話題:読書記録。

×シリーズ第2弾。
普段、電車で通勤しているから背筋がゾクゾクした。各章の冒頭文がジキルとハイドなのも人間の多面性、凶暴性、複雑さを表しているのかも…?

まずこのシリーズには天才がいない。
更に推理小説にはお決まりの謎解きがない。かわりに犯人の異常性、狂気が仄かに薫りたつ。今までのシリーズとは少し違う。
でも個人的には、ミステリーを読みたいわけでも、天才が見てみたいわけでもなく、森博嗣の文章を読みたいだけなので全く不満はない。本の善し悪しは、本の内容ではなく、読者側の問題なのかもしれない。期待外れが悪い本のレッテル。


さて、内容は犯人や事件のことよりも、会話に現れる問題提示の方に目が奪われてしまう。例えば、自ら精神科にかかっている人間は正常だということ、つまりは自分の異常さを自覚できている人が治ろうという意思のもと行動しているうちは全く普通の状態だということ。他にも、少しありきたりではあるかもしれないけど、世間の普通という人格の人の方が変わっているということ。
満員電車の異常性とか恐怖の鈍化とか、読んでいてはっとさせられる。そのくらい、普段なにも疑問を持っていないということ。鈍感になっているという事実。
それが悪いとは言わないけれど、勿体無いとは感じた。

森博嗣さんの作品は、考えるきっかけを沢山与えてくれる刺激の多い読み物。