話題:小説の更新

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 非暴力不服従をガンジーばりに貫いている間に、衆人環視の中、どんどん時間だけが経っていく。

 早く痺れを切らせば良いのに。作戦行動で待ち伏せにも慣れている彼には、我慢比べも苦ではない。そのはずであった。

 しかし、

「分かっているかい?……仲間がどうなるかは君次第だってことを……」

小さく、怪しく栗色の髪が笑う。

 そうであった。自分で仮定した最悪の状況。

「まさか……私の他に誰か、本当に……」

―部下も?

 それは孤高と評される彼が、数少ない仲間と呼べるような。

 思わず動揺を見せ、口に出してしまった。

「ふふふ。……お答えできないね。それも含めて、こちらの指示に従って貰えないと」

 一瞬、様々な感情が交錯するが、覚悟を決める。

―自分が辱めを受ければ、それで済むのなら……。

 不器用な彼が唯一他人に示せる優しさはこういう形だけだ。

 手首の縄が解かれる。うっすらと赤い跡が残っているのを横目にぼんやりと見た。

 薄ら笑いに腹が立つ。

―くっ……

 横になったまま、目を閉じ、努めて何も感じていないことを装って、……平然と、彼は自身に手をかけた。
 痛いくらいに好奇の視線が注がれる。