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→ 2011/05/01 22:01[
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さよなら(新風新)
※二人は宇宙人
※死ネタ
丸い月を見上げながら息をついた。
(この空を見るのも、今日が最後かな……)
すっかり地球の暮らしがついてしまったと苦笑いを浮かべる。なんだかんだで楽しかったと思う。人間は興味深くて、時々予想もしない行動をする。不思議で、見ていて退屈しなかった。今までの日々を思い出していると、背後で足音がした。
「やぁ、やっと来たね」
「遅いじやないか」と笑えば相手は鼻で笑った。
「随分余裕だな、風間」
「君は僕を殺さないよ。いや殺せないって言った方が正しいよね」
「煩い。黙らないと撃つぞ」
「撃てないよ。新堂、君は撃てない」
くるりと後ろを振り向くと、ぎりっと歯を噛み締めた新堂と目が合った。
「俺はお前を殺す」
「ならさっき撃てばよかったよね。僕は隙だらけだっただろ?」
「俺はお前らみたいに卑怯じゃないからな」
「ははっ、それは心外だなぁ。利口と言ってほしいね」
「黙れッ!!」
がちゃっと銃が鳴った。
「じゃあさっさと撃ちなよ。殺しにきたんでしょ」
「っ……」
黙ってしまった新堂を見て溜め息を一つ。こんな状態ではいつまでもこのままだ。
「まさかまだ僕を友達とか思ってる?馬鹿だなぁ新堂は……」
「あんなの嘘。芝居だよ、し・ば・い」
けらけら笑った僕を見て新堂は何故か泣きそうだった。
(泣きたいのは僕さ)
「さぁ、早く撃ちなよ」
銃口が真っ直ぐ僕を狙う。それを見て新堂に小さく別れを告げる。
驚いた新堂の顔、やがて鋭い衝撃が身体を貫き、意識がぷつり途切れた。
さよなら
(愛しい__よ)