話題:小説の更新
指は遠慮なしに分け入り、硬く細い棒状の物を突き立てた。
何、かは分からない。人の肉ではないことと、裂ける程でないことは救いだが。
樹脂製か何かなのか。手の動きしか見えない。それを無遠慮に差し込んでくる。
どうにでもなればいいのだ。
この時、微かな諦めが脳裏をかすめた。
天賦の才を与えられているとよく評される彼だけれども、実は、誰にも負けない程の努力の人だった。素養があるから努力が身に付くと言われれば、そうなのかもしれないのだが。
しかし、彼が常にしてきた忍耐も努力も、まだ花咲き実るには至っていない。残念ながら。けれども、単に「まだ」その時が来ないだけで、やれるし、やらねばならないと思い続けてきた。そうすれば、いつか時は、必ず到来する。そう信じていた。
だが、実際はどうだろう。より若い者など確実に数多く