シュタウフェンベルクご兄弟とヘフテンさん、ペルの話です。
メインはベルトルトさんと大佐殿のお話…
こういう兄弟ネタ好きです←
*attention*
シュタウフェンベルクご兄弟とヘフテンさん、ペルの話です(BL注意です)
シリアス&深夜テンションな話です
メインはベルトルトさん×大佐殿だと思う
兄弟と言う位置がもどかしいお兄様
ついこういうことしてから後悔するのって萌えるなと←
ラストでアレクサンダーさんとこういうやり取りしてほしかった
相変わらずの妄想クオリティ
ナハトさん、本当にすみませんでした…!
以上がOKと言うかたは追記からどうぞ!
静かな、ダイニングキッチン。
そこで夕飯の支度をする、黒髪の少年。
火にかけたフライパン。
立ち上る湯気。
それをぼうっと見つめながら、彼……ベルトルトは小さく溜め息を吐き出す。
遠く聞こえるのは、談笑する声。
弟二人と、末弟の副官、そして彼が弟のように可愛がっている少年の声。
それを聞きながらこうして夕食の用意をするのは、久しぶりだった。
好きなはずだった。
嬉しいはずだった。
久しぶりに帰ってきた末弟を、そしてその友人たちを交えての夕食は。
けれど……
その胸に渦巻く感情は複雑なものだった。
***
出来た支度をもって、ベルトルトは部屋に戻る。
既にテーブルについていた彼らににっこりと笑いかけた。
「こんにちは、ヘフテン君、ペルさん」
久しぶりに来ている末弟……クラウスの友人たち。
金髪の少年と長い黒髪の少年はぺこりと会釈をする。
「お邪魔してます」
「久しぶり……」
二人がそう挨拶をすると、自分の場所に座った、ベルトルトの双子の弟であるアレクサンダーが、
手近にいる長い黒髪の少年、ペルの頭をわしゃわしゃと撫でながら、いった。
「ほんと久しぶりだよなー、クラウスもなかなか帰ってこないし」
そういいつつ彼が視線を向けるのは、ベルトルトとアレクサンダーの弟、クラウスの方。
彼はすまなそうな顔をしつつ、兄に答えた。
「すまないな……なかなかゆっくり休みもとれなくて」
彼は、忙しい身だ。
此処に来ている金髪の彼……ヘフテンを副官とし、軍務をこなす騎士。
そんな弟のことを、二人は誇りに思っている。
「仕方ないな」
忙しいのは俺もわかってるし、とアレクサンダーは言う。
ベルトルトもそれに小さく頷きつつ、いった。
「そうだね、でももう少しちゃんと帰ってきてくれたら嬉しいなぁ」
もっと会いたいもの、とベルトルトは言う。
仕事さえなければ彼からクラウスがいる場所に出向きもするが、
ベルトルトはベルトルトで自分の仕事がある。
そうそう、出掛けてばかりもいられない。
彼がそういうと、クラウスは小さく頷いて、答えた。
「わかってる、そうするよ」
そういったクラウスはふと隣に視線を移した。
そして、苦笑混じりに言う。
「ペル、食べこぼしてるぞ……」
そういいつつクラウスは隣にいるペルの口元を拭いてやる。
ペルはそれにおとなしくされるがままになっていた。
「ん……ありがと、シュタウフェンベルク」
「ほんとに大佐、お兄ちゃんみたいですねぇ」
そんな彼らの様子を見て、ヘフテンは小さく笑った。
彼の方を見たクラウスは苦笑を漏らして、手を伸ばす。
そして、ヘフテンの口元も拭った。
「……ヘフテン、お前もだ」
ペルのことを笑えないな、と笑うクラウス。
それを見てヘフテンは照れ笑いをしている。
「ははは、クラウスが一丁前に他人の世話焼いてる」
彼らの様子を見て、アレクサンダーがおかしそうに笑う。
彼にとっては末弟であるクラウスが兄のように振る舞うのが面白かったらしい。
そんな兄の反応にクラウスは少し拗ねた顔をした。
「一丁前にって何だよアレクサンダー兄さん……」
私だってもう子供じゃないんだぞ、と言うクラウス。
それにアレクサンダーが何か返している。
しかしその声は、ベルトルトには聞こえていなかった。
「…………」
胸のなか、渦巻く感情。
それはなんと言葉にしたら良いかわからないものだった。
彼が部下や幼い子(そういっても一つ年下なだけらしいが)に慕われているのが嬉しい。
そう思うのと同時、なんだか悔しくもあった。
ずっと面倒を見てきた弟が、彼らにとられてしまったような気がして。
そんなことを考えていた、そのとき。
「?ベルトルト兄さん、どうかしたか?」
聞こえた声にはっとする。
心配そうな顔をしたクラウスが、見つめていた。
「え?あぁ、ごめん、少しぼうっとしちゃってさ」
そういって、ベルトルトは苦笑する。
彼を見て、アレクサンダーも心配そうにいった。
「体調でも悪いのか?」
ちょっと顔色悪いけど、と彼は言う。
別に体調が悪い訳ではなかったが……ベルトルトは小さく頷いて、席をたった。
「……うん、ちょっとだけ風邪気味なのかな。
先に部屋に戻ってるね」
ごめんね、というと彼は先に部屋に戻る。
自室のドアを閉めると、彼はベッドにごろりと寝転んだ。
「……はぁ」
吐き出した、溜め息。
彼はくしゃりと髪をかき揚げて、呟いた。
「嫌だなぁ……」
それが、何に対する"嫌"なのか、自分でもよくわからなかった。
"こんな感情"を抱いている自分が嫌なのか、はたまた……――
そのとき。
軽いノックの音が響いた。
ベルトルトはそれに体を起こしつつ、返事をする。
「はい」
「兄さん、大丈夫か……?」
そう声をかけつつ部屋に入ってきたのは、クラウスだった。
その姿にベルトルトは目を見開く。
「クラウス……」
「さっき、やっぱり様子おかしかったから……」
心配で、と彼は言う。
どうやら、様子がおかしかった長兄を気にして、見に来てくれたらしい。
ベルトルトは目を伏せる。
そして軽く拳を握った。
彼の様子には気づかず、クラウスは言葉を続ける。
「体調悪いなら、悪くなる前に医者に……――」
最後まで言葉を口に出すより先。
ベルトルトは、反射的に動いていた。
「んっ……」
驚いて目を見開くクラウス。
キスをされているのだと気づくのに、少し時間がかかった。
「ん、ぅ……っふ、ぁ……」
長い長いキス。
驚きとパニックで呼吸の仕方を忘れる。
ベルトルトは彼の口のなかに舌を差し入れ、彼のそれと絡めた。
「んっ……っんんぅう……」
苦しげな声が漏れる。
ベルトルトが解放したときには、クラウスの瞳は涙に潤み、
すっかり呼吸は速くなっていた。
「っは、ぁ……は……ん、兄さ……」
荒い呼吸混じり兄さん、と呼ぶ彼。
それを聞いて、ベルトルトは顔を歪めた。
そのまま、彼の体を自分のベッドに組み敷く。
片腕を失っている彼を押し倒すことなど、造作なかった。
「クラウスが僕を心配してくれるのはどうして?」
弟を見下ろしつつ、彼はそう訊ねる。
その質問に、クラウスはまばたきを繰り返しつつ、答えた。
「え、どうして、って……兄さんは、兄さんだから……」
大事な、家族だから。
そう答えるクラウス。
ベルトルトはそれに目を伏せ、小さく呟いた。
「……そうだよね、ずっと一緒にいたんだもんね」
そう。
自分達は、兄弟で。
ずっと昔から一緒にいて。
……これからも、そのはずで。
「なのに、どうして……」
そう呟くや否や。
ベルトルトはクラウスの服を強引に肌蹴させた。
そんな兄の行動にクラウスは驚きの声をあげる。
しかしそれも無視して、ベルトルトはその肌に顔を埋めた。
「んっ、ぁ」
「……どうしたら……――」
―― クラウスは僕だけのクラウスでいてくれるだろう。
そう呟きつつ、ベルトルトは舌でクラウスの肌を愛撫する。
その感触にクラウスは体を跳ねさせた。
「っひ……に、兄さん、駄目……っ」
駄目だと彼は拒む。
……わかりきった反応だった。
「駄目?そのわりには甘い声出してくれるんだね」
ベルトルトはそういいつつ、微笑む。
しかしその瞳には暗い色が落ちていた。
嫌だと拒む弟に、触れていく。
じゃれて触れた時の反応で大体何処が弱いかは、知っていた。
かつて怪我をして切断した右腕の付け根。
そこを優しく撫でれば、甘い声があがる。
「っや、……」
「大好きだよ、クラウス……」
ベルトルトはそういいつつ、クラウスの胸から腰へ、その下へと手を動かす。
その感触にクラウスはふるふると首を振った。
「んぅっ、ん……っぁ」
彼は甘く喘ぐ。
いけないことだとわかりつつも、体は正直なようだ。
「や、だ……っ、にいさ、……いや、ぁ……っ」
拒む声。
それは、ベルトルトには届かない。
こうして悦楽を刻むことで彼のなかに自分が残るならそれでいいと思った。
与える快楽に彼が溺れて堕ちるなら、それがいいと思った。
「僕だけのクラウスでいて、よ……ねぇ、クラウス……」
悦楽と背徳感。
その間に揺れ、意識さえ虚ろなクラウスに、ベルトルトはそういったのだった……
***
それからどれくらいした頃か。
ベルトルトは自分のベッドにクラウスを寝かせたまま、部屋に座り込んでいた。
乱れた服は直して、布団をしっかりかけてあるが……
クラウスの頬にはありありと、涙の跡が残っていた。
自分が何をしたか。
記憶がないなんて、言えない。
とそのとき。
「……ベルトルト」
聞こえた声に驚いて振り向く。
そこにたっていたのは……
「!アレクサンダー」
双子の片割れ。
彼は険しい顔をして、ベルトルトに歩み寄った。
ベルトルトは彼に訊ねる。
「ヘフテン君とペルさんは?」
「二人ともクラウス待ちながらソファで居眠りしてる……」
お前の様子見に行ってくるって出ていったクラウスを待ってたんだ、と彼は言う。
その言葉にはとげがあって、ベルトルトは目を伏せた。
彼を見つめつつ、アレクサンダーは言う。
「今しないといけないのはその話じゃないだろう、ベルトルト」
「……そうだね」
素直に、ベルトルトは頷く。
そんな彼を見て顔を歪めると、アレクサンダーはいった。
「そうだね、じゃないだろう!
自分が何をしたのかわかってんのか?!」
アレクサンダーは、ドアの外で聞いていた。
……二人の声が、聞こえた。
何をしているか、わかってしまった。
泣き声で嫌だと声をあげる末弟。
それに対する兄の、甘い声。
甘い、嬌声。
まさか部屋に入ろうとは思わなかった。
代わりに思ったのは、末弟を慕う二人が、
それに気づかないようにしてやらなくてはということだった。
帰ってこないクラウスを心配した二人を宥め透かして、
自分が様子を見てくるからここで待てといい、簡単な催眠で眠らせた。
そんな自分の苦労も知らずにいったい何をしているのか。
それがわかっているのかと、アレクサンダーはベルトルトに問う。
「わかってるよ!」
ベルトルトは鋭い声で返答した。
しかしその声はすぐに弱々しいものに変わる。
「わかってる、けど……」
そう呟きつつ、彼は目を伏せた。
そして迷いと後悔の滲む声で、いった。
「僕だって、よくわからないんだ。
ああしてクラウスを慕って、一緒にいてくれる人がいる、
それが嬉しい一方で、悔しくもある……
誰にも、クラウスを渡したくない……」
そんな彼の言葉にアレクサンダーは顔を歪めた。
その心理は……全くわからないものではなかった。
「ベルトルト……」
「……兄弟だから"それ以上"になれないって知ってる。
でも、兄弟じゃなければ良かったとも思えないんだ……」
そう言いながら、ベルトルトは顔を手でおおった。
そのまま呻くように言う。
「傷つけるつもりは、なかった……でも……
どうしようもないんだよ、クラウスが好きなんだ」
もう、何がなんだかわからないよ。
そういいつつ溜め息を吐き出すベルトルトは迷子になった子供のようで……
アレクサンダーはそんな彼を見つめながら、複雑そうな表情を浮かべていたのだた。
―― ボーダー・ライン ――
(それ以上向こうにいってはいけない
知ってる、それが禁忌だってこと)
(でもそのギリギリにしかいられないのが歯痒いんだよ
彼にとって僕は"兄"以上にはなり得ないんだ…)