だってロマンがない


話題:電子書籍

最近楽天から電子書籍端末が発売されて色々問題を起こしているようですが、私はそんなもの持ってません。
単純な一考察として残して置こうと思います。



まず書籍の電子化について。
これのメリットは
・データなので場所を取らない。一つの端末でいくつもの作品が読める
・劣化が進んだ古い書籍も、データであれば多くの人が閲覧することが可能(最近国会図書館は著作権切れの図書の一部をマイクロフィルムデータで公開)
・画像も鮮明に、あるいはカラーでの表示が可能
・しおり、書き込み機能など紙媒体と変わらぬ機能搭載
そしてデメリット
・現在公開されている電子書籍が少ない
・電化製品なので充電必要(だよね?)
・読みにくい(電子画面で文字を追うのは割と大変)
パッと思い付く限りではこんな感じです。デメリットの方は徐々に改善されているようではありますが。
国会図書館や、電子データ貸出をする図書館が出てきたあたり、時代はやはり電子化の流れなんでしょうね。自炊と呼ばれる、紙の本をばらしてデータ化する行為もなされているようですし。
実際私の電子辞書には青空文庫のデータが入っていて、一部電子書籍のような役割を果たしてくれています。しかし電子辞書にそれが入っているからと言って私がそれを読むかというと、ちょっと積極的に読もうとは思わないんですよね。
なんでかというと、紙のようにページの進みがわからないから。


紙媒体の優れている所は、物質としてある点につきます。
電子書籍を好む立場からですときっとこれは場所を取るというデメリットに当たるのだと思いますが、読書をする上で手の中で紙が左から右に移る流れや紙の質感というのは、楽しみの重要な部分を占めると思うのです。


おそらくこの違いは、本の価値を全体に置くか、それとも文章のみに置くかなのだと思います。
文章のみに置くのであれば、それの外観や手触りや重さといったものは邪魔でしかなく、中の情報を得るためにデータ化してどこでも読める状態にした方が手っ取り早く効率的です。
しかし、本を読むという行為は、本文を読むことそれだけに限定したものではありません。
糊付けされて開きづらくなった表紙に、ちょっと力を入れて開いて、ぱきりと鳴る音とわくわく感、表紙カバーを取るとまた別の表情が現れる表情背表紙裏表紙、新しい紙の匂いに、読み込むと指の形に黒ずむページ、読み終わって閉じた裏表紙に沸き上がる満足感。
これは電子データでは味わえない、紙媒体ならではのものだと思うんですよね。どんなにデータで紙のように表せても、重みや質感は表せないので。


しかし手書きからキーボードへと、書くという行為が変わっていったことを考えると、電子化の流れが進むのもまた自然の摂理なのかなとも思います。
ああでも、未だに手書き文化が(ノートなどで)残っていることを考えると、紙媒体の本というのもまだまだなくならないのかもしれませんね。