しまった、寝過ぎた。

急ぎ水分補給をしてからスマホと対面した時に、まず抱いた感想だった。


体調を崩したのが確か1週間前。
そこから3日くらい缶詰め状態で、水分やゼリー飲料を啜りながら薬を飲むだけで精一杯だった。
そして少し体力が回復したからようやっと落ちついて眠る事ができる、と寝床に潜り込んでから、今。
意識がイマイチはっきりとしていなかったのでしっかりと覚えていない。
が、少なくとも3日は眠っていた事が、スマホのカレンダーと示し合わせて知る事ができた。

バイトを休む連絡も入れたかどうか覚えてないという事は、恐らく入れてないのだろう。
軽く血の気が引く音が聞こえた気もしたが、メールやメッセージを確認してもそれらしい題名は無かった。
ひょっとして同僚が察して替わっていてくれたのかも?
次に会ったらお礼とお詫びを兼ねて何かご馳走しなきゃな、とまずは思った。

と同時に、親からのメールが届いていた事にも気が付いた。
体調を崩して休んでいた時にその旨を伝えたら、滋養がある物を取り急ぎ送ってくれるという返事だった。
慌ててドアの郵便受けに飛びつくが、それらしい物も、不在届も入っていなかった。
返事が無いから送りあぐねてしまったのかもしれない。
自分でも意外なほど長く寝て、その結果体調はだいぶ回復したという事を、メールで送信しておいた。

バイト先に電話をしたかったが真夜中で営業時間外だったので、後回しにして。
ほぼ毎日インしていたネットゲームに、とりあえずボーナスだけでも、とログインした。
気持ち久しぶりに見た風景は、やはり1週間程度ではそう大きくは変わっていない。
時間が時間だからフレンドも少ないだろうな、とリストを開いてみたら、やはりログインしているのはまちまちだった。
バイトの同僚なんかは、自分が倒れた丁度1週間程度前から、ログインしていない様子で。
やっぱり替わりに出てもらっているせいで忙しくてこっちに入れていないんだろうな、と。
申し訳ない気持ちと同時に、次の休みはお互いに美味しいと思うちょっとお高い物を食べに行こう、と思った。



そういえば目覚めた今日は丁度、週末の始まりだ。
朝が来て、まずはバイト先に電話を入れて、事の成り行きによっては同僚を食事にでも誘おう。
そう思いながら、とりあえずコンビニで何か買おうと、用意を済ませてドアを開けた。

まだ朝も来ていない時間帯故に、周りの住宅の明かりも随分と少なく、辺りもしんと静まり返っている。
何を買おうか、お腹が空きすぎて逆に何も思いつかない。
とりあえずは来たばかりの週末に備えて、少しひかえめにしなくてはと、大きく深呼吸をしながら、思った。