部下の(中略)コラボでのお話です。
ふとこういう風邪ネタをやってみたくて…←おい
いつもはルカのが年上に見える分、ちゃんと年上なヒムラーさんを書いてみたくて…←
*attention*
部下の(中略)コラボのお話です
ほのぼの?なお話です
風邪ひきルカを看病しようとするヒムラーさんを書きたくて…←
普段は年齢というか立場が逆な感じの二人なのでこういう話をば(笑)
ルカも一応時々は年相応に子供っぽいのだと思います
優しく手を握ってあげるのって素敵だな、と思いまして…←
相変わらずの妄想クオリティ
ナハトさん、本当にすみませんでした…!
以上がOKという方は追記からどうぞ!
ある夏の日の静かな部屋。
そこに響くのは、少し荒い呼吸。
ベッドに横になっている黒髪に紅色の瞳の少年は、
軽く自分の額に触れて、溜め息を吐き出した。
その溜め息は途中から咳に変わる。
現在彼……ルカは風邪ひき。
滅多なことでは風邪を引かない、身体の強い彼だけれど、それでも普通の人間。
風邪を引くことくらいある。
ついでに言うのであれば、普段滅多に寝込まない分、一度寝込んでしまうと拗らせるのが彼。
よって現在、身動きをとることさえままならないような状況になっていたのだった。
ルカは小さく息を吐き出して、ベッドの上で寝返りをうつ。
とりあえずおとなしく寝ておけとジェイドに言われて寝ているが、
ずっとそうして寝ていることしか出来ないわけだから正直寝ているのにも飽きた。
飽きたというかそれ以上……
関節が痛くて眠るに眠れない。
身体が怠い。
寝たいけど眠れない。
そう思いつつ彼が何度目になるかわからない溜め息を吐き出した、
―― その時。
そっと、部屋のドアが開いた。
そこからひょこりと覗いたのは赤紫の髪の少年。
そろそろと部屋に入ってきた青い瞳の彼……――
彼はベッドに寝ているルカと目が合うと大きく目を見開いて、弱い声で彼の名を呼んだ。
「ルカさん……?」
「ん……ハインリヒ、か」
訪ねてきたのはルカの相棒であるヒムラー。
彼はルカの弱い声を聞いてゆっくりと頷くと、心配そうな顔をして首を傾げた。
「えぇ。大丈夫、ですか?
風邪ひいたって聞いたので……」
彼の言葉を聞いて、ルカは少し体を起こそうとする。
ヒムラーはそれを慌てて止めた。
ルカは彼を見て小さく苦笑を零しつつ、言う。
「ん……大丈夫だよ、ハインリヒ」
平気だから、といったルカを見て、ヒムラーは小さく顔を顰めた。
そしてそっとルカの額に触れる。
小さく息を吐き出した彼は顔を歪めて、言った。
「でも、熱高いですね……薬は飲みましたか?」
大丈夫という彼だが、熱が高い。
吐き出す呼吸も速いし、自分を見つめる紅色の瞳も虚ろだ。
あまり大丈夫そうには見えないのですけれど、というヒムラー。
ルカは視線を彷徨わせた後、小さく呟くように言った。
「……飲ん……で、ない」
彼の言葉を聞いて、ヒムラーは大きく目を見開いた。
そして説教モードの声色になってルカにいう。
「飲まなきゃダメじゃあないですか……治らないですよ?」
そういいながらヒムラーは彼のベッドの近くに視線を向ける。
見れば、サイドテーブルに水の入ったカップと薬包紙。
確かにそれの中には粉薬が入っているように見えた。
彼は言葉通り、薬を飲んでいないのだろう。
顔を顰めるヒムラーを見て苦笑すると、ルカは言った。
「……治る、と思う」
飲まなくても、というルカ。
ヒムラーはそんな彼に首を振ると、小さく溜め息を吐き出して、
水の入ったグラスと薬包紙を手に取った。
そしてそのまま彼にそれを差し出す。
そのままじっとルカを見つめ、きっぱりと言った。
「治りません。おとなしく薬を飲んでください」
「……そういうところは科学的なんだな、ハインリヒ……
いつもは占いだのまじないだのって……」
ルカは話をはぐらかそうとする。
普段彼は正直科学的とはいいがたいことを口にしているから、と……
しかしヒムラーはそれにもはぐらかされず、顔を顰めると、
むくれたようにやや強引にルカにグラスと薬包紙を握らせた。
「それとこれとは話が別です!ほら、早く飲んで……」
ルカはそれを渋々受け取ったが、飲もうとはしない。
顔を顰めたまま彼に言った。
「……苦いから、嫌なんだよ……」
「薬は、どれも苦いものです。良薬口に苦しという奴です!
もう、子供じゃないんですから……」
ちゃんと飲んでくださいよ、といってヒムラーは困り顔だ。
そんな彼を見ると、これ以上我儘を言って困らせるのもな、と思う。
ルカはそんな彼を見て小さく息を吐き出すと、諦めたように水を口に含み、薬を流し込んだ。
あまりの苦さに吐き出しそうになりつつ、どうにかそれを飲み込む。
「ん、ぐ……、苦……」
顔を歪めるルカ。
それを見て微笑むと、ヒムラーは優しく彼の頭を撫でてやる。
「ちゃんと飲めて偉いですねルカさん」
子供を宥めるようにそういうヒムラー。
ルカは恨めしげな顔をして彼を見た。
「っ、子ども扱いすんじゃねぇよ、ハインリヒ……」
「子ども扱い、って……
僕の方がルカさんより年上だってわかってます?」
ヒムラーは苦笑しつつそういう。
ルカは"そういやそうだったな"なんて言っているから、おそらく……忘れかけていたのだろう。
ヒムラーは彼の反応に少しむくれたような顔をした。
「なんか悔しいですねぇ……」
「悪い悪い、怒るなよハインリヒ……」
はぁああ、と溜め息を吐き出しながらルカはベッドに倒れこんだ。
おとなしく寝る体勢をとった彼を見て、ヒムラーは苦笑する。
そしてそのまま優しく彼の額を撫でた。
「少し休んだら、良くなると思いますから」
「うん……」
そう答えるルカの声はやはり弱い。
体力を消耗しているのだろう。
おとなしく寝れば良いのだが、彼はやはり寝付けないようで、幾度も寝返りをうっていた。
そんな彼を見て、ヒムラーは心配そうな顔をしつつ、彼に問う。
「何か、してほしいこととか、ありませんか?
僕に出来る範囲のことしか、できませんが……」
ヒムラーがそういうとルカはヒムラーの方へ視線を向ける。
そして弱く微笑んで、頷いた。
「……大丈夫」
平気だ、という彼。
特にしてほしいこともないし、大丈夫だ、と。
ルカのその言葉を聞いて"そうですか……"と小さく呟いたヒムラーはふっと溜め息を吐く。
そしてすまなそうにルカに言った。
「ごめんなさい、ルカさん……
僕は医者ではありませんから、何も特別なことは出来ないのですが……
それこそ、おまじないくらいしか」
僕には出来ないんですよね、と苦笑する彼。
自分の昔馴染で侍医であるゲープハルトやこの国の医療部隊長のジェイド。
彼らのように何かしてやれれば良いと思うのだが……
残念ながら、何も出来ない。
そんなことを言うヒムラー。
ルカはそれを聞いて、そっとヒムラーの手を握った。
「はは……それで、十分……強いていうなら……」
そこで一度ルカは言葉を切った。
―― 此処に居てほしい。
ルカはそう思ったが、その言葉を口に出すのは、躊躇った。
確かに傍に居てほしいと思う。
風邪を引いているときの人間というのは酷く弱いもので、何処か心細いのだ。
でも……
傍に置いておいたら風邪をうつしてしまうかもしれない。
それならば、彼は部屋に返した方が良いだろう。
そう思うのだけれど、帰れという言葉も此処に居てほしいという言葉も口からは出ない……――
そんなルカを見て、ヒムラーは小さく笑った。
そして、ぎゅっとルカの手を握ってやる。
「何か、今日のルカさん可愛らしいです」
いつもは明るく頼もしい、下手をしたら自分より年上に見える彼。
しかし、今の彼は何処か弱弱しく、子供っぽく見える。
ルカはそんなヒムラーの言葉を聞いて、少し拗ねたような顔をしつつ、言った。
「……悪かったな、いつもは可愛くなくて」
「そういう意味じゃありませんよ」
そういって笑うと、ヒムラーはそっとルカの額を撫でた。
氷属性魔術使いである彼の手は冷たい。
それが心地よいのかルカは小さく息を洩らして目を閉じた。
彼もまた一応氷属性魔術使いだが、ほぼ魔力がないため体温は普通の人間のそれである。
優しく彼の頭を撫でながら、ヒムラーはふっと微笑んで"お休みなさい"といって、
優しくルカの大きな手を握ってやったのだった。
―― いつもと、今と ――
(いつもより少し弱弱しくて幼く見える僕のパートナー。
いつもより少し熱い貴方の手を今は僕が握っていますから)
(いつもは俺がお前を引っ張っていくんだけれど…
今は、逆?優しく手を握られると、何だかほっとするんだよな)
2014-6-28 21:04