本日の予定は未定

学校のテストって名前んとこ埋めちまったらもう書くことねぇし暇なんだよなぁ。だから空欄全部食べ物の名前書いて提出したら先生から呼び出しくらった！色々とがみがみ言われた気ィするけど職員室にいたエッチなお姉さんのことばっか見てたから覚えてねぇな！あの人チェンソーマン好きかな？

本来の目的を見失いそうになるほど、日々が慌ただしく過ぎて行く。煙草を吸う僅かな時でさえあの日、銃の悪魔に全てを奪い去られた事への憎しみを忘れずにいたってのに近頃は煙草を咥えて思考する内容といったら夕飯のメニューだったり彼奴らの喜ぶ顔だったり、平和ボケして来てやがる。だからもう煙草はゴミ箱に棄てた。姫野先輩……今だったら貴女がデビル ハンターっていう仕事から俺を遠ざけようとしていた理由がなんとなく分かる気がしているんです。

もっとこの世界で色々なことを知って学んで欲しいし、美味いもんを食べたりこんな狭い所に留まらず好きな場所へ行って好きな事をして欲しい。────自分の為だけに生きて欲しいと願わずにはいられないんだ。……俺はやっぱりデンジとパワーには死んで欲しくない。普通に生きてる奴等が当たり前に享受できる幸福を彼奴らの空っぽの掌にも握らせてやれたらどんなにいいか。「早川家」って呼ばれ方も、実を言うと結構気に入ってた。血は繋がって無くても俺が勝手に保護者を気取ってこれからもあの問題児二人の面倒見ていくし、護ってやりたい。

僕が生きていて幸福を感じられる時間はアイスを食べている時だけれど食べるのだって体力を使うから疲れちゃう……はあ。デビルハンターなんか辞めて田舎に戻りたいなぁ。都会のアイスは種類が豊富で美味しいよ？でも仕事仕事って毎日急かされてゆっくり味わって食べさせて貰えないんだ。

こんな仕事を続けている限り五体満足でいれるデビルハンターなんてのはほんの一握り。特異４課を除けばみんな生身の人間なんだし当然ではあるんだけどさ。生憎僕は悪魔だからね。近い未来、体の一部を失うことになったとしても血さえ与えられれば簡単に再生出来る。
───ま、その事を公安の人間に明かすつもりはないよ。手足を失くした役立たずな悪魔が廃棄される運命を辿るんだとしても。無作為に人間から寿命を吸い取ってその寿命から生成された武器を振るう度に毎晩夢に魘される陰鬱な日々に未練は無いから。
生きてると考えなきゃいけないことが多くて疲れちゃうね。君はどう？

公安の対魔特異4課に所属
「天使の悪魔」

僕が何者なのか説明するまでもなくこの純白の翼と頭の上の黄金の輪っかを見て貰えたら一目瞭然かな。まぁ、想像の通り俗に言う天使ってヤツ。自分の手で触れてこれがハリボテじゃないかを確かめてみたいって気持ちになるのも分かるけど、それって自分の寿命を削ってでも確認したいことなの？そうやって問うと、誰だって手を引っ込める。言い忘れてたけど僕は天使である前に悪魔でもあるからね。人間にとって善でもあれば悪にもなり得る。別に無理矢理素手で人に触れて残りの寿命全部を吸い取ったりなんかはしないけれど人間は苦しんで死ぬべきだという悪魔の思考も持ち合わせてるんだ。僕を知らない子への忠告はしたつもりだよ。それを踏まえた上でまだこんな天使サマと仲良くしたい人間がいたのならソイツは僕よりずっと摩訶不思議な生き物に見えるね。