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節分

節分の日は逆にうちに鬼を迎え入れる話が萌えると思う。


人間の村で暮らしている子鬼が子供たちに豆をまかれて泣いて外に逃げていくの。普段は村の子どもとも仲良しなんだけど、悪ふざけが過ぎた感じで子供たちに悪気はなかった。体も小さくて気の弱い子鬼はむしろ可愛がられているんだけど、からかわれただけってことに気が付かなくて、村から少しはずれたお気に入りの大木のしたでうずくまって泣いている。不運にも子供たちから逃げる途中で転んで、ひねった足が腫れて動けないって言うお約束。悲しくて痛くて怖くて。これからどうしようと途方にくれる。
そこへ一緒に住んでる年上の怖い子供が迎えに来るのです。無口でいつも無愛想な彼に普段から苦手意識炸裂の子鬼はビビって逃げようとします。しかしここはベタにくじいた足ではずっこけるのが関の山。
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私の名を“嫉妬”と言います。




嘘じゃない。
あなた達の脆く愚かなココロを愛しいと思うのです。
その柔い果肉にスルリと指を差し入れて。ほんの少し、撫でるだけ。
たったそれだけであなた達のココロはぐずぐずとした熱を生み出します。
暗赤色の鈍いうねりを。
粘着質なその熱で自らのココロを焦がす様の、なんと醜く哀れなことでしょう。
しかし私はそんなあなた達を愛しく思います。ええ、本心ですとも。嘘ではないのですよ? 何故か、と問われましても何と説明したらご理解いただけるのか。……そうですね。強いて言うのならば、私にとってあなた達は母親も同然ですから。慈しまずにはいられないのです。母でありながら、私の存在に身を狂わせる、小さな小さなあなた達を。
そして私はあなた達のココロを優しく撫でながら、いつも密かに願うのです。

 ――どうか、心穏やかに。

 幸せになって、と。










“嫉妬”擬人化妄想

三谷と牧野2

 俺が恋に落ちた相手は名を牧野実と書いてマキノミノルと読む。
 男だ。
 しかも3次元の世界に関心を示さない徹底したオタクだった。
 俺はいまだに自分が彼のどこに惚れたのか理解できないが、彼のそばにいると気持ちが落ち着くのは確かだった。

「みぃーのーるぅーちゃん! 迎えにきたヨォ」

 お約束の展開とばかりに昼休みはミノルを迎えに行く。俺の登場にざわつく教室の反応には慣れたものだった。
 その中でカタンと立ち上がり、弁当箱を片手に小走りで俺へと近づく人物。もっさりと前も後ろも長い黒髪。瓶底のダサいメガネ。うつむき加減に見上げてくる様子は、まさに不良にパシられている内気なオタクくんだった。
 こいつが牧野実。
 正真正銘のオタクであり平面の世界を愛する男。
 今日も教室中がミノルを哀れみと嘲笑の眼差しで見ていた。
 “三谷に目を付けられるなんて終わってるよな”
 “パシられて当然のキモオタクだから仕方ねーよ”
 囁かれる言葉にミノルは身をすくませるばかりで、その姿がよりいっそう周りからの誹謗中傷を買っていた。

 ミノルは2次元に入り浸るためならどんな手段も努力も惜しまない。

 ヒョロイ見た目をしていても、2次元を思う存分堪能するためならば親に言われた学年10位以内の成績をキープすることもオタクグッズに費やすための資金をきつい土木系のバイトで稼ぐことも厭わない。
 おどおどと俺を見上げるミノル。完全に俺に脅えている。……そう周りからは見えるはずだ。

「……てめーは目立つから教室に来るんじゃねぇっつってんだろが。バカ三谷」

 俺にしか聞こえない程度の音量で囁かれた言葉。瓶底眼鏡の奥からこちらを睨む黒い瞳。

 もう一度言おう。

 ミノルは、2次元に入り浸るためならどんな手段も努力も惜しまない。

 ――煩わしい人間関係を避けるために猫を被ることくらい、朝飯前だった。

 俺ってばどうしてこんな濃いコ、選んじゃったのかな。









※常識ハズレ快楽主義ちゃら男不良×中身非凡系オタク

三谷と牧野

※突発的にオリジナル小話







 楽しいことが好きだ。
 人をおちょくるのも、仲間と馬鹿やるのも、喧嘩するのも、楽しい。

 俺は名を三谷という。

 いわゆる不良で、髪は派手に染めているしチームの副長だったりする。
 歪んだ性格をしていると言われる俺の、最近の楽しみは恋をした我らが総長と彼に恋された平凡な下級生の仲を引っ掻き回すことだ。

「みぃーきぃーや、くん」
「は、はひひィ!!」

 ニッコリと笑いかけてやっただけでこのビビリ様。我らが総長にどう脅されて付き合うことになったのか知らないが、実は彼はまだ、俺どころか我らが総長にすら慣れていない。キョドる仕草が小動物のようで面白いから退屈はしないけれど。

「三谷、やめろ。大友が怖がってる」
「俺だけじゃなくてお前にも怖がってるからぁー」

 愛しの大友幹也くんに話しかけただけで我らが総長さまはご立腹のようだ。誠よ、てめーはいつから犬になったんだ。まったく我らが総長・長谷川誠ともあろう者が。どんなに懐いたって飼い主に怖がられてちゃ報われないね、ぷぷっ!
 というか幹也くん白目むきかけてるからね。ちょうど屋上だしこのままだと天に召されるんじゃないかな。

(まぁ、焦らずゆっくりやりなよー)

 なんだかんだと前途多難な恋に奮闘する我らが総長兼幼なじみにエールを送り(からかい9割・応援1割くらいの割合で)、俺の日常は過ぎてゆく。

 楽しいことが好きだ。
 からかうのも馬鹿をやるのも喧嘩するのも好き。楽しいことに囲まれて生きている。
 それでも恋をした友人の幸せそうな顔を少しだけ疎ましく思うのは、自分が満たされていない証拠なのだろうか。

 物語でいうなら俺は脇役的位置にいる。主役は恋をした総長と彼に恋された平凡くんで、俺は総長の友人その一だ。
 徐々に距離を縮めるふたりを見守るだけ(勿論ちょっかいは出す)のキャラ。
 だけど俺だって、きっと、自分を満たしてくれる誰かを求めている。

(王道でいけば幹也くんのお友達あたりと恋に落ちてもいいんだけどなー)

 残念ながら幹也くんのお友達で俺を楽しませてくれるような子はいなかった。なかなか個性的な子たちではあったけれど。そもそも野郎と恋に落ちる必要が無い。

(だけどめぼしい女のコもいないしなァ)

 ふと見上げた空は目もくらむような青。

 この空のように穏やかというか刺激がないというか……なにせ物足りない俺の心に嵐をもたらす人物を、俺はまだ知らない。
 平凡くんのお友達でもクラスメートでもない、俺のたった一人。
 かなり強烈な個性を持ちながら何食わぬ顔でエキストラを演じる超ド級の曲者を。

(あー、平和だねぇ)

 次に吹く風の強さもつゆ知らず、白い雲がゆったりと流れていた。










いつだって脇役が好き。
ちゃら男×オタク、プロローグ的な。




ふたりのラブストーリー

 壁に叩きつけられた後頭部が痛い。胸ぐらを掴まれ、ズレた眼鏡を直す隙さえない気迫で詰め寄られた。

(これじゃあ脅す不良とその被害者ですね)

 制服を着くずした銀髪男と彼に押さえつけられている制服をきっちり着込んだ眼鏡の男。見た目にも構図的にも、誰かに見られたらあまりよろしくない。
 その手を離してはくれないだろうか。頭も痛いが息が苦しい。別に逃げやしないのに。

「こんな時まで考えごととはええ度胸しとるのぉ、やぎゅう」

 ほんの少し女生徒と話しをしていただけでこれだ。自分は私をおいて遊び惚けているくせに勝手なものだ。しかし嫉妬に狂うその瞳は悪くない。おまけのように囁かれる睦言よりもよほど甘く私を誘う。このまま焼けただれてしまいたいほどだ。

 ずっと、こうしていられたらいいのに。

「――仁王! 何をしている!?」

 せっかくの仁王くんとの時間を切り裂く教員の声。やはり構図が良くなかった。こんなに甘美な空間なのに周りから理解されない。

 私が今、仁王くんに何をされているか。
 胸ぐらを掴まれて、壁に押しつけられて……。
 熱をはらんだ瞳に射抜かれている。



 ――今すごく、愛されているのですよ。







end
20090426


◇◇
ちょっと危険な仁王と柳生の愛の形。



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