話題:今日読んだ本
ども!
最近の楽しみがTU●AYAに貢ぐか大学の近くの古本屋に貢ぐことの、柊です。
今日本を一冊読み終えました。
『トーキョー・プリズン』柳広司/角川出版
【あらすじ】
戦時中に消息を絶った知人の情報を得るため「巣鴨プリズン」を訪れた私立探偵の
フェアフィールドは、調査の交換条件として、囚人・
貴島悟の記憶を取り戻す任務を命じられる。
捕虜虐殺の容疑で拘留されている貴島は、恐ろしいほど頭脳明晰な男だが、戦争中の記憶は完全に消失していた。
ファアフィールドは貴島の相棒役を務めながら、プリズンないで発生した不可解な服毒死事件の謎を追ってゆく…。
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同じ作者の『ジョーカー・ゲーム』を読んで、「あーとっても読みやすいなー」って思って古本屋で『トーキョー・プリズン』を買いました。
『ジョーカー・ゲーム』とはまた違うミステリーでした。
時代設定は、前者が戦時中で後者が戦後です。
戦後すぐの東京裁判が背景で、主人公の一人の貴島は「私は貝になりたい」のようにB級戦犯として逮捕された人間です。
全体的に、戦後すぐの戦争の新しく深い傷跡を抱えた人間達の狂気や戸惑いが描かれ、重たい雰囲気になっています。
重たいのが嫌いな人は駄目ってなるかもしれません。
私は手塚治虫の『奇子』でOMGとなったので、免疫は少々あったので、なんとか読めました。
ハッピーエンドでないと読めない人はキツイかもしれない。
以下、個人的な感想です。
出来るだけネタバレとかは気をつけていますが、注意してください。
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【個人的な感想】
んー、ラストシーンはハッピーエンドとは言えないんですが、あれはあれで私は納得のラストだと思います。
あのラストでないと、余りにも話が良すぎるような気がするし。
第二次世界大戦から生き残った登場人物は、「生きる」という当たり前のことから離れすぎた経験をしたため、日常に戻れず苦労しています。
物悲しい雰囲気が漂うラストが、人間の狂気の集大成である戦争の恐ろしさを語っているような…。
もしくは人間の暗い一面に対する恐ろしさかもしれません。
多分PTSDだと思うんですが、特に貴島とフェアフィールドの主人公二人が見た悪夢の描写は迫力がありました。
朝の電車で読むものじゃなかったなぁ…
焼野原の東京、東京裁判、闇市、パンパンガール、浮浪児、原爆…
矛盾しているのかしていないのか分からない戦後の日本の描写が、戦争を知らない私ですがリアルだなと感じました。
ストーリー以外の感想ですが…
『ジョーカー・ゲーム』でもそうだったんですが、まず主人公がカッコいい!!って思いました。
頭のキレる囚人・貴島悟は、最初は不気味な印象なんですが、推理が進んでいくにつれて「賢い人に対する尊敬」からか、最後の方は「何このカッコいい人」ってなっていました(笑)
貴島の圧倒的な推理力の高さもテンションが上がるのですが、貴島のヒントを元に推理していくフェアフィールドが貴島に振り回される様子も楽しかったです。
とにかくこの二人がカッコいいんですよね。
ストーリーがストーリーなんで、このぐらいですかねwwwってなったのは。
戦後の動乱期の暗さによる後味の悪さはありますが、読みごたえはすごいです。
オススメです。
2012-5-11 01:11