本当は行っていない各地の名産品が買えてしまう―。そんな便利さから「アリバイ横丁」とも呼ばれた大阪・梅田の「阪神百貨店ふるさと名産」が29日、営業最終日を迎えた。戦後から60余年も続いた歴史に幕を下ろし、買い物客からは惜別の声が聞かれた。

地下街の通路脇に並ぶ店舗が誕生したのは1951年。戦後の混乱期に闇市化していた状況を変えるのが目的で、大阪万博が開かれた70年には32店舗で41都道府県の商品が買えるようになり、最盛期を迎えた。

近年は店主の高齢化などで閉店が相次ぎ、鳥取、島根、長崎・佐賀の3店舗まで減少。阪神百貨店の建て替えのほか、地下通路拡張のため所有者の大阪市が立ち退きを求めたことから、全店舗の閉店が決まった。

長崎の九十九島名産の菓子を購入した兵庫県川西市の主婦(82)は「昔はたくさんお客さんがいて、にぎわっていたことを覚えている。
もう今日が最後なんですね」と寂しげに話した。
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