仕事中、不注意でつけた傷。
左手首に一本の線。
まるで自傷行為のような。
切れないカミソリで作ったような傷だった。
見ていてぞくっとした。
正直に、
『切りたい』
という衝動が出てきた。
自傷行為はやめたはずだ。
もう何年も前に。
それでも時々やってくる。
切りたいと思う衝動。
自分を傷つけるのはやめようと決めたはずだ。
それに今の仕事についてからは、命の大切さを思い知らされたはずた。
なのにうまれる衝動。
切るかわりに、腕を掻き毟ってとめる苦痛。
何やってるんだろ。
『見えないとこなら、切ってもバレないかな』
そんな馬鹿な考えも浮かぶ。
過去に戻るのがこわい。
そう思えば思うほど。
過去に縛られている。
過去の感覚を忘れられず。
嫌いな自分に刃物が似合う。
衝動に耐えながら。
あたしは腕を掻き毟る。