*学パロ
*幸村が女の子
*三成が残念
*半兵衛が残念
*秀吉と慶次が被害者
「これが恋か!」
その日の幸村は元気がなかった。
敬愛する武田先生に会っても抱きつかず、慶次に恋バナを聞かされても破廉恥と叫ばず、佐助の手作りの重箱弁当を半分しか手を付けず、政宗との掃除の時間の日課である決闘をしない程に。
「旦那、なんかあったの?元気なさすぎだよ」
「幸村よ、誰かに何かされたのか?我に話してみよ。」
「Hey!とりあえず団子やるから元気だせよ、あんたらしくねぇぜ」
そんな幸村を見て、幸村の過保護な保護者達による保護者会が始まった。
「えー、とりあえず旦那は親ちゃんと慶ちゃん達に任せて、始めよっか」
そう告げた佐助の目は笑っていなかった。
「そうだな。まず誰を血祭りにすればよいのだ?」
そう告げた元就の目は本気だった。
「ha!それなら見当はついてるぜ!石田とかいうアーモンド頭だ」
そう告げた政宗は獲物を狙う肉食獣の目をしていた。
「前田の話によるとそのアーモンドが何かしたらしいが」
元就の目がさらに細まる。
「「旦那(幸村)の短パンを脱がそうとした」」
佐助と政宗の言葉に元就は固まった。
なん、だと?
どこの馬の骨ともしれぬアーモンドが幸村の短パンを脱がそうとし、あまつさえ、あまつさえ
「年頃の女子の下着を見ようとするとは何事だ!」
ガタン!と元就は立ち上がると佐助と政宗に付いて来いと顎で合図した。
「あああああ、どうしよう。どうしよう秀吉!三成君がついに道を踏み外してしまったよ!これも僕の教育が悪かったせいだ!本当は女子に短パンを脱げとか太ももとか太も
もとか太ももとかいう子じゃないはずなのにぃぃ!」
「半兵衛、少し落ちつけ」
「これが落ち着いていられるかい!僕達の子供が軽犯罪者予備軍になりかけているんだよ!?下手したら警察沙汰になってカツ丼だよカツ丼!そして始まる家庭崩壊だよ!さよなら幸せな家庭!!僕はいつまでも君を愛しているよ秀吉!」
半兵衛、昼ドラの見すぎだ。そもそも我はお前と結婚した記憶はないし、一つ年下の息子とかそんな凄いことした覚えもない。だから少し落ち着いてくれ、頼むから。
と秀吉は口に出す事は出来なかった。
何故なら突如吹っ飛んできた教室の扉が後頭部を直撃して気を失ったからだ。
「なっ!?秀吉!?秀吉ぃ!そんな!まだ家のローンが35年も残っているのに!僕達を残して一人で行くなんて!」
うわぁぁ!と気絶した秀吉にすがり付き、泣き叫ぶ半兵衛を軽く素通りして元就・佐助・政宗は三成の前に仁王立ちした。
「貴様が、石田か?なるほど確かに凄まじいアーモンド頭だな」
「ねぇ、なんか竹中さんヤバくない?酒入ってるのかな?」
「一昨日、小十郎が牡丹と薔薇貸したらしいぜ」
三成は突然の来訪者に首を傾げた。誰一人として知らない。何故自分は凄い形相で睨まれているのだろう。
「何の用だ」
そう口にした途端、三人の中で一番小柄で目付きがヤバい男がアイアンクローをかましてきた。
「惚けるなよアーモンド。貴様が幸村の下着を脱げと脅した事はすでにわかっているのぞ」
「なんか飛躍してない?短パンだよ短パン!」
「oh!アイアンクローかよ!元就なら泣いて喜ぶ仕打ちだな」
下着。短パン。脱がす。
「そうか、あの太もも女子は幸村と言うのか」
元就のアイアンクローを喰らいながら三成は不敵に笑った。
その笑いが元就の怒りを更に買う事になり、三成の頭からミシミシと嫌な音がし出した。
そんな三成と元就の間に割り込んできた半兵衛は涙を流しながら叫んだ。
「止めてくれ元就君!今は少しおかしくなってるけど三成君は本当はいい子なんだ!彼をこれ以上傷つけるなら代わりに僕を傷つけてくれ!三成君は僕の大切な息子なんだ!」
ああ、こいつは予想以上にドラマに毒されているようだ。
三成とは違う意味での危険を感じた三人は
「今日のところは半兵衛に免じて、これくらいにしておいてやろう」
「い、命拾いしたね!」
「せ、折角拾った命だ、大事にしな」
そして三人が去った教室には未だに気絶している秀吉と未だに三文芝居を続ける半兵衛、そして赤く染まった空を見上げながら
「幸村、か」
と呟く三成の姿があった。
『貴女の事を思い出すと胸が痛くなるの』
(進学科の奴等は変態しかおらぬのか!?)
(親ちゃんの首絞めながら怒るのやめなよ。チアノーゼになってんじゃん)
(でも元親の奴、どことなく幸せそうな顔だよな)
(・・・・なんだかんだで普通科も変態ばっかだよね)
*三→幸+就+佐+政+親+慶