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RPG風メモ

あくまで『風』
漢字カタカナごっちゃ

イラスト用メモ
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僕と彼女の冬話

彼女にメロメロな彼。
ただラブラブな話が書きたかっただけ。
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自分の声だけは耳を塞いでもより大きく自分を責め立てるのだから始末に追えない。
こんなの 辛いうちにも入らない

大丈夫だよ 明日にはいつもの私

無題


自分が自ら望んで嵌めたこの枷を彼は嫌う。動けば音を立てる金色の手錠を見る度に彼が哀しげな目をするのを自分は知っている。
けれど自分は外したいとは思わないし第一鍵は母の墓に埋めてしまったのだ。自分の自由は両親の命と共にある。
平和の為に心を擲った司祭の為に魂を擲った父と命を擲った母の為に、自分も妹も身体の自由を捧げた。結果平和は訪れた訳だし、故郷にはその過程や結果を不満に思う者などいなかった。

ただあの男はその過去を好まない。例え肉親でも自分が何かに縛られる事が我慢ならないのだ。それだけ自分が愛されていると解釈しても問題はないのだが、素直に愛情を表現できない狭量な自分からすれば少しばかり過ぎた感情だし、何より罪悪感を覚えてしまう。
彼に罪悪感を覚える事で両親に申し訳が立たなくなる。両親に気を取られれば彼はまた不機嫌になる。これでは悪循環だ。

けれど彼を拒絶などできない。出来ようものか。外には到底出せないが自分だって彼を想っているのだから。


「下らないわ」妹は言う。
「愛しているなら父も母ももう関係ないでしょう。『自分の手を捧げた』と言う事実以外に何が必要だと言うの。兄様が魂も記憶も心も捧げないと気が済まないと言うならば私は気にはしないけれど」

たった二つしか違わない実の妹は自分と同じ色の髪を揺らす。どうして彼女はこんなにも割り切れるのだろう。
幼いと言ってよい年齢の少女がキャンバスに筆を押しつけるぐしぐしという自分には快いとは思えない音が響く部屋で、たった一人にされた気分だった。

「兄様は彼と両親の事ばかり。私には会いに来ても私の事を想ったりはしないのね」
なぜ会っていないときまでお前の事を考えなければいけないんだ。
「ああ、そう。やっぱり兄様って最低ね」

吐き捨てると今まで丹念に色をなすり付けていたキャンバスを持ち上げ床に投げ捨てた。床に落ちた事で見えた背面には宮廷の烙印が押されている。ばれたら大事ではないのか。


「でも大好きよ、アイジオ兄様」
ああ俺だって大好きだよシシュカ
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