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キミの嫌いなところ。(平助)






例えば俺のどこが好き?って聞かれれば、多分顔を紅くして吃りながらも答えられると思う。好きになれば、他人からすればどうってことない何気ないとこだってすごく好きだなって思えるし幸せだと思う。
なのに今私の前で眉間にシワを寄せて真剣な顔で見てくるこいつは正反対のことを聞いてくるもんだから、返答に困っている。


「なぁ、早く言えよ」

「あのね、いきなり俺のどこが嫌い?って聞かれてすぐに答えられるわけないでしょ」

「なんかあるだろ!背が低いとか!」

「別に平助の身長なんてどうでもいいよ」

「よくねぇよ!気にしてんだよ!身長のこと言うなよ!」

「めんどくさっ!」



自分で身長ネタ突っ込んできたくせに逆ギレなんて、今日の平助は一体どうしたんだろう。いきなり嫌いなとこどこかって聞いてくるもんだから、思わず飲んでいたスタバのコーヒーを噴き出すところだった。今日はリッチにカフェラテのトールサイズを買ったんだから噴き出すなんて勿体無いことはできない。


「いきなりどうしたの平助。今日なんか変だよ?」

「・・別に」


むすっとして逸らす平助の横顔が、子犬みたいで可愛い。なんて本人に言ったらまた怒られそうだから言えないけど。
だいたい平助は、俺は男だ!とか言って可愛いと言われるのをすごく嫌がる。身長のことだって、周りの人達がでかいせいかすごく気にしてるし。まぁ、左之さんや新八さんがでかいから余計気にするんだろうけど。

まったく。平助はなんもわかってない。



「・・そうだね。嫌いなところね。しいて言えばそういうところかな。」

「は?」

「そうやってわざわざマイナスなことを考えるところ」



身長とか男らしさとか、自分が気にしてるからって他人も同じように思ってるとは限らないのに。
例えば


「平助が嫌いなその身長。私は好きだよ」

「ぶっ・・!!」


あーあ。トールサイズのキャラメルフラペチーノ噴き出しちゃって勿体無い。
ていうかキャラメルフラペチーノって可愛いな。


「可愛いって言われたくないのはわかるけど、私はそうやって男らしくいようと必死になってる平助が可愛くて好きだよ」

「・・〜っ!!」

「そうやって照れてるとこも」

「う、うるせぇよ!もういいから!それ以上言うな馬鹿っ!!」

「自分で聞いたくせに」

「うるせぇってば!」



我ながら中々恥ずかしいことを言ったと思う。いつもだったら恥ずかしくて穴があったら入りたくなるけど、今は平助が茹でタコみたいに顔を真っ赤にさせて照れているから気にならない。
必死に火照った体を冷やそうとしてるのか、キャラメルフラペチーノを一気に流し込んでいる。そんな姿までもが可愛いと思えてしまう私は重症かもしれない。


「おっ、俺はお前の嫌いなとこなんて、その・・ねぇからな!!」

「ふふ、ありがと」

「〜っ!!もううるせぇ!!」

「自分で言っといて何なの」

「もう帰るぞ!」


そう言って飲みかけのキャラメルフラペチーノの片手に歩き出す平助を追いかけて手をとってみる。
ビクッと体を揺らした平助は、すぐにまた顔を紅くした後で、ぎゅっとキツく握り返してきた。




私より少しだけ歩幅の大きい平助が、今日は少しだけ歩幅を小さくしてゆっくりと歩いていたのは気のせいなんかじゃないはず。









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