「もう、殺して。」
薬の飲みすぎで、頭の働いていないmi2が私に言う。
仕方なしに、mi2に馬乗りになって首に手をかける。
少しずつ、話しかけながら、ギリギリと力を込めていくと、mi2の顔がなんとも形容しがたい色に変わってゆく。
ゴポっとmi2が泡を吹き始めた時に、「嗚呼、この子は本当に、生きていることに疲れてしまったんだ」と、改めて認識すると、酷く息苦しくなってきて、涙が止まらなくなった。
その瞬間、mi2が暴れだして私を押し退けた。
苦しかったのか、泡と涙と鼻水を垂れ流しながらヒクついている。
(ごめんね。殺してあげられなかった。)
そう思いながらmi2の体液を拭き取っていると、掠れた声で何度も「ごめんね…」と呟くから、生きたいのか死にたいのか聞いてみる。
mi2は、“どちらでもない”と。
それを聞いた私は「生きることも死ぬことも止めた肉の塊には、興味がないので消える」と伝えてmi2から少し離れた。
生きることも死ぬことも止めて、自らが自らで在ろうとする意志のない、ただの肉の塊に、私は時間を費やすつもりはないから。
そうしたら、mi2が私の手を弱々しく掴みながら「行かないで…俺、ちゃんと死ぬから…」と声にならない声で必死に訴えるから、「約束、守ってね」と一言だけ放った。
mi2は意味を理解したように私を押し倒して、首を絞め始めた。
なんだか、無性に悲しくて嬉しくて、涙と笑顔が止まらなくて、たしか「悲しいね…パブリックトイのまま…死ぬね…」と潰された気管から必死にmi2に話しかけていた。
意識が薄れかけて、もうなにも話せなくなって、(嗚呼、終わりかなぁ)なんてことがよぎった時に、脳に酸素が送られる。
ボヤっとした視界からmi2がいなくなると、泣きながら包丁を持ったmi2が再び現れる。
うちの包丁はよく切れる。
その姿を見た瞬間に「死なせたくない」「もう、これ以上、私なんかのために死なないでほしい」その一心で包 丁を奪い取っていた。
刃の部分を握ってしまったから、ずいぶん、出血してしまったように思う。
それでもなお、mi2は私から包丁を奪還しようとするので、「それなら、私が先に」と、手首に刃を当てる。
以前、mi2が私を止めてくれたときと同じように。
それを見たmi2が「もう止めて、soraは死なないで」と、泣き出したので、包丁を置いてmi2が泣き止むまで抱き締めた。
包丁を戻しにキッチンへ行くと、mi2がついてきた。
足を震わせながら立っている。
とりあえず、包丁はシンクに置いてmi2を自室に連れて行き、布団で寝かし付けた。
ODで意識が朦朧としていたので、すぐに眠りについてくれました。
そんな、今日の出来事。
≠
話題:自殺