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うつくしい子ども

石田衣良さんのうつくしい子どもを読みました。

以前、美丘を見て石田衣良さんがとても気になっていたのですが、この本も私はとても好きになりました。

話の内容は美しくはないけれど、何て言うか…

読み進めていると、心に出来た瘡蓋をカリカリと引っ掛かれているような、心臓を真綿で締め付けられるような、胸がギューッと締め付けられるような、そんな感じがします。

石田衣良さんの作風かもしれないし、他の作家さんに比べて変わった人が出てくるかもしれません。

ただ、純粋っていうか…すれてないっていうか。

世間の裏を知りながら、それでも純な感じで、厭味にならないっていうか。

不思議な感じですよね。

さて、内容についてもお話したいと思います。

ネタバレNGな方はプラウザバックをお願いします。



主人公は幹生(ジャガ)。

事件はジャガの住む夢見山でジャガの妹(人気子役)のクラスメートが殺されてしまう事件が起こります。

当初は幼女に対して事件を起こした人々が疑われていましたが、実際にはジャガの弟が犯人でした。

華やかな生活から一転、マスコミに追われ、個人情報が漏洩していきます。

人々の容赦のない視線と悪意に曝され、日々精神を磨耗していく家族。

それでも、ジャガは弟を理解しようと懸命に努力していきました。

そうすると、松浦という少年が弟と関係しているらしい、という事が解っていきます。

そして、松浦と接触する度に嫌がらせは強固になっていきました。

そして、弟が殺人を犯してしまった事に松浦が関係していると確信。

二人で話をすると松浦はあっさり認め、ジャガを殺そうとします。

しかし、そこに松浦の父(警察)が現れ、松浦を射殺。

追って自身も自殺します。



話の内容は大分猟奇的ですが、人とは違った視点で世界を見ているように思います。

例えば、過度な報道は飽和され、需要を生み出すために更に過度になっていく。

他人に無関心な人々。

関係の無い人々に向けられる悪意。

普段周りに溢れていて気付かない、社会のおかしい部分。

そんなところを告発しているように思います。

それでいて、人の心を動かす何かがあるのだから凄い。
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