話題:自作小説

豆族の生態について、記述出来ることはかなり少ない。
まず挙げるとすれば彼らの見た目だろう。

人族に比べるとかなり小さく、人間の膝下位までしか背丈は伸びない。
そして大人になるにつれ、頭頂部に鳥の巣をこさえるのだ。

これは、町の学者でもある司祭の研究成果だがその頭頂部に作った巣で、鳥を育てるのだとか。
たまに森の中で彼らを見掛けると、確かに巣のなかで小さな雛がピヨピヨ鳴きながら餌をねだる姿があった。
中には立派な巣はあれど、その主がおらず完全なるファッションアイテムになっているものもいるが…。だが、何の雛であるかは目下研究中らしい。

彼らの見た目は世界中の豆の種類に良く似かよっているのでその名がついたのだとか。

ちまちま動く、小さな球体状の生物はまさしくその名がつけられたに相応しい外見と行動パターンだ。
思わず微笑ましくなってしまうほどに。

彼らは冬越えの準備のために秋になると時折町まで下りてくる。
それ以外は森の中で生活し、ほぼほぼ出てくることはない。

但し、この行動はこの町に限ったことらしく他の地域ではお目にかかることはないのだとか。

子供や小さいものが好きな女性(一部男性)は、この時期を楽しみにしている。子供は、彼らが持ってくる物々交換のための普段手には要らない珍しいお菓子だったり、オモチャたったり。
女性はその愛くるしい見た目に癒されつつ、頭頂部にある巣の主から綺麗な羽根を譲って貰ったり。

様々な思惑はあれど、比較的友好な関係を築いている。

森に生かされているのは互いに同じであるからして、程よい距離の友人は大切なのだ。