。

自分が、今、どんな姿なのか、とか、何処にいるのかすら、わからなくなって。

ただ、雨だけがオレの中に存在していて、ドロドロに溶かされているようだった。

「なぁっ、雪っ。俺達、今、一つになってるの、わかるっ?」

「う、んっ、あっ!」

「このまま、離れなきゃいいのにっ」

「ん、あぁっ!」

雨の声が耳を通り、オレの中で響く。

「ゆ、きっ、もっ!」

「んっ、ぅんっ!」

雨に、ぎゅっと抱きしめられ、お尻の奥から中へ入ってくる熱いものを感じながら。

「雪、好き」

「んぅ」

オレは、このまま、雪と一つになれれば良いのに、と、強く願った。